「今年もあと少し…あそこも掃除しなきゃ、お正月の買い物もしなきゃ!」
12月に入ると、街の雰囲気も慌ただしくなり、やらなければならないことが山積みで焦りを感じてしまうことはありませんか?仕事納めに追われながら、家では大掃除や新年の準備。気づけば大晦日で、疲れ果てて年越しそばをすすることになってしまっては、せっかくの新年も気持ちよく迎えられませんよね。
実は、年末の忙しさを解消する鍵は、作業量そのものを減らすことよりも、「段取り」を整えることにあります。いつ、何を、どの順番でやるかを明確にするだけで、心と体に驚くほどの余裕が生まれます。今年は賢い段取り術を身につけて、大掃除も買い出しもスマートにこなし、清々しい気持ちで新年を迎えてみませんか?
この記事でわかること
- 12月を上旬・中旬・下旬に分けた理想的なスケジュールの立て方
- 挫折せずに家をピカピカにする場所別の大掃除戦略
- 混雑を回避して無駄買いを防ぐ年末年始の買い出しリスト術
- お正月飾りやお年玉など忘れがちな新年の準備タイミング
年末の段取りは「リスト化」と「スケジュール」が9割
年末の準備がうまくいかない最大の原因は、頭の中だけで「あれもやらなきゃ、これもやらなきゃ」と考えてしまい、漠然とした不安に追われることにあります。人間の脳は、未完了のタスクを記憶し続けることにストレスを感じるようにできています。そのため、まずは頭の中にあるタスクをすべて書き出し、「見える化」することが重要です。ここでは、焦燥感を消し去り、着実に実行に移すためのスケジューリングの基本について解説します。リストを作るというひと手間が、結果的に数時間の余裕を生み出すのです。
なぜ年末は忙しいのか?頭の中を全て書き出す重要性
師走という言葉の通り、12月はなぜこれほどまでに忙しく感じるのでしょうか。それは、通常の家事や仕事に加えて、「期限付きの特別なタスク」が一気に押し寄せるからです。例えば、大掃除、年賀状の作成、お歳暮の手配、クリスマスの準備、お正月の買い出し、帰省の準備など、これらはすべて「年末までに」あるいは「元旦までに」という締め切りがあります。これらを整理せずに場当たり的に対応していると、常に何かに追われている感覚に陥り、精神的な疲労が蓄積してしまいます。
この状況を打破するために最も効果的なのが、「タスクの棚卸し」です。まずは紙とペン、あるいはスマートフォンのメモアプリを用意して、思いつく限りの「やるべきこと」を書き出してみてください。「換気扇の掃除」といった大きなタスクだけでなく、「ポチ袋を買う」「銀行で新札に両替する」「お餅の注文をする」といった細かなタスクまで、漏れなく書き出すことがポイントです。書き出すことで、「意外とやることはこれだけしかないんだ」と冷静になれたり、「この日は予定が詰め込みすぎているから分散させよう」といった調整が可能になります。
また、書き出したリストは「絶対にやるべきこと(Must)」と「できればやりたいこと(Want)」に分類することをおすすめします。年末の時間は有限です。すべてを完璧にこなそうとするのではなく、「窓拭きは寒すぎるから暖かくなってからやる」といったように、優先順位の低いものは潔く来年に回すという決断も、心の余裕を持つための立派な段取りの一つです。完璧主義を捨て、優先順位を明確にすることが、年末を笑顔で過ごすための第一歩となります。
12月の理想的なスケジュール配分(上旬・中旬・下旬)
年末のタスクを効率よくこなすためには、12月という1ヶ月間を「上旬」「中旬」「下旬」の3つのフェーズに分け、それぞれの時期に適した役割を持たせることが鉄則です。多くの人が陥りがちなのが、25日のクリスマス過ぎまで何もせず、年末の数日間に全てを詰め込んでしまうパターンです。これでは体力が持ちませんし、不測の事態(体調不良や急な用事)に対応できなくなってしまいます。余裕を持って進めるための理想的な配分を把握しておきましょう。
まず「上旬(1日〜10日)」は、計画と不用品の処分の期間です。ゴミの最終収集日は地域によって異なりますが、年末ギリギリになると粗大ゴミの受付が終了していることも多々あります。まずは家の中の不用品をチェックし、捨てるものを決めて出す準備をしましょう。また、お歳暮の手配や年賀状のデザイン決めなど、相手があることも早めに済ませておくのがマナーであり、心の余裕に繋がります。
次に「中旬(11日〜20日)」は、少し手のかかる掃除と保存のきくものの買い出し期間です。大掃除はこの時期から少しずつ始めましょう。特に換気扇や浴室などの水回りは時間がかかるため、週末を利用して1箇所ずつ終わらせておくと後が楽になります。また、乾物や缶詰、お酒、調味料など、常温で保存がきくお正月用品はこの時期に購入しておきます。スーパーが激混みする年末を避けて重いものを買っておくだけで、年末の買い出しの負担が半分以下になります。
そして「下旬(21日〜31日)」は、仕上げと生鮮食品の買い出し期間です。クリスマスが終わったら、玄関の飾り付けやお正月の生花を準備します。大掃除は窓拭きや玄関の掃き掃除など、仕上げの軽いものに留めましょう。28日から30日にかけてはおせち料理の準備や生鮮食品の買い出しを行いますが、事前にリストアップした必要なものだけを狙って買い物に行けば、混雑した店内でもスムーズに動けます。大晦日はあくまで「年越しを楽しむ日」として、特別なタスクを入れずにゆっくり過ごせるように調整するのがゴールです。
| 時期 | テーマ | 主なタスク例 |
|---|---|---|
| 12月上旬 (1日〜10日) | 計画・処分・手配 | 不用品の整理、粗大ゴミ申し込み、年賀状作成、お歳暮手配、クリスマス準備 |
| 12月中旬 (11日〜20日) | 大掃除・プレ買い出し | 換気扇・水回りの掃除、日持ちする食品・日用品の購入、年賀状投函 |
| 12月下旬 (21日〜31日) | 仕上げ・生鮮購入 | 窓・玄関掃除、正月飾り、生鮮食品の購入、おせち準備、年越しそば |
この表のように、時期ごとにやるべきことを分散させることで、年末の「詰め込みすぎ」を防ぐことができます。特に「不用品の処分」と「日持ちするものの購入」を早めに終わらせるだけで、年末の景色が驚くほど変わります。
大掃除を挫折しないための「小分け」戦略

「大掃除」という言葉を聞くだけで気が重くなるのは、1日や2日で家中の汚れをすべて落とそうとしているからです。プロの清掃業者でもない限り、短期間で完璧に仕上げるのは体力的にも精神的にも困難です。大掃除を成功させるコツは、一気に終わらせようとせず、「場所」と「時間」を細かく区切って進める「小分け掃除」にあります。ここでは、無理なく着実に家をきれいにするための具体的な戦略と、効率を上げるためのテクニックを紹介します。
1日で終わらせようとしない!場所別スケジュール
多くの家庭でありがちなのが、12月29日や30日に家族総出で大掃除を始めるものの、途中で疲れてしまい、結局中途半端なまま年を越してしまうパターンです。これを防ぐためには、「1日1箇所」あるいは「週末に2箇所」といったペースで、12月中旬から少しずつ進めるスケジュールを組むことが重要です。掃除は体力を使う重労働ですから、疲労を翌日に持ち越さない程度の作業量に抑えることが、継続の秘訣です。
具体的には、まず汚れが頑固で時間がかかる場所から着手します。キッチン(特に換気扇とコンロ周り)と浴室は、つけ置き時間が必要な場合も多いため、別々の日に設定しましょう。例えば、「12月第2週の土曜日は換気扇」「日曜日はお風呂のカビ取り」と決めます。次に、窓や網戸、ベランダなどの外回りは、天候に左右されるため、晴れた暖かい日を狙って行いたいところです。これらを12月中旬までに終わらせておけば、残るはトイレ、洗面所、各部屋の埃取りといった、比較的短時間で済む場所だけになります。
また、スケジュール通りにいかない日があっても、自分を責めないようにしましょう。「今日は疲れているから、洗面所の鏡を拭くだけにしよう」という柔軟な変更も大切です。「大掃除」と気負わずに、「中掃除」や「小掃除」を積み重ねるイメージを持つと良いでしょう。日々の隙間時間に「今日は電子レンジの中だけ」「明日は冷蔵庫の野菜室だけ」と決めて実行するだけでも、年末の負担は劇的に軽くなります。カレンダーに「掃除する場所」を書き込んで、終わったら線を引いて消していくと、達成感も味わえてモチベーション維持に繋がります。
捨てるが先!断捨離の基準と進め方
掃除を効率的に進める上で絶対に守るべき鉄則があります。それは「掃除の前に片付け(整理整頓)を終わらせる」ことです。床に物が散乱していたり、収納棚が不要なもので溢れかえっている状態で掃除を始めても、物をどかす作業に時間を取られ、掃除機をかける頃にはヘトヘトになってしまいます。まずは不要なものを処分し、必要なものをあるべき場所に戻すことから始めましょう。「整理(捨てる)→整頓(戻す)→清掃(磨く)」の順序を守ることが、最短ルートです。
断捨離を進める際、「いつか使うかもしれない」という思考が最大の敵となります。年末という区切りの良い時期を利用して、明確な基準を設けましょう。例えば、「1年間一度も使わなかったものは処分する」「壊れているけれど修理していないものは手放す」「サイズが合わない服はリサイクルに出す」といったルールです。特に、賞味期限切れの調味料や食品、溜まった紙袋や空き箱、なんとなく取っておいた書類などは、迷わず捨てるべき対象です。
また、家族がいる場合は、共有スペースから始めるのがポイントです。リビングや玄関など、みんなが使う場所がスッキリすると、家族全員が片付けの効果を実感しやすく、それぞれの個室の片付けにも前向きに取り組んでくれるようになります。ゴミの収集日は年末年始で変則的になります。可燃ゴミだけでなく、不燃ゴミや資源ゴミの最終回収日を必ず確認し、そこから逆算して「捨てる日」を設定してください。ゴミ袋を片手に家の中をパトロールし、不要なものを集めてから掃除道具を手に取る。この順番を徹底するだけで、掃除のスピードは倍以上になります。
便利な掃除グッズと時短テクニック
大掃除の効率を上げるためには、適切な道具選びと、汚れの性質に合わせた洗剤の使い分けが欠かせません。力任せにゴシゴシ擦るのは時間と体力の無駄であり、素材を傷める原因にもなります。汚れには主に「酸性の汚れ(油汚れ、皮脂など)」と「アルカリ性の汚れ(水垢、尿石など)」があり、それぞれ反対の性質を持つ洗剤を使って中和させて落とすのが、最も楽で確実な方法です。
油汚れがひどいキッチン周りには、アルカリ性の「重曹」や「セスキ炭酸ソーダ」が活躍します。五徳や換気扇のファンなどは、大きめのゴミ袋にぬるま湯と洗剤を入れてつけ置きする「温めつけ置き」が効果的です。汚れが浮き上がり、軽く擦るだけでスルッと落ちます。一方、浴室の鏡や蛇口の白いウロコ汚れ(水垢)、トイレの黄ばみはアルカリ性なので、酸性の「クエン酸」を使います。クエン酸水をスプレーし、ラップでパックをしてしばらく置くと、固まった汚れが分解されてピカピカになります。
また、最近では「メラミンスポンジ」や「マイクロファイバークロス」といった、洗剤を使わなくても汚れを落とせる便利グッズも充実しています。これらは手軽に使えるので、気づいた時にサッと掃除するのに最適です。さらに、高いところや隙間の掃除には、柄の長いハンディモップや、使い古した歯ブラシ、割り箸に布を巻きつけた「マツイ棒」のような自作グッズも役立ちます。便利な道具を味方につけ、化学の力(洗剤)と時間の力(つけ置き)を最大限に活用することで、プロ並みの仕上がりを短時間で実現しましょう。
| 汚れの種類 | 場所の例 | 効果的な洗剤・道具 |
|---|---|---|
| 酸性汚れ (油、手垢) | 換気扇、コンロ、壁紙、ドアノブ | 重曹、セスキ炭酸ソーダ、アルカリ電解水 |
| アルカリ性汚れ (水垢、尿石) | 浴室の鏡・蛇口、電気ポット、トイレ | クエン酸、酸性洗剤、ラップ(パック用) |
| カビ・菌 (黒ずみ) | 浴室のパッキン、排水溝 | 塩素系漂白剤(カビキラー等)、片栗粉(垂れ防止) |
買い出し地獄を回避する!食材・日用品の賢い買い物術
年末のスーパーマーケットは、まさに戦場です。レジには長蛇の列ができ、駐車場に入るのにも一苦労。さらに価格も「年末価格」で高騰していることが多く、計画なしに行くと時間もお金も浪費してしまいます。しかし、事前にリストを作り、購入時期をずらすなどの工夫をすれば、このストレスを大幅に軽減できます。ここでは、賢い消費者が実践している、無駄なく効率的な買い出し術をご紹介します。
年末年始に必要なものチェックリスト(食品・日用品)
買い出しに行く前に必ず行うべきなのが、在庫確認と買い物リストの作成です。まずは冷蔵庫やパントリーを開け、残っている食材や調味料を確認しましょう。醤油やみりん、砂糖などの基本調味料が年末年始に切れてしまうと、営業している店を探し回ることになり大変です。また、トイレットペーパーやティッシュ、洗剤、ゴミ袋、カセットコンロのガスボンベといった日用品も、この時期は消費が早いため、少し多めにストックしておくと安心です。
食品に関しては、「お正月に必ず食べるもの」と「三が日の食事用」に分けて考えます。おせち料理の材料(蒲鉾、伊達巻、黒豆など)、年越しそば、お餅、お雑煮の具材などは必須アイテムです。それに加えて、みかんやお菓子、お茶、お酒などの嗜好品もリストアップしましょう。また、意外と忘れがちなのが、胃腸薬や頭痛薬などの常備薬です。病院や薬局が休みになる期間に体調を崩すと心細いものです。絆創膏なども含め、救急箱の中身も点検しておくことを強くおすすめします。
リストを作る際は、スマホのメモアプリなどを活用し、家族と共有できるようにしておくと便利です。「パパが帰りに牛乳を買ってきてくれたけど、ママも買っていた」というような重複買いを防げますし、気づいた人が気づいた時に買い足すことができます。リスト化することで、「何をどれだけ買えばいいか」が明確になり、スーパーでの滞在時間を短縮し、余計なものを買ってしまう衝動買いの防止にもつながります。
混雑を避ける買い物スケジュールと保存テクニック
年末の買い物は、「何をいつ買うか」というタイミングが全てです。すべての食材を年末ギリギリに買う必要はありません。むしろ、日持ちするものは12月中旬までに購入しておくのが賢い選択です。お酒、ジュース、お菓子、缶詰、乾物、調味料、冷凍食品などは、早めに買っても品質に問題はありません。また、お餅や鏡餅も早めに店頭に並ぶため、気に入ったものを先に確保しておきましょう。これらを事前に購入しておくだけで、年末の買い物カゴの重さが劇的に軽くなります。
生鮮食品に関しても、ある程度の保存テクニックがあれば、混雑のピークを避けて購入することが可能です。例えば、お肉や魚は、12月25日〜27日頃に購入し、下味をつけて冷凍保存したり、小分けにして冷凍しておけば、お正月まで十分に持ちます。野菜類も、根菜類(大根、人参、ごぼうなど)は早めに買っておけますし、葉物野菜も新聞紙に包んで冷蔵庫に立てて保存すれば長持ちします。蒲鉾や伊達巻などの練り物も、賞味期限を確認して長めのものを選べば、クリスマス直後くらいから購入可能です。
どうしても直前に買わなければならないのは、お刺身や一部の生鮮野菜くらいです。これらは12月30日か31日の午前中、できれば開店直後を狙ってサッと買いに行きましょう。午後は値引きシールを狙う客で混雑する上、品切れのリスクも高まります。このように買い物を「長期保存可能品(早めに)」「冷凍・冷蔵保存品(中頃に)」「当日必要品(直前に)」の3段階に分散させることで、年末のレジ待ち行列に並ぶ時間を最小限に抑えることができます。
ネットスーパーと通販の活用で重い荷物から解放
お米やビール、ペットボトル飲料、洗剤などの重くてかさばるものは、物理的な負担が大きく、買い出しの疲れの主原因となります。これらを自分で運ぶのはやめて、ネットスーパーや通販サイトを積極的に活用しましょう。特に年末は、玄関先まで届けてくれるサービスのありがたみが身に染みます。ただし、年末年始は配送が混み合い、希望の日時に届かない可能性もあるため、早めの注文が必須です。
また、おせち料理やカニ、高級肉といった「お正月の目玉食材」も、通販での予約購入がおすすめです。早期割引が適用されることも多く、店頭で買うよりもお得で確実に入手できます。最近では、有名レストランやホテルの味が楽しめる冷凍おせちも人気で、解凍するだけで豪華な食卓が完成します。こうした「お取り寄せ」を活用することで、料理の手間を省きつつ、特別感を演出することができます。
ネットスーパーを利用する際は、普段使い慣れているサイトだけでなく、年末年始限定の配送スケジュールを確認しておくことが大切です。一部のエリアでは配送休止期間があったり、締め切りが早まったりすることがあります。文明の利器を最大限に利用して、体力と時間を温存し、その分を家族団らんや自分へのご褒美タイムに充てましょう。無理をして全部自分で運ぶ必要はどこにもないのです。
| 購入カテゴリー | 購入時期の目安 | おすすめ購入方法 |
|---|---|---|
| 常温保存品 (酒、調味料、米) | 12月中旬まで | 通販・ネットスーパーでまとめ買い |
| 準生鮮食品 (根菜、練り物、肉) | 12月25日〜28日 | スーパー(空いている時間帯)、冷凍保存活用 |
| 生鮮食品 (刺身、寿司) | 12月30日・31日 | 近所のスーパー・鮮魚店(開店直後) |
新年を迎える準備とお正月の設え
掃除と買い出しが終わったら、いよいよ新年を迎えるための「設え(しつらえ)」です。お正月飾りにはそれぞれ意味があり、飾るのに適した日と避けるべき日があるのをご存知でしょうか。また、お年玉の準備など、直前になって慌てがちな細かいタスクも残っています。ここでは、日本の伝統的なマナーを押さえつつ、気持ちよく新年を迎えるための準備について解説します。
お正月飾りはいつ飾る?一夜飾りを避けるタイミング
門松、しめ飾り、鏡餅といったお正月飾りは、歳神様(としがみさま)をお迎えするための大切な目印や依り代(よりしろ)です。これらを飾る日には、昔からの決まりごとがあります。最も良いとされているのは、末広がりの「八」がつく**12月28日**です。「八」は縁起が良い数字とされており、この日に飾るのがベストです。もし28日に間に合わなかった場合は、30日でも問題ありません。
逆に、絶対に避けるべきなのが**12月29日**と**12月31日**です。29日は「二重苦(苦しみ)」に通じるとされ、縁起が悪い日と言われています(ただし、「福(29)」と読んで縁起が良いとする地域もあります)。そして31日は「一夜飾り(いちやかざり)」と呼ばれ、神様をお迎えするのにたった一晩の準備では失礼にあたる、あるいは葬儀と同じ慌ただしさを連想させるとして忌み嫌われています。
したがって、お正月飾りの準備はクリスマスが終わったらすぐに行うのが正解です。26日〜28日の間に飾れるように準備しておきましょう。また、最近ではインテリアに馴染むモダンなしめ飾りや、木製の鏡餅なども人気です。伝統を大切にしつつ、ライフスタイルに合った飾りを取り入れることで、家の中が一気にお正月モードに切り替わり、背筋が伸びるような神聖な気持ちになれるはずです。
お年玉・ポチ袋・新札の準備も忘れずに
お正月準備の中で、意外と直前まで忘れられがちなのが「お年玉」の準備です。親戚の子供たちに会う当日に「あ、ポチ袋がない!」「千円札が足りない!」とコンビニに走った経験がある方もいるのではないでしょうか。こうした失敗を防ぐために、ポチ袋は12月上旬の文房具売り場が充実している時期に、少し多めに買っておくのがおすすめです。
そして最も重要なのが「新札(ピン札)」の用意です。お年玉やお祝い事は、折り目のない新札で渡すのがマナーです。銀行の窓口や両替機は、年末最終営業日(通常は12月30日)には非常に混雑しますし、両替機内の新札が切れてしまうこともあります。できれば12月中旬までに銀行に行き、必要な枚数+予備の新札を用意しておきましょう。1万円札だけでなく、千円札も多めに用意しておくと、急に親戚が増えた場合などにも対応できて安心です。
誰にいくら渡すかという「お年玉リスト」を事前に作っておくのも良いでしょう。昨年の金額や、親戚間のルール(一律◯円など)を確認し、予算を確保しておきます。新札をポチ袋に入れる際は、肖像画がある表面が袋の表側に来るように入れ、三つ折りにする場合は左側→右側の順に折るのが作法です。こうした細やかな心遣いが、渡す相手への敬意となり、清々しい新年の交流を生み出します。
年越し・三が日をゆっくり過ごすための食事計画
年末年始の主婦・主夫にとって最大の悩みは「休みなのに、一日中台所に立って食事を作らなければならない」ことではないでしょうか。三が日くらいは家事から解放されてゆっくりしたいものです。そのためには、事前の食事計画が欠かせません。「何を作るか」ではなく、「何を作らないか」を決めることが、安らかなお正月を過ごすための鍵となります。
おせち料理は「作る」と「買う」を使い分ける
すべてのおせち料理を手作りしようとすると、膨大な時間と手間がかかります。黒豆を煮て、伊達巻を焼いて、栗きんとんを作って…とやっていると、大晦日は徹夜になってしまうかもしれません。そこで提案したいのが、「好きなものだけ手作りして、手間がかかるものは市販品に頼る」というハイブリッドスタイルです。家庭の味が好まれる「煮しめ」や「なます」だけは作り、見栄えが必要な「海老」や「数の子」、手間のかかる「昆布巻き」などは美味しい市販品を買う、というように割り切りましょう。
また、最近では「セット済みのお重」を購入する家庭も増えています。これなら蓋を開けるだけで豪華な食卓になりますし、余計な食材を余らせる心配もありません。もし手作りにこだわるなら、12月30日までにすべて作り終えるスケジュールを組みましょう。おせち料理はもともと保存食ですから、早めに作って味が馴染んだ頃が美味しいものも多いです。重箱に詰めなくても、ワンプレートにおしゃれに盛り付けるだけで、十分にお正月らしい雰囲気は演出できます。
年越しそばと三が日の食事メニューを決めておく
「おせちもいいけどカレーもね」という昔のCMのように、おせち料理ばかり続くと家族も飽きてきます。しかし、その都度「今日の夜は何にする?」と考えるのはストレスです。そこで、12月31日の年越しそばから1月3日の夜までの献立を、あらかじめすべて決めてしまいましょう。例えば、「元旦の朝はおせちとお雑煮、夜はすき焼き」「2日の昼は焼き餅、夜はカニ鍋」「3日の昼はラーメン、夜はカレー」といった具合です。
メニューを決めたら、それに必要な食材も年末の買い出しリストに加えておきます。特に鍋料理やカレー、手巻き寿司などは、準備が簡単で家族みんなで楽しめるため、お正月の定番メニューとして最適です。また、レトルト食品や冷凍のピザ、パスタなどもストックしておくと、「もう何も作りたくない!」という時の救世主になります。三が日は「包丁を持たない」「火を使わない」ことを目標に、徹底的に楽をする準備をしておくことこそが、本当の意味での「年末段取り」と言えるでしょう。
| 日程 | 昼食の提案 | 夕食の提案 |
|---|---|---|
| 12月31日 | 冷蔵庫の残り物整理(チャーハン等) | 年越しそば、天ぷら |
| 1月1日 | おせち、お雑煮 | すき焼き or しゃぶしゃぶ(鍋物) |
| 1月2日 | 焼き餅、磯辺焼き | 手巻き寿司 or 焼肉 |
| 1月3日 | ラーメン、うどん(麺類) | カレーライス or シチュー |
よくある質問
- 喪中の場合、年末の掃除やお正月準備はどうすればいいですか?
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喪中であっても、新年を気持ちよく迎えるための「大掃除」は行って構いません。ただし、神棚の掃除などは控えめにするか、白い紙を貼って封じるのが一般的です。お正月飾り(門松、しめ縄、鏡餅)は行わず、「おめでとうございます」という挨拶も控えます。お年玉は「お小遣い」などの名目で渡すと良いでしょう。おせち料理に関しては、紅白の蒲鉾や鯛などのおめでたい食材を避け、普段通りの食事や精進料理に近い形で静かに過ごす家庭が多いです。
- どうしても大掃除の時間が取れません。最低限どこをやればいいですか?
-
時間がなければ、玄関、トイレ、キッチンのシンクの3箇所だけでも綺麗にしましょう。玄関は家の顔であり、運気が入ってくる場所と言われています。トイレは毎日使う場所なので、綺麗になると満足度が高いです。シンクが輝いているとキッチン全体が明るく見えます。完璧を目指さず、「ここだけやった!」という達成感を持つことが大切です。余裕があれば、カーテンを洗うのも部屋が明るくなるのでおすすめです。
- 余ったお餅の美味しい保存方法はありますか?
-
開封したお餅はカビが生えやすいため、一つずつラップでぴったりと包み、ジッパー付き保存袋に入れて「冷凍保存」するのがベストです。これで数ヶ月は美味しく食べられます。食べる時は、自然解凍してから焼くか、凍ったまま煮ることも可能です。また、冷蔵保存の場合は、わさびやカラシを一緒に入れておくと、殺菌作用でカビが生えにくくなると言われています。
まとめ
年末の段取りについて解説してきました。忙しい年末を乗り切るための最大のポイントは、完璧を目指さないことと、早め早めの行動です。12月上旬から少しずつ準備を始め、タスクを分散させることで、年末ギリギリのパニックを防ぐことができます。
今回の記事の要点をまとめます。
- 年末のタスクはすべて書き出し、見える化して優先順位をつける
- 大掃除は12月中旬から場所別に少しずつ進め、ゴミ収集日を確認して不用品処分を最優先する
- 買い出しは日持ちするものと生鮮食品で購入時期を分け、ネットスーパーなども活用して混雑を避ける
- 三が日の食事メニューまで事前に決めておき、年末年始は家事を極力減らしてゆっくり過ごす
「終わりよければ全てよし」という言葉があるように、年末を笑顔で締めくくることができれば、きっと素晴らしい新年が待っています。無理のない計画で、心穏やかな年末年始をお過ごしください。
