新しい年を迎えるにあたり、年賀状の準備や新年の挨拶を考える時期になると、ふと疑問に思うことがあります。「元旦」と「元日」、この2つの言葉は一体何が違うのでしょうか。普段の会話では同じような意味で使われがちですが、実は明確な定義の違いが存在します。もし、この違いを知らずに年賀状やビジネスメールで誤った使い方をしてしまうと、相手に「常識がない」と思われてしまうリスクもゼロではありません。
特に、年賀状でよく見かける「一月一日 元旦」という表記が、実は文法的に誤りであることはご存じでしょうか。日本語には、古くから伝わる言葉の成り立ちや、それに紐づく正しいマナーがあります。これらを正しく理解しておくことは、単に言葉を知っているというだけでなく、日本の文化や季節感を大切にする大人の教養として非常に重要です。
正しい知識を身につけることで、自信を持って年賀状を書けるようになるだけでなく、新年の挨拶の場でも適切な言葉選びができるようになります。言葉の背景にある意味を知れば、新年を迎える気持ちもより一層引き締まるものです。曖昧だった知識を整理し、スマートな大人として新年をスタートさせましょう。
この記事でわかること
- 「元旦」と「元日」の正確な意味と定義の違い
- 年賀状でやってはいけない重複表現などのNGマナー
- 「正月」「三が日」「松の内」など関連用語の期間
- ビジネスや日常会話での正しい使い分け事例
「元旦」と「元日」の決定的な違いとは?意味と定義を解説
新年を祝う言葉として頻繁に使われる「元旦」と「元日」。これらは混同されがちですが、時間を指し示す範囲において決定的な違いがあります。正しい理解のために、それぞれの言葉が持つ本来の意味や、漢字の成り立ちからくる定義について詳しく紐解いていきます。曖昧なまま使っていると、思わぬところで教養を疑われてしまうこともあるため、まずは基礎知識をしっかりと固めておくことが大切です。
「元日」は1月1日の「丸一日」を指す法律上の祝日
「元日(がんじつ)」という言葉は、1月1日の「一日中」すべてを指す言葉です。これは単なる慣習ではなく、日本の法律である「国民の祝日に関する法律(祝日法)」によっても定められています。祝日法では「年のはじめを祝う」ことを趣旨として、1月1日を国民の祝日として制定しており、この日全体が「元日」にあたります。つまり、1月1日の午前0時から午後11時59分までの24時間すべてが「元日」というわけです。
カレンダーを見ても、1月1日の日付の下には必ず「元日」と記載されています。これは公的な名称であり、ニュースや新聞などの報道機関でも、1月1日の出来事を伝える際には「元日」という表現が使われます。例えば、「元日の人出」や「元日の天気」といった表現がこれに該当します。これらは特定の時間帯(朝など)に限定されず、その日全体のことを指しているため「元日」が適切となります。
具体的に使用するシーンとしては、公的な書類の日付欄や、事実としての日付を伝える場合などが挙げられます。例えば、履歴書の作成日が1月1日であれば「令和〇年一月一日」と書くのが一般的ですが、文章の中で日付を指す場合には「元日に提出しました」というように使います。また、デパートの初売りや神社の催事など、1月1日に行われるイベントの告知でも「元日開催」といった表記が見られます。このように、「元日」は日付そのものや、その日全体を指す言葉として広く定着しているのです。
「元旦」は1月1日の「朝」を指すのが本来の意味
一方で「元旦(がんたん)」は、本来「1月1日の朝」、つまり「初日の出が昇る頃から午前中」を指す言葉です。現代の日常会話においては、元旦と元日を同義として扱い、1月1日全体を指して「元旦」と言うケースも増えてきてはいます。しかし、言葉の厳密な定義や本来の意味を重んじる場面、特に年賀状や目上の方への挨拶においては、「元旦=1月1日の朝」という認識を持っておくことがマナーとして求められます。
この「朝」という意味合いが含まれているため、夜になってから「今は元旦の夜です」と言うのは、厳密には矛盾した表現となります。また、年賀状でよく見かける「元旦」という言葉は、「新しい年の最初の朝に、年神様をお迎えして喜びを分かち合う」という神聖なニュアンスを含んでいます。そのため、単なる日付の記述以上に、新春を祝う情緒的な響きを持つ言葉として好んで使われてきました。
例えば、初日の出を見に行った際に「素晴らしい元旦の景色だ」と言うのは非常に適切な使い方です。これは、まさに「1月1日の朝」の光景を指しているからです。しかし、1月1日の夕方に友人と会って「元旦のディナーを楽しもう」と言うのは、本来の意味からすると少し違和感があります。言葉の変遷とともに許容範囲は広がっていますが、教養ある大人としては、本来の意味である「朝」という限定的な時間を意識して使い分けることが望ましいです。
漢字の成り立ちから見る「旦」の意味と由来
「元旦」という言葉の意味を深く理解するためには、「旦」という漢字の成り立ちを知ることが最も近道です。「旦」という字は、象形文字に由来しており、非常に視覚的でわかりやすい構成になっています。上の「日」は太陽を表し、下の一画(一)は地平線や水平線を表しています。つまり、「旦」という字そのものが、「地平線から太陽が昇ってくる様子」、すなわち「日の出」や「朝」を表現しているのです。
これに「始まり」や「最初」を意味する「元」という字を組み合わせることで、「元旦」は「最初の日(1月1日)の朝」という意味になります。この漢字の成り立ちを知っていれば、「元旦」がなぜ朝を指すのか、決して忘れることはありません。ちなみに、芸能関係などで使われる「旦那(だんな)」や、芝居の「一旦(いったん)」などにもこの字が使われますが、「元旦」における用法が最も漢字本来の形(日の出)をイメージしやすいでしょう。
漢字の意味を分解して理解しておくと、誤用を防ぐ際にも役立ちます。例えば、「元旦の朝」という表現を考えてみましょう。「旦」の中にすでに「朝(日の出)」という意味が含まれているため、「元旦の朝」と言うと「1月1日の朝の朝」と言っていることになり、いわゆる「重複表現(重言)」になってしまいます。「頭痛が痛い」や「馬から落馬する」と同じ種類の誤りです。ただし、俳句や詩的な表現、あるいは強調したい場合の慣用句として使われることもゼロではありませんが、通常の文章や挨拶では避けるのが無難です。
| 用語 | 定義・意味 | 時間的な範囲 | 漢字の由来 |
|---|---|---|---|
| 元日 | 年の最初の日 | 1月1日の24時間すべて | 「日」=太陽、一日全体 |
| 元旦 | 年の最初の日の朝 | 1月1日の日の出~午前中 | 「旦」=地平線から昇る太陽 |
表にまとめた通り、両者の違いは「時間的な範囲」と「漢字の持つイメージ」にあります。元日はカレンダー上の日付として淡々とした事実を指すのに対し、元旦は初日の出の情景や新年の清々しい空気感を伴う言葉です。この違いを意識するだけで、言葉選びに深みが増します。
年賀状で失敗しない!「元旦」と「元日」の正しい使い分けルール

年賀状は、日頃お世話になっている方々へ新年の挨拶を届ける大切な日本の文化です。しかし、限られたスペースの中に文字を書くため、ついつい形式的なフレーズを使ってしまい、知らず知らずのうちに間違いを犯していることがあります。特に日付の書き方には注意が必要で、間違った使い方をすると相手に違和感を与えてしまいます。ここでは、年賀状作成時に絶対に押さえておきたい正しい書き方のルールを解説します。
「令和〇年 元旦」は正解だが「1月1日 元旦」は重複表現
年賀状の宛名面や裏面の最後に書く日付として、最も間違いやすいのが「一月一日 元旦」という書き方です。前述の通り、「元旦」という言葉には「1月1日の朝」という意味が含まれています。そのため、「令和〇年一月一日 元旦」と書いてしまうと、「1月1日の1月1日の朝」という意味になり、情報の重複が発生してしまいます。これは日本語として美しくなく、マナーに厳しい方から見ると「言葉を知らない」と判断される要因になります。
正しい書き方は、以下の2パターンのいずれかです。
- 令和〇年 元旦(最も一般的で美しい表現)
- 令和〇年 一月一日(事実としての日付を記す場合)
このように、どちらか一方を選んで記述するのが正解です。特に縦書きの年賀状では、「令和〇年 元旦」と書くと収まりが良く、見た目にも格式高い印象を与えます。元号が変わった際や西暦を使う際(202X年 元旦)も同様のルールが適用されます。「元旦」という言葉を使うことで、「新年の朝一番にこの挨拶を届けます」という意図が伝わるため、年賀状の結びとしては非常に適しています。
1月1日に届かない年賀状に「元旦」と書いても良いのか?
年賀状の投函が遅れてしまい、相手に届くのが1月2日以降、あるいは松の内(1月7日頃)になってしまう場合、「元旦」と書いても良いのか迷うことがあります。結論から言うと、1月1日に届かないことが確定している場合は、「元旦」と書くのは避けるべきです。「元旦」はあくまで「1月1日の朝」を指す言葉であるため、数日遅れて届いた葉書に「元旦」と書いてあると、読み手は「あれ?日付がずれているな」と違和感を覚えます。また、場合によっては「年末に慌てて書いて、投函が遅れたんだな」と推測されてしまう可能性もあります。
投函が遅れた場合に推奨される書き方は、「令和〇年 正月」や「令和〇年 一月」あるいは「新春吉日」といった、特定の日付を指さない表現です。これならば、1月中のいつ届いても不自然ではありません。特に「一月吉日」や「正月」は、新年の雰囲気保ちつつ、日付のズレを感じさせない便利な表現です。
具体的には、12月25日までの投函期間に間に合わず、年末ギリギリにポストへ入れた場合、地域によっては元日に届かないことがあります。そのような微妙なタイミングであれば、無理に「元旦」を使わず、「新春」などの言葉を選ぶのが無難です。逆に、相手からの年賀状への返信として1月2日以降に出す場合も同様に、「元旦」は使わずに日付をぼかした表現を用いるのがマナーです。
ビジネスや目上の人に送る際のマナーと注意点
ビジネス関係や恩師、上司など、目上の方に送る年賀状では、言葉選びにさらなる配慮が必要です。「元旦」と「元日」の使い分けはもちろんですが、賀詞(冒頭の挨拶言葉)との組み合わせにも注意しましょう。「元旦」は文章の結びとして日付の代わりに使われますが、賀詞には「謹賀新年」「恭賀新年」などの4文字の言葉を使うのが、目上の方への正式なマナーです。「賀正」や「迎春」などの2文字の賀詞は、簡略化された表現とされるため、友人や同僚向けであり、目上の方には失礼にあたるとされています。
また、ビジネスシーンにおける年賀状で「元旦」を使う場合、会社として元日から営業していない場合であっても、慣例として「令和〇年 元旦」と記載することは問題ありません。これは、年賀状があくまで新年の挨拶状であり、実際にその日に執務を行っているかどうかとは切り離して考えられるからです。ただし、もしも相手の会社が年中無休で、元日に確実に届くように手配したのであれば、その旨を一言添えるとより丁寧な印象になります。
さらに注意すべきは、西暦と和暦の混用です。「202X年 令和〇年 元旦」のように両方を並記するのは見た目が美しくありません。縦書きなら漢数字で和暦(令和〇年 元旦)、横書きなら算用数字で西暦(202X年 元旦)と統一するのが基本です。細部まで気を配ることで、仕事に対する丁寧さや誠実さを間接的に伝えることができます。
意外と知らない?「正月」「三が日」「松の内」との違い
「元旦」「元日」以外にも、お正月シーズンには期間を表す言葉が数多く存在します。「お正月休みはいつまで?」という話題でよく出る「正月」「三が日」「松の内」。これらは何となく使っていますが、それぞれが指す期間は明確に異なり、地域によっても定義が変わることがあります。これらの違いを整理しておくことは、新年のスケジュール管理や、挨拶回り、年賀状の返信時期などを判断する上で非常に役立ちます。
「正月」は本来いつからいつまでを指す言葉なのか
「正月(しょうがつ)」という言葉は、本来「1月の別名(和風月名とは異なる暦上の呼び名)」であり、その意味では「1月1日から1月31日までの1ヶ月間」を指します。カレンダーで「一月」のことを「正月」と呼ぶのはこのためです。しかし、現代の一般的な感覚や行事における「お正月」は、もう少し狭い範囲、具体的には「正月行事が行われる期間」や「松の内(1月7日または15日頃まで)」を指すことが多くなっています。
日常会話で「正月気分が抜けない」と言う場合、それは1月中旬くらいまでを指していることがほとんどでしょう。しかし、改まった場や伝統的な文脈では、「正月」は1月全体を指す言葉として機能します。例えば、茶道や伝統芸能の世界では、1月中に開催される会を「初釜」や「初芝居」と呼び、これらは正月の行事として扱われます。このように、「正月」は文脈によって「1月全体」を指す場合と、「三が日や松の内」という特定の祝祭期間を指す場合がある、非常に幅のある言葉なのです。
ちなみに、「旧正月」という言葉がありますが、これは太陰太陽暦(旧暦)における1月1日(春節)のことです。現在の太陽暦(新暦)とは毎年日付が異なり、1月下旬から2月中旬の間に訪れます。日本では沖縄など一部の地域を除いて大々的に祝われませんが、アジア圏では非常に重要な祝日として扱われます。この「旧正月」に対して、現在の1月を「新正月」と呼ぶこともあります。
「三が日」と「松の内」の期間と地域による違い
「三が日(さんがにち)」は、文字通り1月1日、2日、3日の3日間を指します。この期間は官公庁や多くの企業が休日となり、おせち料理を食べたり初詣に行ったりして過ごす、お正月休みの中核となる期間です。法律上の祝日は元日だけですが、慣例として3日までは休日扱いとなるのが一般的です。年賀状の返信なども、できればこの三が日のうちに届くように出すのが理想的とされています。
一方、「松の内(まつのうち)」は、門松などの正月飾りを飾っておく期間のことです。この期間中は年神様が家に滞在しているとされ、新年の挨拶回りや年賀状のやり取りはこの期間内に行うのがマナーです。重要なのは、この「松の内」の期間が地域によって異なる点です。
| 地域 | 松の内の期間 | 鏡開きの日 |
|---|---|---|
| 関東・東北・九州など | 1月7日まで | 1月11日 |
| 関西(京都・大阪など) | 1月15日まで | 1月15日または20日 |
上記のように、関東を中心とした多くの地域では1月7日までを松の内としますが、関西地方では小正月である1月15日までとする習慣が根強く残っています。これは江戸時代に幕府から出されたお触れがきっかけで期間が短縮されたものの、その情報が関西まで浸透しなかった、あるいは伝統を重んじた等の理由で違いが生まれたと言われています。遠方の親戚や取引先に年始の挨拶をする際は、相手の地域の松の内がいつまでなのかを意識しておくと、よりスマートな対応ができます。
初詣や年始回りはいつまでに行くべきか
初詣に行くタイミングについても、「元旦に行かなければならない」と思っている方が多いですが、実際には厳密な決まりはありません。一般的には、前述の「松の内」の期間中(関東なら7日、関西なら15日頃まで)にお参りすれば、初詣として扱われます。特に元日や三が日は神社仏閣が非常に混雑するため、あえて時期をずらして松の内にお参りするのも賢い選択です。神様への感謝と新年の祈願をする気持ちがあれば、数日の遅れは問題になりません。
年始回り(新年の挨拶に相手の家や会社を訪問すること)についても同様に、基本的には「松の内」の間に行うのがマナーです。元日は家族水入らずで過ごすことが多いため避け、1月2日から松の内までの間に訪問するのが通例です。ビジネスシーンでの名刺交換を兼ねた挨拶回りも、仕事始め(1月4日以降)から1月7日(または翌週の営業日)あたりまでに行うのが一般的です。
もし松の内を過ぎてから訪問する場合や、年賀状を出す場合は、「寒中見舞い」として挨拶を切り替える必要があります。松の内が明けると、名実ともに「お正月」から「冬の日常」へと戻ります。いつまでも「あけましておめでとうございます」と言い続けるのは季節感に欠けるため、時期に応じた適切な挨拶への切り替えが重要です。
日常会話やビジネスメールでの正しい使用例とNG例
言葉の意味を理解したら、次は実践です。日常生活での会話や、失敗が許されないビジネスメールにおいて、「元旦」「元日」をどのように使いこなすべきか。具体的なシチュエーションを想定しながら、正しい使用例と、やってしまいがちなNG例を見ていきましょう。些細な違いですが、ここを正確に使い分けることで、言葉に対する感度の高さをアピールできます。
会話で使う場合のニュアンスの違いと使い分け
口頭での会話においては、厳密な定義よりも「響き」や「リズム」が重視されることがあります。「元旦」という言葉には「ガンタン」という強い響きがあり、特別感や改まった雰囲気を出したい時に好まれます。一方、「元日」は事実を伝えるフラットな言葉として機能します。
例えば、久しぶりに会った友人に「元旦は何してた?」と聞くのは、会話としては自然です。厳密には「元日の朝は何してた?」という意味になりますが、文脈として「1月1日はどう過ごした?」という意味で通じるため、目くじらを立てるほどではありません。しかし、より正確を期すなら「元日は何してた?」あるいは「お正月はどうだった?」と聞くのがベターです。
逆に、「元日の初日の出が綺麗だったよ」と言うと、少し説明的で硬い印象になります。ここでは「元旦の初日の出」あるいは単に「元旦の景色が~」と言った方が、朝の清々しい空気感が伝わります。このように、感情や情景を伝えたい時は「元旦」、スケジュールや事実を確認したい時は「元日」というように、ニュアンスで使い分けると会話がスムーズになります。
ビジネスメールで新年の挨拶をする際の定型文
ビジネスメールにおいては、正確さと形式美が求められます。新年の営業開始日に送るメールや、年末に送る休業案内のメールなどで、これらの言葉を使う機会があります。ここでは間違いのない定型文を紹介します。
まず、年末の挨拶メールで休業期間を案内する場合です。
「誠に勝手ながら、12月29日から1月3日まで年末年始休業とさせていただきます」
ここでは期間を示すため、特定の日付を指す言葉を使います。「元旦」や「元日」ではなく、具体的な日付を書くのが最も誤解を招きません。
次に、新年の挨拶メールです。
「謹んで新春のお慶びを申し上げます。本年も変わらぬご愛顧を賜りますようお願い申し上げます」
このように、本文中で「元旦」や「元日」を使うことはあまりありません。もし日付を入れるなら、メールの送信日を入れるか、「令和〇年 一月吉日」とするのが無難です。メールの署名欄や文末に「令和〇年 元旦」と入れるのは、実際に1月1日の朝に自動送信などで送る場合を除き、避けたほうが良いでしょう。仕事始めが1月4日であれば、その日付で送るのが誠実です。
間違えやすい誤用パターンと修正例
最後に、よくある間違いと、それをどう直すべきかをリストアップして解説します。自分の書いた文章や過去の年賀状を思い出しながらチェックしてみてください。
- NG:1月1日の元旦に届くように出しました。
OK:元旦に届くように出しました。
(「1月1日」と「元旦」の重複を避ける) - NG:元旦の夜は親戚で集まりました。
OK:元日の夜は親戚で集まりました。
(「元旦」は朝を指すため、夜の話題には不適切) - NG:令和〇年一月元旦
OK:令和〇年 元旦
(「一月」と「元旦」の重複を避ける) - NG:あけましておめでとうございます。1月7日の元旦まで休みです。
OK:1月7日の松の内まで休みです。
(「元旦」は1月1日のみ。期間を表す言葉ではない)
これらの修正例を見るとわかるように、シンプルにすることが正解への近道です。余計な言葉を付け足さず、「元旦=1月1日の朝」という原義に忠実であることが、最も美しい日本語表現につながります。
新年の挨拶に関する教養:その他の類似語・関連語
「元旦」「元日」の違いをマスターしたら、もう少し視野を広げて、新年の挨拶に関連する他の言葉についても学んでみましょう。年賀状の文面や、新年のスピーチなどで使える言葉の引き出しを増やしておくと、より豊かな表現が可能になります。ここでは「迎春」などの賀詞や「旧正月」など、関連するキーワードを深掘りします。
「迎春」「賀正」「謹賀新年」の使い分けとマナー
年賀状のデザインを選ぶ際、文字の形や色だけで選んでいませんか?実は、賀詞(祝いの言葉)には明確な格付けと使い分けのルールがあります。これを間違えると、目上の方に対して大変失礼になってしまいます。
まず、漢字1文字(寿、福など)や2文字(迎春、賀正、初春、頌春など)の賀詞は、基本的に「簡略化された表現」と見なされます。これらは友人や後輩、親しい同僚に向けて使うものであり、上司や恩師、取引先などに使うのはマナー違反です。「迎春」と書かれたデザインの年賀状を上司に出すのは避けましょう。
目上の方やビジネス関係に送る場合は、漢字4文字の賀詞(謹賀新年、恭賀新年、敬頌新禧など)を使います。これらには「謹んで(つつしんで)」「恭しく(うやうやしく)」という謙譲の意味が含まれており、敬意を表すのに最適です。また、文章で書く「あけましておめでとうございます」や「謹んで新春のお慶びを申し上げます」も、相手を選ばずに使える丁寧な表現です。
「旧正月」とは?現代のカレンダーとの関係
ニュースなどで耳にする「旧正月(きゅうしょうがつ)」についても触れておきましょう。日本は明治6年(1873年)に太陽暦(グレゴリオ暦)を採用して以来、1月1日を「元日」として祝っています。しかし、それ以前に使われていた「太陰太陽暦(天保暦など)」における1月1日を「旧正月」と呼びます。中国の「春節」や韓国の「ソルラル」などがこれにあたり、アジアの多くの国では現在でもこの旧正月を盛大に祝います。
日本のカレンダーでは平日扱いですが、中華街などではイベントが行われ、インバウンド需要などでその時期が話題になることも増えています。ビジネスで海外とやり取りがある場合は、相手の国が「新正月」で動いているのか、「旧正月」で大型連休に入るのかを把握しておくことは必須のスキルです。日本国内でも、沖縄や一部の離島などでは、現在でも旧正月を祝う風習が残っている地域があります。
日本の伝統的な暦と季節感を楽しむ心構え
「元旦」や「元日」といった言葉を正しく使うことは、日本の四季や暦の文化を大切にすることに通じます。かつての人々は、月の満ち欠けや太陽の動きに合わせて生活し、季節の節目を大切にしてきました。「旦」という字に太陽が昇る様子を見て取ったように、言葉一つ一つに自然への畏敬の念が込められています。
現代社会は24時間365日が均質化しがちですが、お正月という特別な時期だけでも、こうした古来の言葉の意味に思いを馳せてみてはいかがでしょうか。年賀状に「元旦」と書くとき、単なる記号としてではなく、「初日の出の光のような希望に満ちた朝」をイメージしながらペンを走らせる。そうすることで、相手への想いもより深く伝わるはずです。正しい日本語を使うことは、相手への敬意であると同時に、自分自身の心を豊かにする行為でもあるのです。
よくある質問
- 「元旦」は1月1日以外に使ってもいいですか?
-
いいえ、使えません。「元旦」は漢字の成り立ちから「1月1日の朝」を限定して指す言葉です。他の祝日の朝や、1月2日以降の朝に対して使うことはできません。
- 喪中の時に「元旦」という言葉を使っても大丈夫ですか?
-
喪中欠礼の挨拶状(喪中ハガキ)では、祝いの言葉を避けるため「年賀」や「賀正」などは使いませんが、日付を表す言葉として文末に「一月一日」や「一月」と書くのが一般的です。「元旦」は新年の喜びやおめでたい朝というニュアンスが強いため、喪中の場合は避け、「令和〇年 一月」などとするのが無難です。
- 英語で「元旦」や「元日」はどう表現しますか?
-
英語では「New Year’s Day」が元日(1月1日)にあたります。「元旦(1月1日の朝)」という特定の単語は一般的ではありませんが、あえて表現するなら「the morning of New Year’s Day」となります。年賀状のようなカードには「Happy New Year」と書くのが通例で、日付を詳しく書く習慣はあまりありません。
まとめ
「元旦」と「元日」の違いについて、意味の定義から年賀状での使い分け、関連するお正月用語まで詳しく解説してきました。普段何気なく使っている言葉でも、その背景には明確な意味と、日本人が大切にしてきた季節感が込められています。
最後に、この記事の要点を振り返っておきましょう。
- 元日は1月1日の「丸一日(24時間)」を指す法律上の祝日。
- 元旦は1月1日の「朝(日の出~午前中)」を指す情緒的な言葉。
- 年賀状では「令和〇年 元旦」が正解。「1月1日 元旦」は重複表現でNG。
- 目上の人には4文字の賀詞(謹賀新年など)を使うのがマナー。
- 松の内の期間(関東は7日、関西は15日)を意識して挨拶を行う。
正しい知識を持って言葉を使うことは、相手への敬意を表すだけでなく、自分自身の振る舞いにも自信を与えてくれます。今年の年賀状や新年の挨拶では、ぜひこの「元旦」と「元日」の違いを意識して、スマートで心温まるメッセージを届けてみてください。皆様にとって、素晴らしい新年の幕開けとなりますように。
