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年賀状を出しそびれたら?松の内後の対処法と寒中見舞いのマナー

年が明け、ポストを確認すると予期せぬ方からの年賀状が届いていることがあります。「しまった、この人には送っていなかった!」と焦ってしまう瞬間です。あるいは、年末の忙しさに追われて年賀状の準備自体ができず、松の内を過ぎてしまったというケースもあるでしょう。新年の挨拶は大切なコミュニケーションですが、タイミングを逃すとどう返信すべきか迷ってしまいます。

しかし、焦ってマナー違反な返信をしてしまうことだけは避けなければなりません。実は、年賀状を出しそびれてしまった場合でも、適切な時期に「寒中見舞い」などの形で丁寧に返信をすれば、相手に失礼になることはありません。むしろ、遅れてしまったお詫びを添えることで、より誠実な印象を与えることさえ可能です。

この記事でわかること

目次

年賀状を出しそびれた場合の対処法と判断基準

年賀状の返信が遅れてしまった場合、まず判断すべきなのは「今すぐ年賀状として出すか」それとも「寒中見舞いとして切り替えるか」という点です。この判断を誤ると、季節外れの挨拶状を送ることになり、常識を疑われてしまう可能性があります。ここでは、時期に応じた適切な対処法の基準について詳しく解説します。

松の内(1月7日または15日)までは年賀状で返信が可能

一般的に、お正月飾りを飾っておく期間である「松の内」の間であれば、年賀状として返信を出しても問題ないとされています。元旦に届いた年賀状を見てすぐに返信を書けるのであれば、年賀はがきを使って投函しましょう。ただし、ここで注意が必要なのは、相手に届く日付と地域による松の内の期間の違いです。

関東地方などでは1月7日までを松の内とすることが一般的ですが、関西地方などでは1月15日までとする地域が多くあります。もし、あなたが1月5日に年賀状を投函した場合、郵便事情によっては相手に届くのが1月7日を過ぎてしまう可能性があります。特に相手が関東在住の場合、松の内を過ぎて年賀状が届くことになり、少し気まずい思いをさせてしまうかもしれません。

そのため、1月5日や6日頃になってしまった場合は、無理に年賀状として出すよりも、最初から寒中見舞いとして準備を進めるほうが無難です。「遅れても年賀状を出したい」という気持ちも大切ですが、相手の手元に届くタイミングを最優先に考え、季節に合った挨拶状を選ぶことが大人のマナーといえます。

松の内を過ぎたら「寒中見舞い」に切り替える理由

松の内を過ぎてしまった場合、あるいは相手に届くのが松の内明けになりそうな場合は、きっぱりと「寒中見舞い」に切り替えます。寒中見舞いとは、一年で最も寒さが厳しい時期に、相手の健康を気遣って送る季節の挨拶状です。年賀状はお祝いの挨拶ですが、寒中見舞いは季節の便りであるため、松の内を過ぎても違和感なく受け取ってもらえます。

寒中見舞いを送る最大のメリットは、年賀状の返信が遅れてしまったことに対する「お詫び」を自然な形で伝えられる点です。年賀状の文面で「遅くなってごめんなさい」と書くよりも、寒中見舞いの冒頭で「お年始のご挨拶をいただきありがとうございました」と感謝を伝え、続けて「ご挨拶が遅れましたこと、深くお詫び申し上げます」と添えるほうが、文章として非常にスマートです。

また、寒中見舞いは喪中の方への挨拶や、自分が喪中であることを知らずに年賀状をくれた方への返信としても使われます。このように用途が広いため、年明けの挨拶トラブルを解決する万能な手段として覚えておくと役立ちます。たとえ親しい間柄であっても、時期を外した年賀状を送るよりは、季節感を大切にした寒中見舞いを送るほうが、相手を大切に想う気持ちが伝わるはずです。

状況推奨される対応投函の目安時期
松の内(1/7頃)に届く見込み年賀状として返信1月5日頃まで
松の内を過ぎる可能性がある寒中見舞いとして送付1月8日以降
喪中で年賀状を出せなかった寒中見舞いでお詫び1月8日~2月3日
2月4日を過ぎてしまった余寒見舞いとして送付2月4日~2月末

時期による対応の違いを整理しました。相手の住む地域や郵便事情も考慮し、余裕を持ったスケジュールで対応を決めることが重要です。

寒中見舞いを出すべき正しい時期とタイミング

寒中見舞いを出すべき正しい時期とタイミング

「寒中見舞い」にも、送るのに適した期間が明確に決まっています。早すぎても年賀状と混同されてしまいますし、遅すぎると春の気配が近づいてしまい「寒中」という言葉がふさわしくなくなってしまいます。カレンダーを確認しながら、いつ投函するのがベストなのかを理解しておきましょう。

寒中見舞いを出す期間:松の内明けから立春まで

寒中見舞いを出す期間は、一般的に「松の内明け(1月8日または1月16日)」から「立春(2月4日頃)」の前日までとされています。二十四節気の「小寒(1月5日頃)」から「立春」の前日までを「寒中」と呼ぶことに由来しています。ただし、1月7日までは松の内として年賀状のやり取りが行われていることが多いため、実際には1月8日以降に相手に届くように投函するのがマナーです。

例えば、1月7日に投函すれば翌8日以降に届くため、タイミングとしては最適です。関西地方など松の内が1月15日までの地域の方へ送る場合は、1月16日以降に届くように調整するとより丁寧ですが、全国的な慣習として1月8日以降であれば寒中見舞いとして差し支えありません。あまり厳密に地域の差を気にしすぎて出すのが遅れるよりは、1月中旬頃までに届くように手配するのが良いでしょう。

この期間は一年で最も寒い時期でもあります。相手の体調を気遣う言葉を添えるには最適な季節です。「寒さ厳しき折」といった時候の挨拶が自然と心に響く時期ですので、形式的な挨拶だけでなく、相手を思いやる温かいメッセージを添えることで、遅れてしまった失礼を十分にカバーすることができます。

立春を過ぎてしまった場合の「余寒見舞い」

もし、多忙などの理由で立春(2月4日頃)を過ぎてしまった場合は、「寒中見舞い」として出すことはできません。暦の上では春になるためです。この場合は「余寒見舞い(よかんみまい)」として挨拶状を送ることになります。余寒見舞いとは、暦の上では春を迎えたものの、まだ寒さが残っている時期に出す見舞い状のことです。

余寒見舞いを出す時期は、立春を過ぎてから2月末頃までが目安とされています。寒い地域であれば3月上旬まで許容されることもありますが、できるだけ2月中には出し終えるようにしましょう。文面も「余寒なお厳しき折」や「立春とは名ばかりの寒さが続きますが」といった書き出しに変更する必要があります。

ここまで遅れてしまうと、年賀状の返信というよりは、純粋な季節の挨拶状としての意味合いが強くなります。しかし、年賀状をいただいたことへのお礼を文中に含めることは忘れてはいけません。「お返事が大変遅くなり申し訳ございません」という一言を添えつつ、近況報告などを交えて丁寧な手紙として送ることで、関係性を繋ぎ止めることができます。

【相手別】寒中見舞い・年始の挨拶状の文例集

寒中見舞いの構成は、「寒中見舞いの挨拶」「年賀状へのお礼」「遅れたお詫び」「相手の健康を気遣う言葉」「日付」が基本となります。しかし、送る相手との関係性によって、言葉遣いや崩し方は変わってきます。ここでは、そのまま使える具体的な文例を相手別に紹介します。

会社の上司・恩師への失礼のない構成

目上の方への寒中見舞いは、形式を重んじた礼儀正しい文章が求められます。親しみを込めすぎると失礼にあたる可能性があるため、基本に忠実な構成を心がけましょう。縦書きで作成するのがマナーです。

ポイントは、「お詫び」を明確に伝えつつも、言い訳を詳しく書かないことです。「忙しくて」といった理由は相手に失礼になるため、「ご挨拶が遅れましたこと」と事実のみを詫びるのがスマートです。

親戚・知人への親しみを込めた文章

親戚や親しい知人の場合、あまりに堅苦しい文章だとよそよそしく感じられてしまいます。基本的なマナーは守りつつ、近況報告や家族の様子などを少し具体的に盛り込むと、温かみのある手紙になります。

「バタバタしており」といった少し砕けた表現を使うことで、親近感を演出できます。また、相手の家族全員に向けた気遣いの言葉を入れるのがポイントです。

友人へメールやLINEで返信する場合のマナー

最近では、友人関係であればLINEやメールで済ませることも増えてきました。しかし、相手がはがきで年賀状をくれた場合は、本来ならはがきで返すのが礼儀です。どうしてもすぐに連絡したい場合は、まずLINEでお礼とお詫びを伝え、後日改めて寒中見舞いを出すという「二段階」の対応が最も丁寧です。

SNSやメールで済ませる場合でも、スタンプ一つで終わらせるのではなく、必ずメッセージを添えましょう。特に「年賀状ありがとう」という感謝の言葉は必須です。関係性によってはこれで完結させても良いですが、目上の友人や疎遠になっていた友人の場合は、やはり形に残るはがきを送ることをおすすめします。

寒中見舞いのはがき選びと切手のマナー

文面が決まったら、次は「はがき」と「切手」の準備です。ここで多くの人がやってしまいがちな失敗が、「余った年賀はがきを使ってしまう」ことです。これはマナー違反となるため、正しいはがきの選び方と処理方法を知っておきましょう。

年賀はがきは使えない?懸賞応募用か交換が必要

寒中見舞いに「年賀はがき」を使用するのはマナー違反です。年賀はがきはあくまでお正月の挨拶用であり、松の内を過ぎた寒中見舞いには適しません。「年賀」の文字を二重線で消して使うという方法も聞かれますが、これは見た目が非常に悪く、相手に対して失礼にあたりますので避けましょう。

余ってしまった年賀はがきや、書き損じてしまった年賀はがきは、郵便局の窓口へ持っていけば「所定の手数料(通常1枚5円)」を支払うことで、通常のはがきや切手、レターパックなどに交換してもらえます。この制度を利用して、「胡蝶蘭」のデザインなどが描かれた通常はがきや、私製はがきに貼るための切手に交換するのが賢い方法です。交換した切手を使って、市販の素敵なポストカードで寒中見舞いを出すのも喜ばれます。

切手の種類:弔事用ではなく通常の切手を使う

私製はがき(切手が印刷されていない市販のはがき)を使って寒中見舞いを出す場合、貼る切手の種類にも注意が必要です。寒中見舞いは喪中の挨拶にも使われるため、「弔事用切手(花輪などのデザイン)」を使うべきかと迷うかもしれませんが、単に年賀状の返信として出す場合は「通常の切手」で構いません。

郵便局で購入できる通常はがきには、「ヤマユリ(額面通りの切手)」や「胡蝶蘭(こちょうらん)」のデザインがあります。寒中見舞いや喪中欠礼には、落ち着いたデザインの「胡蝶蘭」のはがきがよく使われます。切手を貼る場合も、派手すぎない記念切手や、季節の花が描かれた切手などを選ぶと、季節感が出て良いでしょう。もし自分が喪中である場合や、相手が喪中の場合は、華美なデザインは避け、落ち着いたトーンのものを選ぶ配慮が必要です。

よくある失敗と注意点

寒中見舞いは便利な挨拶状ですが、いくつかの注意点を守らないと、かえって相手に不快な思いをさせてしまうこともあります。特に「喪中」が関わるケースでは細心の注意が必要です。

相手が喪中だった場合の配慮

相手から喪中欠礼(喪中はがき)が届いていたにもかかわらず、うっかり年賀状を出してしまった場合や、喪中と知らずに年賀状を出してしまい、後から寒中見舞いで返信が来た場合などがあります。この場合、すぐに寒中見舞いでお詫びとお悔やみの言葉を伝えるのがマナーです。

文面としては、「このたびはご服喪中と存じ上げず、お年始の挨拶を差し上げてしまい、大変失礼いたしました」と素直にお詫びを述べます。その上で、相手の悲しみに寄り添う言葉を添えましょう。また、相手が喪中の場合は、めでたい言葉(賀正、おめでとうなど)は一切使わず、「寒中お見舞い申し上げます」と静かに始めることが鉄則です。はがきのデザインも、紅白や金銀などは避け、淡い色合いの落ち着いたものを選んでください。

自分の喪中を伝えそびれていた場合

自分自身が喪中であったにもかかわらず、年末に喪中欠礼を出しそびれてしまい、相手から年賀状が届いてしまうことがあります。この場合も、寒中見舞いを使って返信とお詫びをします。

「亡き〇〇(続柄)の喪中につき、年末年始のご挨拶を控えさせていただきました」と事情を説明し、「ご連絡が行き届かず、お年始のご挨拶をいただき申し訳ございませんでした」とお詫びします。ここで大切なのは、年賀状をくれたことへの感謝も忘れずに伝えることです。「お心遣いありがとうございます」と添えることで、相手も「出してしまって悪かったな」という気まずさを感じずに済みます。

よくある質問

寒中見舞いに子供の写真や家族写真を入れても大丈夫ですか?

送る相手と目的によります。単に出しそびれた返信として、親しい友人や親戚に送る場合は、近況報告として写真入りでも問題ありません。しかし、相手が喪中の場合や、自分が喪中の場合は、写真入り(特に笑顔の写真)は避けるべきです。また、ビジネス関係の上司などに送る場合も、イラストのみの落ち着いたデザインが無難です。

寒中見舞いのはがきはどこで買えますか?

郵便局、コンビニ、文具店、書店などで購入できます。郵便局では官製はがき(胡蝶蘭など)が購入でき、文具店やロフト、東急ハンズなどではデザイン性の高い私製はがきが多く販売されています。時期(1月後半以降)によっては店頭の在庫が少なくなるため、早めに購入するか、ネット通販を利用するのも一つの手です。

目上の人に対して「寒中見舞い」を送っても失礼になりませんか?

全く失礼にはなりません。むしろ、何も返信しないことや、時期外れの年賀状を送ることのほうが失礼にあたります。寒中見舞いは古くからある正式な季節の挨拶状ですので、正しい時期に、正しい言葉遣いで送れば、礼儀正しい人だという印象を持ってもらえます。

まとめ

年賀状を出しそびれてしまったとしても、焦る必要はありません。「松の内」を過ぎてしまったら、潔く「寒中見舞い」に切り替えて、誠意ある対応を心がけましょう。最後に、今回の記事のポイントを振り返ります。

寒中見舞いは、単なる事務的な返信作業ではありません。一年で一番寒い時期に、相手を思いやる温かい心を届けるチャンスでもあります。遅れてしまったことをプラスに変えるつもりで、心を込めた一筆をしたためてみてはいかがでしょうか。

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