段ボールとプチプチで自作！簡易二重窓で冬の寒さと結露対策

「暖房をつけているのに、部屋がちっとも暖まらない」「朝起きると、窓の結露がびっしりで掃除が大変」冬の寒波が到来すると、このような悩みを抱える方は急増します。電気代やガス代が高騰している昨今、設定温度を上げて対処するのは家計へのダメージが大きすぎると感じる方も多いはずです。実は、家の中の熱が最も逃げていく場所は「窓」であり、ここを攻略しない限り、どれだけ高性能なヒーターを使っても暖かさは定着しません。

そこでおすすめしたいのが、家にある「段ボール」と梱包材の「プチプチ」を使って自作する簡易二重窓です。「見た目が悪いのでは？」「本当に効果があるの？」と疑問に思うかもしれませんが、空気の層を巧みに利用したこの方法は、驚くほどの断熱効果を発揮します。しかも、特別な工具や高価な材料は一切不要。賃貸物件でも原状回復を気にせず設置できる、最強のライフハックなのです。今年の冬は、自分で作った二重窓で、足元から冷える寒さとサヨナラしましょう。

この記事でわかること

簡易二重窓がもたらす驚きの効果とメリット

冬の寒さ対策において、なぜ「窓」へのアプローチが最優先されるべきなのでしょうか。その理由は、室内の暖かい空気の約50%〜60%が窓やサッシの隙間から流出しているという事実にあります。壁や床に比べて圧倒的に断熱性能が低い窓ガラスに対策を施すことは、暖房効率を上げるための最短ルートなのです。ここでは、高価なリフォームではなく、身近な廃材である段ボールとプチプチを使った簡易二重窓が、なぜこれほどまでに推奨されるのか、そのメカニズムと具体的なメリットについて深掘りしていきます。

コールドドラフト現象を防ぎ足元の冷えを解消する

冬の室内で「暖房を入れているのに足元だけが氷のように冷たい」と感じる現象には、明確な名前があります。それが「コールドドラフト現象」です。冷たい外気にさらされた窓ガラスが室内の空気を冷やし、冷えて重くなった空気が床面を這うように部屋中に広がっていく現象を指します。どれだけエアコンで暖かい風を送っても、暖かい空気は天井付近に溜まり、冷たい空気は床に溜まり続けるため、この循環を断ち切らない限り体感温度は上がりません。

段ボールとプチプチで作る簡易二重窓は、このコールドドラフト現象を物理的に遮断する強力な壁となります。窓ガラスと室内の間に新たな空気の層を作ることで、冷やされた空気が直接室内に流れ込むのを防ぐのです。具体的には、窓枠全体を覆うように設置することで、冷気の「滝」が床に落ちるのを堰き止める役割を果たします。これにより、部屋の上下での温度差が縮まり、設定温度を下げても今まで以上に暖かく感じるようになるでしょう。足元の冷え対策として、靴下を重ね履きするよりも遥かに高い効果が期待できます。

空気の層による断熱効果で光熱費を大幅に削減

断熱材として最高の素材の一つは、実は「動かない空気」です。羽毛布団やダウンジャケットが暖かいのは、繊維の間にたくさんの空気を抱え込んでいるからです。段ボールは波状の構造の中に、プチプチはその気泡の中に、それぞれ豊富な空気を含んでいます。これらを組み合わせることで、窓ガラスと室内の間に厚みのある「空気の断熱壁」を構築することが可能になります。

例えば、一枚のガラス窓の熱貫流率（熱の伝えやすさ）は非常に高いですが、そこに段ボールとプチプチの層を加えることで、熱の移動を劇的に遅らせることができます。これは魔法瓶が二重構造になっているのと同じ原理です。結果として、暖房で温めた空気が窓から逃げにくくなり、部屋の保温性が向上します。暖房器具の稼働時間が減り、設定温度を低く保てるようになるため、電気代や灯油代の節約に直結します。一冬越す頃には、数千円単位での節約効果を実感できるケースも珍しくありません。

【準備編】100均と廃材で揃う材料と道具リスト

簡易二重窓作成の最大の魅力は、そのコストパフォーマンスの良さにあります。ホームセンターで本格的なポリカーボネート製の内窓キットを購入すると数万円かかることもありますが、今回紹介する方法なら、数百円から高くても千円程度で材料を揃えることができます。必要なものの多くは、普段捨ててしまっているような廃材や、100円ショップで手軽に入手できるアイテムばかりです。作業をスムーズに進めるために必要な材料と道具を整理して見ていきましょう。

必須となる基本材料の選び方と入手先

まずはメインとなる材料です。段ボールはスーパーマーケットやドラッグストアで「ご自由にお持ちください」と置かれているものを利用すれば無料です。選ぶ際は、野菜や飲料が入っていた厚手で丈夫なものを選ぶのがポイントです。薄手の段ボールでは断熱効果が薄れるだけでなく、湿気を含んだ際にへたりやすくなってしまいます。サイズは窓枠を完全に覆える大きさが必要ですので、大きめのものを数枚確保しておきましょう。

プチプチ（気泡緩衝材）は、100円ショップやホームセンターの梱包資材売り場で購入できます。断熱目的で使用する場合、気泡の粒が大きいものや、両面にフィルムが貼られた3層構造のものがより高い効果を発揮します。もし手に入らない場合は、通常のプチプチを2枚重ねて使用することで同等の効果を得られます。また、窓枠に固定するための養生テープやマスキングテープも必須です。ガムテープは粘着剤が残りやすく、剥がす際に窓枠を傷める可能性があるため、賃貸物件では絶対に使用を避け、剥がしやすいテープを選んでください。

カテゴリ	アイテム名	入手先・備考
メイン素材	大きめの段ボール	スーパー等で無料入手可。厚手のものが推奨
断熱材	プチプチ（気泡緩衝材）	100均・ホームセンター。3層構造が理想的
固定具	養生テープ・マステ	賃貸でも安心な「貼って剥がせる」タイプ
補強材	突っ張り棒（必要に応じて）	窓枠に立てかける際の支えとして使用

作業効率と仕上がりを良くするための道具

特別な工具は必要ありませんが、作業を正確かつ安全に行うために揃えておきたい道具があります。カッターナイフは切れ味の良いものを用意しましょう。段ボールは意外と硬く、切れ味の悪い刃を使うと切断面がボロボロになり、隙間風の原因となります。また、直線をきれいに切るための定規（30cm以上の長いものが望ましい）や、床を傷つけないためのカッティングマット（または不要な段ボールや雑誌）も忘れずに準備してください。

採寸用のメジャーも必須です。「目分量」での作成は失敗のもとです。窓枠の内寸をミリ単位で正確に測ることが、断熱効果の高い二重窓を作る最大のコツと言っても過言ではありません。その他、両面テープはプチプチと段ボールを接着する際に使用します。強力タイプである必要はありませんが、幅が広いタイプの方が作業が楽に進みます。これらの道具を事前に手元に揃えておくことで、作業中に慌てることなく、楽しみながらDIYを進めることができるでしょう。

【実践編】段ボールとプチプチで作る簡易二重窓の作り方手順

材料と道具が揃ったら、いよいよ製作に入りましょう。作業自体は非常にシンプルで、工作感覚で取り組めますが、いくつかのポイントを押さえるだけで断熱性能に雲泥の差が出ます。特に「隙間をなくすこと」と「空気層を確保すること」の2点を意識しながら進めてください。ここでは、最も基本的で効果が高い、段ボールフレームにプチプチを張り付けたパネル型の簡易二重窓の作り方を、ステップバイステップで詳しく解説します。

Step1：窓枠の採寸と段ボールフレームのカット

最初の工程にして最重要ポイントが「採寸」です。窓ガラスそのもののサイズではなく、窓枠（サッシ枠）の内側の寸法を測ります。簡易二重窓は、窓枠の中にぴったりとはめ込むことで冷気を遮断するため、隙間ができると効果が半減してしまいます。計測したサイズに合わせて段ボールをカットしていきますが、このとき、計測値よりも1〜2mm程度大きめにカットすることをおすすめします。段ボールには多少の弾力があるため、少し大きめに作ることで窓枠に押し込んだときに自然と密着し、隙間風を防ぐパッキンのような役割を果たしてくれるからです。

段ボールが窓全体のサイズより小さい場合は、複数の段ボールをガムテープなどで繋ぎ合わせて大きな一枚板を作ります。このとき、繋ぎ目が折れ曲がりやすくならないよう、裏表両面からしっかりとテープで固定するか、別の段ボール片を当てて補強しておくと強度が上がります。窓を完全に塞ぐと採光ができなくなって部屋が暗くなる場合は、段ボールの中央を四角く切り抜き、額縁（フレーム）のような形状にします。この切り抜いた部分に後ほどプチプチを貼ることで、光を取り込みながら断熱することが可能になります。

Step2：プチプチを多層構造にして貼り付ける

段ボールのフレームができたら、次は断熱の要となるプチプチを貼り付けます。ここで重要なのが「空気層の厚み」です。プチプチを一枚だけ貼るよりも、二枚、三枚と重ねて貼る方が、間に空気の層が生まれ、断熱性能は飛躍的に向上します。特に、プチプチの「凸凹面」同士を内側にして貼り合わせると、気泡がつぶれにくく、より多くの空気を含むことができるためおすすめです。

フレームの開口部よりも数センチ大きくカットしたプチプチを用意し、両面テープや養生テープを使って段ボールフレームに貼り付けます。このとき、ピンと張るように貼り付けると見た目がきれいになりますが、あまり強く引っ張りすぎると段ボールが反ってしまうので注意してください。もし余裕があれば、段ボールフレームの「両面」にプチプチを貼ってみましょう。こうすることで「プチプチ・段ボール・プチプチ」という三重構造になり、まるでトリプルガラスのような強力な断熱壁が完成します。賃貸などで窓の開閉を頻繁に行う場合は、取っ手としてテープでつまみを作っておくと便利です。

Step3：窓への設置と密閉性を高める一工夫

完成したパネルを窓枠にはめ込みます。先ほど少し大きめに作ったおかげで、ギュッと押し込むような感覚ではまるはずです。もし緩くて倒れてきてしまう場合は、突っ張り棒を窓枠の手前に設置し、パネルを押さえるように固定すると安定します。また、窓枠の下部分（レール部分）には、隙間テープや丸めた新聞紙を詰めておくと、下からの冷気の侵入をより鉄壁にガードできます。

さらに断熱効果を高めたい場合は、パネルの周囲を養生テープで窓枠に完全に固定してしまう方法もあります（換気が必要な窓では行わないでください）。掃き出し窓のように出入りが必要な場所では、パネルを二分割にして左右にスライドできるようにするか、マジックテープを使って開閉可能な構造にする工夫も有効です。設置後は手をかざしてみて、隙間風を感じる場所がないかチェックしましょう。もし風を感じるようなら、その部分に上からマスキングテープを貼るなどして微調整を行ってください。このひと手間で、夜間の室温低下スピードが劇的に緩やかになります。

見た目も大事！おしゃれに仕上げる工夫とリメイク術

「段ボール丸出しだと、部屋が貧乏くさく見えてしまうのが嫌だ」という方も多いでしょう。機能性は抜群でも、インテリアを損なってしまっては快適な生活空間とは言えません。しかし、少しの工夫と100円ショップのアイテムを加えるだけで、段ボール製とは気づかれないようなおしゃれな二重窓に変身させることができます。ここでは、生活感を消し、インテリアの一部として楽しむためのリメイクアイデアを紹介します。

リメイクシートで木目調やレンガ調にアレンジ

最も手軽で効果的な方法は、100円ショップのリメイクシートを活用することです。段ボールの表面（室内側に見える面）に、好みの柄のリメイクシートを貼り付けるだけで、印象は劇的に変わります。例えば、ホワイトウッド調のシートを貼れば北欧風のインテリアに馴染みますし、ダークブラウンの木目調なら落ち着いた和モダンな雰囲気にもマッチします。レンガ調やコンクリート調など、部屋のテイストに合わせて選び放題です。

リメイクシートを貼る際は、段ボールの波目が浮き出ないよう、少し厚手のシートを選ぶか、段ボールの上に一度画用紙などを貼って平らにしてからシートを貼ると、より完成度が高まります。また、マスキングテープ（幅広タイプ）も便利です。リメイクシートよりも貼る範囲が狭い場合や、フレームの縁取りだけ色を変えたい場合などに重宝します。例えば、黒のマスキングテープでフレームを縁取れば、アイアン風の引き締まったデザインになり、カフェのようなおしゃれな空間を演出できます。

カフェカーテンや布を活用して柔らかな印象に

段ボールやプチプチの無機質な質感を隠すために、布製品を組み合わせるのも一つの手です。簡易二重窓の手前に突っ張り棒を渡し、お気に入りの柄のカフェカーテンを吊るすだけでも、見た目の印象は大きく和らぎます。カーテンと二重窓の間にさらに空気層ができるため、断熱効果の向上という副産物も期待できます。

また、段ボールフレーム自体に布を貼り付けてファブリックパネルのように仕上げる方法もあります。手芸用ボンドや両面テープで好きな布を貼り付けるだけなので簡単です。プチプチの部分が透けて見えるのが気になる場合は、プチプチの内側（室内側）にレースのカーテン生地などを挟み込んでから貼り合わせると、光を通しつつ目隠し効果も得られ、上品な仕上がりになります。これらの工夫凝らすことで、「寒さ対策で仕方なく置いているもの」から「お気に入りのインテリア雑貨」へと昇華させることができるのです。

よくある質問（FAQ）

段ボール二重窓は結露でカビたりしませんか？

段ボールは吸湿性があるため、長期間湿気を吸い続けるとカビが生えるリスクがあります。対策として、定期的に天気の良い日に取り外して乾燥させるか、窓ガラスに「結露吸水テープ」を貼り、水分が段ボールに直接触れないようにすることをおすすめします。もし段ボールがふやけたり黒ずんだりした場合は、衛生面を考えて新しいものと交換してください。ワンシーズンごとの使い捨てと割り切るのも良い方法です。

部屋が暗くなるのが嫌なのですが、どうすればいいですか？

採光を確保したい場合は、段ボールの使用を「枠（フレーム）」部分だけに限定し、中央の開口部をできるだけ広く取るように作成してください。また、プチプチの代わりに「ポリカーボネート中空ボード（プラダン）」を使用すると、透明度が高く、光をより多く取り込むことができます。プラダンは段ボールより少しコストがかかりますが、明るさと耐久性を重視するなら検討する価値があります。

南側の窓でも設置したままでいいのでしょうか？

冬の日中、日差しが入る南側の窓は貴重な熱源となります。そのため、昼間は簡易二重窓を取り外して日光を取り込み、部屋を暖める方が効率的です。日が落ちて気温が下がり始める夕方頃に再び設置することで、昼間に蓄えた熱を逃がさないように運用するのがベストです。着脱が面倒な場合は、カーテンレールを利用して開閉しやすい構造に工夫することをおすすめします。

まとめ

段ボールとプチプチを使った簡易二重窓は、コストをほとんどかけずに室内の暖かさを守ることができる、非常に合理的でエコな寒さ対策です。窓からの冷気（コールドドラフト）を遮断することで、体感温度が上がるだけでなく、暖房効率の改善による光熱費の節約や、結露の軽減など、数多くのメリットをもたらしてくれます。

作り方はシンプルで、採寸さえ正確に行えば、DIY初心者でも失敗なく作成できます。見た目が気になる場合も、リメイクシートや布を活用すればインテリアに馴染むおしゃれな仕上がりが可能です。今年の冬は、寒さに震えながら過ごすのではなく、自分の手で快適な空間を作り出してみませんか。週末の数時間を使って、ぜひこの効果を体感してください。