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正月太りの原因は「むくみ」と「脂肪」?食べ方と生活習慣で賢く対策

「今年こそは絶対に太りたくないけれど、せっかくのお正月だし美味しいものは我慢したくない」

年末年始が近づくと、このような葛藤を抱える方は少なくありません。親戚の集まりや豪華なおせち料理、ついつい手が伸びるお餅やお酒など、正月にはダイエットの天敵とも言える誘惑が無数に存在します。「正月だから仕方ない」と諦めて暴飲暴食を繰り返した結果、仕事始めのスーツがきつくて後悔する、といった経験は誰もが一度は通る道ではないでしょうか。

しかし、正しい知識と少しの工夫さえあれば、美味しい食事を楽しみながら体重をキープすることは十分に可能です。重要なのは「我慢」ではなく「コントロール」です。なぜ太るのかというメカニズムを理解し、適切なタイミングで適切なケアを行えば、体重計に乗るのが怖くないお正月を過ごせます。

この記事でわかること

目次

正月太りの原因は「脂肪」だけじゃない?まずは敵を知ろう

お正月に体重が増える現象に対して、多くの方が「脂肪がついてしまった」と焦りを感じますが、実は短期間での体重増加の大部分は脂肪ではありません。人間の体は、食べたものがすぐに脂肪に変わるわけではなく、余剰カロリーが脂肪として蓄積されるまでには一定のタイムラグが存在します。では、なぜ体重計の数値はあんなにも簡単に跳ね上がるのでしょうか。

その正体を正しく理解することで、無駄な焦りをなくし、冷静な対処が可能になります。「太った」と勘違いして過度な断食に走ったり、逆に自暴自棄になってさらに食べ続けたりする負のループを断ち切るためにも、まずは体重増加のメカニズムを紐解いてみましょう。原因がわかれば、対策は驚くほどシンプルになります。

むくみと体重増加の密接な関係

正月明けの体重増加の最大の犯人は、実は「水分」です。おせち料理やカニ鍋、年越しそばなど、年末年始の食事は普段の食事に比べて塩分濃度が極めて高い傾向にあります。塩分(ナトリウム)を過剰に摂取すると、体は体内の塩分濃度を一定に保とうとして、水分を溜め込む働きをします。これが「むくみ」の正体です。

例えば、塩辛いおつまみを食べながらお酒を飲んだ翌朝、顔がパンパンに腫れていたり、指輪が抜けなくなったりした経験はないでしょうか。これは体が水分を抱え込んでいる証拠であり、この水分だけで体重が1〜2kg変動することは珍しくありません。つまり、体重計の数値が増えていたとしても、それは脂肪が増えたわけではなく、一時的な水太りである可能性が高いのです。

また、炭水化物(糖質)の摂取量が増えることも水分貯蔵の原因となります。糖質は体内でグリコーゲンとして肝臓や筋肉に蓄えられますが、このグリコーゲンは質量の3〜4倍の水分と結びつく性質を持っています。お餅やお雑煮をたくさん食べれば、それだけ体内に水分が引き込まれ、物理的な重量が増えるのです。このメカニズムを知っていれば、「増えたのは水だ」と冷静に捉え、水分排出を促すケアに意識を向けることができます。

糖質の摂りすぎと塩分過多のメカニズム

年末年始の食事は、保存性を高めるために砂糖や醤油、みりんを多用する傾向があります。おせち料理の代表格である伊達巻、栗きんとん、黒豆などは、言わば「和菓子」に近い糖質量を含んでいます。これらを食事として摂取することで、知らず知らずのうちに急激な血糖値の上昇を招いてしまいます。

血糖値が急上昇すると、膵臓から「インスリン」というホルモンが大量に分泌されます。インスリンは血中の糖分をエネルギーとして処理する役割を持ちますが、使いきれなかった余分な糖を脂肪細胞に送り込み、体脂肪として蓄積させる働きも持っています。「肥満ホルモン」とも呼ばれるインスリンが過剰に分泌される状態が続けば、むくみだけでなく本物の脂肪が増えてしまうことになります。

さらに、塩分の過剰摂取は食欲を増進させる作用もあります。塩辛いものを食べると喉が渇き、甘い飲み物やお酒が進み、さらにまた塩辛いものが欲しくなるという「味覚のシーソーゲーム」に陥りがちです。お正月はこの無限ループが発生しやすい環境が整っているため、意識的に「薄味」や「出汁の味」を選ぶ、あるいはカリウムを含む食材を意識するといった対策が必要不可欠です。

不規則な生活リズムが代謝を下げる理由

食事内容だけでなく、生活リズムの乱れも正月太りの大きな要因です。夜更かしをして昼過ぎまで寝ているような生活は、自律神経のバランスを崩し、基礎代謝を著しく低下させます。人間の体は、朝日を浴びて活動モードに切り替わることで交感神経が優位になり、エネルギー消費が高まりますが、昼夜逆転の生活では副交感神経が優位な時間が長くなり、体が「省エネモード」に入ってしまいます。

また、寒さで外出がおっくうになり、暖かい部屋で長時間座りっぱなしや寝転がりっぱなしになると、筋肉の活動量が極端に減ります。特に下半身の筋肉を使わないでいると、血液やリンパの流れが滞り、前述した「むくみ」がさらに悪化します。代謝が落ちた状態で高カロリーな食事を摂れば、当然ながらエネルギーは消費されずに蓄積される一方です。

「寝正月」という言葉がありますが、ただ寝ているだけで体力が回復するわけではありません。むしろ、活動量の低下による筋力減少や代謝ダウンは、休み明けの体調不良や倦怠感にもつながります。完全に普段通りとはいかなくても、朝は決まった時間に起きてカーテンを開ける、午前中に一度は外の空気を吸うなど、体内時計を狂わせない最低限のルールを設けることが、太りにくい体質を維持する防波堤となります。

食べることを我慢しない!太らないための「食事の鉄則」

食べることを我慢しない!太らないための「食事の鉄則」

「正月太りを防ぐために、お餅もおせちも禁止」というのは、あまりにも現実的ではありませんし、精神的なストレスが反動としての過食を招く恐れがあります。大切なのは「何を食べるか」以上に「どう食べるか」という戦略です。同じカロリーを摂取しても、食べ方ひとつで血糖値の上がり方や脂肪への変換率は大きく変わります。

ここでは、お正月の豪華な食事を心から楽しみながら、体へのダメージを最小限に抑えるための具体的なテクニックを解説します。これらは特別な道具もサプリメントも必要なく、今日からの食事ですぐに実践できるものばかりです。賢い食べ方をマスターして、罪悪感なくお正月料理を味わいましょう。

食べる順番を変える「ベジファースト」の効果

食事の最初に食物繊維を摂取する「ベジファースト」は、ダイエットの基本にして最強のテクニックですが、お正月の食事においてこそ、その真価を発揮します。おせち料理を食べる際、いきなり甘い栗きんとんや黒豆、あるいは主食のお雑煮から箸をつけていないでしょうか。空腹状態で糖質を摂り込むと、血糖値の急上昇スパイクが発生し、インスリンが大量分泌されて脂肪蓄積モードに突入します。

これを防ぐためには、まずは「なます」や「たたきごぼう」、「筑前煮のこんにゃくや野菜」など、食物繊維が豊富なメニューから食べ始めることを徹底してください。食物繊維は腸壁をコーティングし、後から入ってくる糖質や脂質の吸収を緩やかにするフィルターのような役割を果たします。おせち料理に野菜が少ない場合は、食事の前にサラダや野菜スティック、あるいは海藻入りの味噌汁を一杯飲んでおくだけでも効果絶大です。

また、きのこ類や海藻類に含まれる水溶性食物繊維は、腸内環境を整えて便通を良くする効果もあります。正月の暴食で腸が疲れ、便秘になりやすい時期だからこそ、意識的に食物繊維の「先取り」を行うことで、代謝の良い状態をキープできます。一口目は野菜から、これを合言葉に箸を進めましょう。

餅やおせち料理の太りにくい選び方と量

お餅は非常に密度が高い炭水化物であり、切り餅2個でご飯茶碗1杯分以上のカロリーと糖質を含んでいます。しかも、焼いて醤油をつけるだけ、お雑煮に入れるだけといった食べ方は、噛む回数が少なくなりがちで、満腹中枢が刺激される前に過剰量を食べてしまうリスクがあります。お餅を食べる際は、大根おろしを絡めた「からみ餅」にして消化を助けたり、海苔を巻いてミネラルを補給したり、具沢山の汁物に入れたりして、単体食いを避ける工夫が必要です。

おせち料理に関しては、高カロリーなものと低カロリーなものを把握し、皿に取る割合を調整することがポイントです。例えば、栗きんとん、黒豆、伊達巻は「スイーツ枠」として捉え、食事のメインではなくデザート感覚で少量楽しむのが賢明です。一方で、紅白なます、数の子、エビ、煮しめ(特に野菜やこんにゃく)などは比較的低糖質でタンパク質も摂れるため、これらをメインのおかずとして皿の半分以上を埋めるようにしましょう。

以下に、おせち料理のカロリーと糖質の目安をまとめました。何気なく食べているその一品が、どれくらいのエネルギーを持っているかを視覚的に理解しておきましょう。

料理名カロリー(目安)糖質量太りにくい食べ方のコツ
栗きんとん(2粒)約170kcalデザートとして最後に少量食べる
黒豆(小皿1杯)約100kcal煮汁を切って食べる、量は控えめに
伊達巻(2切れ)約120kcal卵焼き感覚ではなくケーキ感覚で
紅白なます約30kcal食事の最初に食べる(ベジファースト)
焼きエビ(1尾)約40kcal高タンパクなので積極的に食べてOK
数の子(1本)約20kcal塩分が高いので塩抜きをしっかりする

このように、同じおせち料理の中にも「太りやすいゾーン」と「安心ゾーン」が明確に存在します。自分の皿に取り分ける際、安心ゾーンの料理を多めに配置することで、視覚的な満足感を減らすことなくカロリーコントロールが可能になります。無意識に箸を伸ばすのではなく、戦略的にターゲットを選定してください。

アルコールとの賢い付き合い方と水の重要性

お正月といえば、朝からのお屠蘇や親戚との宴会など、普段以上にお酒を飲む機会が増えるものです。アルコール自体にもカロリーはありますが、それ以上に問題なのは「アルコールが脂肪分解をストップさせる」という生理作用です。肝臓はアルコールが入ってくると、毒素であるアセトアルデヒドの分解を最優先に行うため、食事で摂った糖質や脂質の代謝は後回しにされ、結果としてそれらが脂肪として蓄積されやすくなります。

このダメージを最小限にするためには、飲むお酒の種類と飲み方が重要です。ビールや日本酒、甘いチューハイなどの「醸造酒」や糖質の多い酒類は避け、焼酎やウイスキー、ジンなどの「蒸留酒」を選ぶことで糖質摂取を抑えられます。もちろん、割る際はジュースではなく、炭酸水やお茶、水を選ぶことが鉄則です。

そして何より重要なのが「同量の水(チェイサー)」を飲むことです。アルコールには利尿作用があり、飲めば飲むほど体は脱水状態になります。脱水になると血液がドロドロになり代謝が落ちるだけでなく、翌日の強烈なむくみにつながります。「お酒を一口飲んだら、水を一口飲む」というルールを徹底するだけで、血中のアルコール濃度の上昇を抑え、飲み過ぎを防ぎ、翌日のコンディションを劇的に良くすることができます。

夜遅い食事の対処法と翌日の調整メニュー

ダラダラとテレビを見ながら夜遅くまで食べ飲み続けてしまうのも、正月の典型的な失敗パターンです。体内時計を司る「BMAL1(ビーマルワン)」というタンパク質は、夜22時から深夜2時にかけて最も活性化し、この時間帯に食べたものは昼間の20倍以上も脂肪になりやすいと言われています。可能な限り、夕食は20時までに終えるのが理想ですが、付き合いなどで避けられない場合もあるでしょう。

もし夜遅くに食事をしてしまった場合は、食後すぐに寝ないことが重要です。食べてすぐ寝ると、消化活動が睡眠の質を下げ、翌日の代謝低下を招きます。最低でも食後2〜3時間は起きているようにし、軽いストレッチなどで血糖値を少しでも下げてからベッドに入るようにしましょう。そして翌日の朝食は、固形物を控えて胃腸を休めることが大切です。

例えば、翌朝は白湯や具なしの味噌汁、スムージー程度に留め、前夜の未消化物が処理されるのを待ちます。「1日3食しっかり食べなければならない」という思い込みを捨て、前日の過剰摂取分を翌日のマイナスで帳尻合わせするという柔軟な思考を持つことが、連鎖的な体重増加を防ぐ鍵となります。

家の中でできる!代謝を下げないための「ながら運動」

正月太りを防ぐために「毎日ランニングをする」「ジムに通う」といった高い目標を掲げても、寒い季節や家族行事の合間にはなかなか継続できません。また、非日常であるお正月に無理な運動計画を立てることは、ストレスの原因にもなります。重要なのは、わざわざ運動の時間を作るのではなく、日常の動作の中に運動要素を組み込む「ながら運動」です。

こたつに入りながら、テレビを見ながら、あるいは初詣の移動中など、隙間時間や何気ない動作を少し意識するだけで、消費カロリーは確実に積み上がります。ここでは、ズボラな方でも実践できる、ハードルを極限まで下げた運動テクニックを紹介します。塵も積もれば山となる、を体感してください。

テレビを見ながらできるストレッチと筋トレ

お正月は特番などを見て長時間座りっぱなしになることが多いですが、この時間を有効活用しない手はありません。CMの間だけ、あるいは番組を見ながらでもできる簡単な動作を取り入れましょう。例えば、座ったまま両足を浮かせてキープする「足上げ腹筋」は、腹直筋を刺激し、お腹周りの引き締めに効果的です。こたつに入ったままでも、膝を伸ばして足首を曲げ伸ばしするだけで、ふくらはぎのポンプ作用が働き、むくみ解消につながります。

また、肩甲骨周りを動かすことも代謝アップには欠かせません。背中には「褐色脂肪細胞」という、脂肪を燃焼させて熱を生み出す細胞が多く存在しています。座ったまま両手を上げて背伸びをしたり、肩を大きく回したりして肩甲骨を刺激することで、体温が上がり、座っていてもカロリー消費しやすい状態を作ることができます。「CMに入ったら肩を回す」といった自分ルールを決めておくと、無意識に実践できるようになります。

さらに、うつ伏せになってテレビを見るときは、肘をついて上体を起こす「プランク」の姿勢をとってみましょう。最初は30秒でも構いません。体幹が鍛えられ、お腹が凹むだけでなく、姿勢が良くなることで内臓機能の活性化も期待できます。リラックスタイムを完全な休息にせず、少しだけ筋肉への刺激に変える工夫が大きな差を生みます。

買い物や初詣を運動に変えるウォーキング術

初詣や初売りなど、お正月ならではの外出イベントも立派な運動のチャンスです。人混みの中を歩く際、ただ漫然と歩くのではなく「大股で早歩き」を意識してみてください。歩幅を大きくすることで、太ももの大きな筋肉や股関節周りの筋肉が使われ、消費カロリーがアップします。また、背筋を伸ばしてお腹に力を入れた状態(ドローイン)で歩くことで、ウォーキングが体幹トレーニングへと変化します。

神社やお寺に長い階段がある場合は、エスカレーターやスロープを使わずにあえて階段を選びましょう。階段の上り下りは平地を歩く数倍のエネルギーを消費します。「この階段を登れば厄除けになるし、カロリーも消費できて一石二鳥」と考えれば、辛い階段もポジティブに捉えられるはずです。混雑してゆっくりしか進めない場合でも、片足立ちの時間が長くなるため、バランス感覚を養うトレーニングになります。

買い物の際も、カートを使わずにかごを持って歩く、一番遠い駐車場に車を停めるなど、日常の小さな負荷を積み重ねましょう。寒い外気の中で体を動かすと、体温を維持しようとして基礎代謝が上がるため、冬のウォーキングは夏よりもダイエット効率が良いとも言われています。防寒対策をしっかりして、アクティブに動き回りましょう。

血糖値を下げる食後の軽いアクション

「食べてすぐ寝ると牛になる」という昔からの言い伝えは、血糖値コントロールの観点から見ても理にかなっています。食後1時間以内は血糖値が最も上昇しやすいタイミングであり、この時間にじっとしていると、血液中の糖がどんどん脂肪細胞へと運ばれてしまいます。逆に言えば、食後すぐに少しでも体を動かせば、糖が筋肉のエネルギーとして使われ、脂肪への蓄積を阻止できるのです。

激しい運動をする必要はありません。食後の食器洗いや片付けを率先して行う、部屋の掃除機をかける、あるいは近所を15分ほど散歩する程度で十分です。特に「スクワット」などの下半身の筋肉を使う運動は、大きな筋肉を動かすため糖の取り込み効率が非常に高くおすすめです。食べた直後に「ごちそうさま」と言ってすぐにゴロ寝をするのだけは避け、まずは立ち上がって何か作業をする癖をつけましょう。

もし食べ過ぎてしまっても焦らない「48時間リセット術」

どんなに気をつけていても、場の雰囲気や料理の美味しさに負けて食べ過ぎてしまうことはあります。しかし、ここで「もうダメだ」と諦めてしまうのが一番の失敗です。食べたものが体脂肪として定着するまでには、約48時間(2日間)の猶予があると言われています。この48時間の間に食事量を調整し、余分なエネルギーを消費すれば、食べたことを「なかったこと」に近づけることができます。

ここでは、食べ過ぎた直後から実践すべきリカバリー方法、いわゆる「リセット術」を紹介します。焦って絶食をするのではなく、体に必要な栄養を与えながら代謝を促す、建設的な修正プランです。

翌朝の食事コントロール方法

食べ過ぎた翌日の朝は、胃腸が疲弊し、まだ前日の食事が残っている状態であることが多いです。無理に朝食を食べる必要はありません。まずはコップ一杯の白湯を飲み、内臓を温めて消化活動をサポートしましょう。お腹が空いていないなら、固形物は抜いて、水分補給だけに留める「半日断食」を行うのも有効です。これにより、胃腸を休ませ、排泄機能(デトックス)にエネルギーを集中させることができます。

もしお腹が空いた場合は、消化に良く温かいものを選びます。卵雑炊、豆腐の味噌汁、焼きリンゴなどがおすすめです。パンやご飯などの炭水化物は控えめにし、タンパク質とビタミン・ミネラルの摂取を優先してください。フルーツに含まれる酵素やビタミンは代謝を助けるので、朝食にキウイやグレープフルーツなどを取り入れるのも良いでしょう。

昼食や夕食も、「昨日の余り物のお餅やおせち」を惰性で食べるのは避けましょう。リセット期間中は、高タンパク・低脂質の食事(鶏むね肉、魚、大豆製品など)とたっぷりの野菜を中心にし、ご飯などの主食は普段の半分以下に抑えます。こうして1日の総摂取カロリーを調整し、48時間トータルで見たときにプラスマイナスゼロを目指します。

水分排出を促すカリウム摂取のポイント

前述の通り、正月太りの主因の一つは塩分過多による「むくみ」です。体内に溜まった余分な水分とナトリウムを排出するためには、「カリウム」というミネラルを積極的に摂取することが効果的です。カリウムは腎臓でのナトリウム再吸収を抑制し、尿としての排出を促進する作用があります。

カリウムを多く含む食材には、アボカド、バナナ、ほうれん草、海藻類(わかめ、ひじき)、納豆、里芋などがあります。リセット期間の食事には、これらの食材を意識的に取り入れましょう。例えば、朝食にバナナヨーグルトを食べる、昼食にわかめサラダを追加する、おやつに無塩のナッツを食べるなどが手軽です。また、コーヒーやお茶に含まれるカフェインにも利尿作用がありますが、飲み過ぎは逆に脱水を招くこともあるため、ノンカフェインのハーブティーや黒豆茶なども併用して水分循環を良くしましょう。

入浴もむくみ解消の強力な手段です。シャワーだけで済ませず、湯船にゆっくり浸かって汗をかくことで、代謝が上がり水分の排出が進みます。お風呂上がりのストレッチやマッサージも組み合わせれば、翌朝のスッキリ感は格段に違います。

胃腸を休めるプチ断食のやり方と注意点

食べ過ぎが数日続いた場合、胃腸はずっと働き詰めでお疲れモードになっています。胃腸の機能が低下すると、栄養の吸収効率が悪くなるだけでなく、代謝も落ちてしまいます。そこでおすすめなのが、夕食を早めに済ませて翌日の昼まで何も食べない「16時間断食(オートファジーダイエット)」です。睡眠時間を挟むため、比較的ストレスなく実践できます。

例えば、夕食を19時に終えたら、翌日の11時までは水やお茶、ブラックコーヒー以外のものを口にしないようにします。この空腹時間の間に、体は内臓脂肪を分解してエネルギーを作り出そうとし、同時に細胞内の古くなったタンパク質をリサイクルする「オートファジー」という機能が活性化します。これにより、胃腸の休息と脂肪燃焼、細胞の若返りを同時に狙うことができます。

ただし、注意点もあります。断食明けの最初の食事(回復食)で、いきなりカツ丼やラーメンなどの高糖質・高脂質なものを食べてしまうと、血糖値が急上昇して逆効果になります。断食明けは「おかゆ」や「具なし味噌汁」などから始め、徐々に普通の食事に戻していくことが大切です。また、体調が優れない場合や妊娠中の方などは無理に行わず、医師に相談するか、消化の良い食事を少量摂る方法に切り替えてください。

正月明けに後悔しないためのマインドセットと生活習慣

正月太りを防ぐためのテクニックを紹介してきましたが、最終的に最も重要なのは「心の持ちよう」と「環境づくり」です。人間の意志力はそれほど強くありません。目の前に美味しそうなものがあれば食べてしまいますし、暖かいこたつがあれば動きたくなくなります。自分の意志に頼るのではなく、自然と太らない行動が取れるような仕組みを作ってしまうことが、成功への近道です。

ダラダラ食べを防ぐ環境づくり

こたつの上に常にみかんやお菓子、おつまみが置かれている状態は、ダイエットにとって最悪の環境です。視界に食べ物が入るだけで、脳は「食べたい」という信号を発し、空腹でもないのに手を出してしまう「ニセの食欲」を引き起こします。これを防ぐためには、食べ物は見えない場所(棚の中や冷蔵庫の奥)にしまい、食べる時だけ取り出すようにしましょう。

また、「ながら食べ」を禁止するというルールも有効です。テレビやスマホを見ながら食事をすると、満腹中枢への信号が鈍り、食べた満足感を得にくくなります。「食べる時は食卓に座り、食事だけに集中する」と決めるだけで、無駄な間食や過食は激減します。家族がいる場合は、協力をお願いして、こたつの上を常にクリアな状態にしておくと良いでしょう。

睡眠の質を確保してホルモンバランスを整える

睡眠不足は食欲を増進させるホルモン「グレリン」を増やし、食欲を抑制するホルモン「レプチン」を減らすという、ダイエットにとって最悪のホルモンバランスを作り出します。研究によると、睡眠時間が短い人は肥満率が高いというデータも数多く存在します。お正月は夜更かしをしがちですが、睡眠時間を削ることは、翌日の暴食を予約しているようなものです。

質の高い睡眠をとるためには、寝る1時間前からスマホやテレビの画面を見るのを控え、部屋の照明を落としてリラックスモードに入ることが大切です。また、日中に少しでも日光を浴びておくことで、夜に睡眠ホルモンであるメラトニンが分泌されやすくなります。「しっかり寝ることもダイエットの一環」と捉え、お正月休みこそ十分な睡眠をとって、痩せやすいホルモンバランスを整えましょう。

よくある質問(FAQ)

お餅は何個までなら食べても太りませんか?

個人の活動量や体格にもよりますが、一般的な成人女性であれば1日2個程度を目安にすると良いでしょう。切り餅2個でご飯大盛り1杯分に近い糖質量があります。朝食や昼食など活動する時間帯に食べ、夜遅くには控えるのが鉄則です。また、食べる際は野菜や海藻を一緒に摂り、血糖値の上昇を抑える工夫を忘れないでください。

どうしても甘いものが食べたいときはどうすればいいですか?

我慢しすぎてストレスを溜めるよりは、質とタイミングを選んで食べましょう。おすすめは、カカオ70%以上の高カカオチョコレートや、ビタミン豊富なフルーツ、和菓子(あんこ系)などです。洋菓子などのクリーム系は脂質も高いため避けた方が無難です。食べるタイミングは、脂肪蓄積が少ない午後3時頃がベストです。

お正月太りをリセットするのにどれくらいの期間が必要ですか?

早めの対処ができれば、食べた日数と同じくらいの期間で戻せることが多いです。3日間暴食したら、その後の3日間で食事調整を行えば元に戻りやすいでしょう。しかし、放置して脂肪として定着してしまうと、落とすのに1ヶ月以上かかることもあります。「食べ過ぎたら48時間以内に調整」を繰り返すのが、最も効率的な期間短縮のコツです。

まとめ

お正月は一年の始まりを祝う大切な時期であり、美味しい食事や団欒を楽しむことは心の栄養になります。しかし、その楽しみが後悔に変わってしまっては元も子もありません。今回紹介した「むくみ対策」「食べ順」「ながら運動」「48時間リセット」を実践すれば、体重計の数値を恐れることなく、心身ともに健やかな新年をスタートできるはずです。

完璧を目指す必要はありません。「ベジファーストだけはやる」「水だけはしっかり飲む」といった、自分にできる小さなルールを一つ守るだけでも結果は変わります。無理なく賢くコントロールして、美味しいお正月と理想の体型の両方を手に入れましょう。

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