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正月飾りはいつ飾る?飾る期間と避けるべき日、遅れた場合の対処法を解説

目次

記事の導入

「仕事が忙しくて、気づけば大晦日…まだ正月飾りを出していない!」
年末の慌ただしい中で、このような状況に焦っている方は意外と多いのではないでしょうか。新しい年を迎える準備として欠かせない正月飾りですが、飾るタイミングを間違えると、せっかくの縁起物が逆効果になってしまうと言われています。

特に「一夜飾り」と呼ばれる大晦日の飾り付けは、古くから避けるべきタブーとされてきました。しかし、なぜダメなのか、もし30日までに間に合わなかったらどうすればいいのか、その具体的な理由と対策まで詳しく知っている方は少ないかもしれません。

この記事では、正月飾りを飾るべき「正しい期間」と「避けるべき日」、そして万が一間に合わなかった場合の対処法まで、網羅的に解説します。年神様を気持ちよくお迎えし、素晴らしい一年をスタートさせるための知識を、一緒に確認していきましょう。

この記事でわかること

一夜飾りはなぜ避けるべき?3つの深い理由

一夜飾りはなぜ避けるべき?3つの深い理由

大晦日(12月31日)に正月飾りを飾ることを「一夜飾り」と呼び、これは昔から縁起が悪いことの代名詞とされてきました。「たった1日の違いならいいのでは?」と思うかもしれませんが、日本の伝統的な精神性や神様への礼儀という観点から、強く忌避される傾向にあります。ここでは、その主な理由を3つの視点から深掘りして解説します。

年神様をお迎えする誠意に欠けるため

正月飾りは、新年の幸せをもたらしてくれる「年神様(としがみさま)」を家にお迎えするための目印であり、歓迎の意を表すものです。例えば、大切なお客様や目上の人を自宅に招待するシーンを想像してみてください。お客様が到着する直前になって慌てて玄関を掃除したり、飾り付けを始めたりするのは、非常に失礼にあたると感じるはずです。

一夜飾りはまさにこの「直前の慌てた準備」に該当します。神様に対して「間に合わせで準備しました」という態度は、誠意や敬意に欠ける行為とみなされます。前もって準備を整え、清らかな状態で神様をお待ちするのが、日本古来の「おもてなし」の心なのです。余裕を持って準備することは、新しい年への心構えができていることの証明でもあります。

葬儀の準備を連想させ縁起が悪いため

もう一つの大きな理由は、葬儀との関連性です。通夜や葬儀の準備は、予期せぬ出来事であるため、どうしても前日や当日の急な準備になります。この「一夜限りの飾り付け」という行為が、大晦日の一夜飾りと重なるため、死や不幸を連想させるとして忌み嫌われてきました。

お正月は「ハレ」の日、つまり生命力が更新される喜ばしい祝いの場です。そこに葬儀という「ケ(枯れ)」のイメージを持ち込むことは、新年早々縁起が悪いとされています。特に年配の方や伝統を重んじる地域では、この点を非常に気にする傾向が強いため、マナーとしても避けたほうが無難です。

旧年の神様と新年の神様の引継ぎが間に合わないため

少し宗教的な観点になりますが、大晦日にはまだその年の神様がいらっしゃり、元旦の瞬間に新しい年神様と交代されるという考え方があります。12月31日の日中や夜に飾り付けを行ったのでは、神様同士の引継ぎや、清浄な場を作るための時間が十分に確保できないとされています。

具体的には、12月13日の「正月事始め」から徐々に準備を進め、大掃除で場を清めた後に飾り付けを行うのが正式な手順です。31日の飾り付けは、この「清める期間」を無視することになり、神聖な空間としての準備不足を露呈してしまうことになります。神様が安心して降りてこられるよう、時間的な余裕を持つことが大切なのです。

正月飾りを出す「正しい期間」と「避けるべき日」

では、具体的にいつ飾るのが正解なのでしょうか。カレンダーの日付にはそれぞれ意味があり、縁起の良い日と悪い日が明確に分かれています。「いつ出しても同じ」ではなく、最適な日を選ぶことで、より晴れやかな気持ちで新年を迎えることができます。ここでは、日付ごとの吉凶とその理由を見ていきましょう。

日付吉凶理由・備考
12月25日以前クリスマスと混在するため避ける傾向あり
12月26日〜27日クリスマス後で早く飾るならこの期間
12月28日末広がりの「八」で最も縁起が良い日
12月29日「二重苦」で避ける説と「福」と呼ぶ説がある
12月30日キリが良く、飾るラストチャンス
12月31日×一夜飾りとなるため避けるべき

上記のように、日付によって意味合いが大きく異なります。それぞれの詳細について、以下でさらに詳しく解説します。

ベストなタイミングは12月28日または30日

正月飾りを飾るのに最も適していると言われるのが**12月28日**です。漢数字の「八」は末広がりで、将来に向けて運が開けていくという意味を持つ非常に縁起の良い数字です。そのため、多くの家庭や企業ではこの日に合わせて門松やしめ縄を飾ります。仕事納めが28日であることも多く、区切りとしても最適です。

もし28日に間に合わなかった場合は、**12月30日**が次のチャンスです。30日は「キリが良い日」とされ、31日の一夜飾りを避けるための最終期限とも言えます。「28日は忙しくて無理だったけれど、30日の午前中に大掃除を終わらせて午後に飾る」というスケジュールを組むのが、現代のライフスタイルでは現実的かつ賢明な選択と言えるでしょう。

12月29日は「二重苦」?実は「福」の説も

12月29日に関しては、地域や考え方によって評価が真っ二つに分かれます。一般的には「9」という数字が「苦」に通じることから、「二重苦(にじゅうく)」や「苦立て(くたて)」と読まれ、縁起が悪い日として避けられる傾向にあります。特に年配の方や商売をしている家では、この日を忌避することが多いです。

一方で、近年では「29」を「ふく(福)」と読み、「福を呼ぶ日」として肯定的に捉える考え方も広まってきました。また、「苦」を餅(もち)とかけて「苦餅(つき)」と呼び避ける地域がある一方で、「苦労を搗き(つき)飛ばす」というポジティブな解釈をする場合もあります。地域の風習や家族の考え方に合わせるのが一番ですが、迷った場合は無難に30日にずらすのが良いでしょう。

いつから飾れる?「正月事始め」とは

飾り始める時期の「始まり」についても触れておきましょう。伝統的には12月13日が「正月事始め(しょうがつごとはじめ)」と呼ばれ、この日にすす払い(大掃除)をして正月の準備を始めるのが習わしでした。したがって、暦の上では12月13日以降であればいつ飾っても問題はありません。

しかし現代では、12月25日まではクリスマスの飾り付けをしている家庭が大半です。クリスマスリースと重なってしまうとしめ縄の神聖さが薄れてしまうため、現実的にはクリスマスが終わった**12月26日以降**に飾り始めるのが一般的になっています。26日、27日あたりから徐々に準備を始め、28日に完成させるという流れが、現代の日本の年末風景として定着しています。

もし30日までに飾れなかったらどうする?

計画的に準備をしていても、急な仕事や体調不良などで、気づけば31日の夕方になってしまった…ということもあるでしょう。30日までに飾れなかった場合、どのように対処するのが正解なのでしょうか。いくつかの選択肢と心構えを紹介します。

「一夜飾り」になるくらいなら飾らないという選択

厳格に伝統を守る考え方では、「一夜飾りをするくらいなら、今年は飾りなしで過ごす」という選択肢もあります。これは「中途半端なことをして神様に失礼を働くよりは、潔く何もしないほうがマシ」という考えに基づきます。ただし、正月飾りがないと年神様が家を見つけられないとも言われるため、不安に感じる方も多いでしょう。

その場合は、玄関の外に飾る門松や大きなしめ縄は省略し、家の中の神棚や床の間、あるいはリビングの棚の上などに、小さな鏡餅や置物だけをそっと飾るという「略式」にとどめるのも一つの方法です。派手な飾り付けを避け、心の中で静かに神様を迎える準備をすることで、敬意を示すことができます。

どうしても飾りたい場合のお清めと心構え

「どうしても飾りたい」「子供が楽しみにしている」という場合もあるでしょう。その際は、31日であっても、まずは玄関や飾る場所を念入りに掃除し、場を清めることを最優先してください。埃が溜まった場所に飾りだけ置くのは最悪のパターンです。

掃除が終わったら、神様に対して「準備が遅れてしまい申し訳ありません」という謝罪の気持ちを込めて飾り付けを行います。形式も大切ですが、最終的には「心」が重要です。遅れたことを悔やむよりも、少しでも綺麗な状態で新年を迎えようとする前向きな気持ちで、丁寧に飾り付けを行いましょう。ただし、日没後(夜)の飾り付けはさらに縁起が悪いとされることもあるため、31日の明るいうちに済ませるのが鉄則です。

正月飾りはいつ片付ける?処分の作法

お正月が終わった後、飾りをいつまでも出しっぱなしにしていませんか?飾る時期と同様に、片付ける時期や処分方法にも正しいマナーがあります。神様が宿っていた縁起物ですから、ゴミ箱に無造作に捨てるのではなく、感謝の気持ちを持って手放すことが大切です。

片付ける日は地域によって違う「松の内」

正月飾りを片付ける日は「松の内(まつのうち)」が明けるタイミングとされていますが、これは地域によって大きく異なります。一般的に、**関東地方では1月7日まで**、**関西地方では1月15日(小正月)まで**を松の内とすることが多いです。

例えば関東では、1月7日の朝に七草粥を食べた後、飾りを外して片付けるのが通例です。一方、関西では15日まで飾っておく家庭が多く見られます。引っ越しなどで地域が変わった場合は、近所の家の様子を見たり、大家さんに確認したりして、その土地の風習に合わせるのがスマートです。いつまでも飾っておくと「だらしない」という印象を与えてしまうだけでなく、神様が帰るタイミングを失ってしまうとも言われます。

どんど焼き(左義長)に持っていくのがベスト

外した正月飾りの最も正しい処分方法は、神社やお寺、地域で行われる「どんど焼き(左義長・お焚き上げ)」に持っていくことです。これは、正月飾りを燃やした煙に乗って年神様が天に帰っていくという信仰に基づく行事です。無病息災を祈る火祭りでもあるため、ここで焼納してもらうのが最も丁寧な形です。

どんど焼きは通常、小正月の1月15日前後に行われます。事前に回覧板や神社の掲示板で日程を確認しておきましょう。持っていく際は、プラスチックや針金などの燃えない素材はあらかじめ取り外しておくのがマナーです。環境配慮のため、ダイオキシンが発生する素材を受け付けない地域も増えています。

行けない場合の「自宅での処分手順」

都合がつかずにどんど焼きに行けない、あるいは近所で実施していない場合は、一般ゴミとして出すことになります。しかし、そのままゴミ袋に入れるのは気が引けますよね。自宅で処分する場合は、以下の手順でお清めをしてから出しましょう。

このようにひと手間かけることで、罪悪感を覚えることなく、神様への感謝を示して手放すことができます。「ゴミ」としてではなく「納める」という意識を持つことが大切です。

よくある質問(FAQ)

正月飾りは毎年新しいものにするべきですか?使い回しはNG?

基本的には毎年新しいものを用意するのがマナーです。正月飾りは神様の「依り代(よりしろ)」となるものであり、一度使ったものには前年の厄がついているとも考えられます。清浄な新しい飾りで神様をお迎えしましょう。ただし、高価な工芸品の置物などは、毎年綺麗に清掃して飾るケースもあります。

喪中の場合、正月飾りはどうすればいいですか?

喪中の期間は、お祝い事を避けるのが一般的ですので、門松やしめ縄、鏡餅などの正月飾りは一切飾りません。年賀状を出さないのと同様に、派手な新年のお祝いは控えます。ただし、忌中(四十九日)を過ぎていれば、普段通りの生活に戻るという意味で、ごく控えめな飾りをする家庭もありますが、基本的には何もしないのが無難です。

100円ショップの正月飾りでも効果はありますか?

価格や購入場所に関わらず、神様をお迎えしたいという「気持ち」が込められていれば問題ありません。最近では100円ショップでもデザイン性の高い飾りが多く販売されています。大切なのは値段ではなく、汚れがない状態で、正しい期間に正しく飾ることです。

まとめ

正月飾りにおける「一夜飾り」がなぜ避けられるべきか、そして正しい飾るタイミングについて詳しく解説してきました。最後に、この記事の重要ポイントを振り返りましょう。

  • 一夜飾りは「神様への失礼」「葬儀の連想」「準備不足」のため絶対に避けるべき。
  • 正月飾りを出すベストな日は12月28日。次点で12月30日。
  • 12月29日は「二重苦」とされるが、地域によっては「福」とする場合もある。
  • もし30日までに飾れなかった場合は、無理に飾らず略式にするか、お清めをしてから31日の明るいうちに済ませる。
  • 処分する際は、どんど焼きに持っていくか、塩でお清めをしてから紙に包んでゴミに出す。

年末は何かと忙しく、ついつい準備が後回しになりがちですが、正月飾りは新しい一年の運気を左右する大切な行事です。日本の伝統的な作法を知り、余裕を持って準備をすることで、心穏やかに清々しい新年を迎えることができるでしょう。ぜひ今年の年末は、カレンダーをチェックして、28日か30日に飾り付けをしてみてくださいね。

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