新しい年の始まりである初詣。「今年こそは新しいことを始めたい」「神様とのご縁を大切にしたい」という思いから、このタイミングで「御朱印」の収集をスタートさせようと考えている方も多いのではないでしょうか。凛とした空気の中で参拝し、その証として御朱印をいただく体験は、一年を清々しい気持ちでスタートさせるのにぴったりです。
しかし、いざ始めようと思うと「どんな御朱印帳を買えばいいの?」「お寺と神社でルールは違うの?」「混雑している初詣でお願いしても迷惑じゃない?」といった不安や疑問が尽きないものです。特に御朱印は単なるスタンプラリーとは異なり、神聖な授与品であるがゆえに、知っておくべきマナーや作法が存在します。ここをおろそかにすると、せっかくのデビューで恥ずかしい思いをしてしまうかもしれません。
そこでこの記事では、初詣で御朱印デビューを目指す初心者の方に向けて、事前に準備すべきものから、当日の具体的な参拝手順、いただき方のマナー、そして初詣シーズン特有の注意点までを、徹底的にわかりやすく解説します。不安を解消し、気持ちよく御朱印巡りをスタートさせるための手引きとしてご活用ください。
この記事でわかること
- 御朱印の本来の意味と、集める際の基本的な心構え
- 失敗しない御朱印帳の選び方と、当日忘れてはいけない持ち物
- 初詣の混雑時でもスムーズに御朱印をいただくための具体的な手順
- 「書き置き」への対応やトラブル回避のためのNG行動
御朱印デビューの基礎知識!初詣に行く前に知っておきたいこと
御朱印集めを始めるにあたり、まずは「御朱印とは何か」という根本的な部分を理解しておくことが非常に大切です。単なる記念スタンプのような感覚で捉えていると、知らず知らずのうちに失礼な振る舞いをしてしまう可能性があります。ここでは、御朱印が持つ本来の意味や、神社とお寺での扱いの違いなど、デビュー前に必ず押さえておきたい基礎知識について詳しく解説していきます。
そもそも御朱印とは?スタンプラリーとの決定的な違い
御朱印とは、本来はお寺で写経(お経を書き写すこと)を納めた証としていただく「納経印」が起源とされています。現在では参拝した証として授与されることが一般的になりましたが、その本質は「神様や仏様とのご縁の証」であり、お守りやお札と同等の神聖なものであるという点は変わりません。朱色の印章と、墨書きで神社名や寺院名、参拝日などが記されたその一枚一枚には、御祭神や御本尊の力が宿っていると考えられています。
観光地によくある「記念スタンプ」や「スタンプラリー」との決定的な違いは、そこに「信仰心」と「敬意」が必要不可欠であるかどうかです。スタンプラリーは訪れた記念として自由に押すことができますが、御朱印は神職や僧侶の方が、参拝者のために心を込めて手書きで記してくださるものです。そのため、ノートやメモ帳に書いてもらうことは絶対にできませんし、いただく際にはまずしっかりと参拝を済ませることが大前提となります。「お金を払えば買える商品」ではなく、「参拝の証として授与していただくもの」という意識を強く持つことが、御朱印デビューの第一歩です。
神社とお寺で御朱印帳は分けるべき?「混在」の是非について
これから御朱印帳を用意する際、多くの初心者が直面する悩みが「神社用とお寺用で御朱印帳を分けるべきか」という問題です。結論から言うと、基本的には一冊の御朱印帳に神社とお寺の御朱印が混在していても、断られることはほとんどありません。神仏習合の歴史が長い日本では、神社とお寺を区別せずに参拝することも一般的であり、多くの寺社では快く対応していただけます。
しかし、ごく稀にですが、神仏分離の考えを厳格に守っている一部の寺社では、混在している御朱印帳への記帳を断られたり、やんわりと指導を受けたりするケースが存在します。例えば、「神様の記された帳面に仏様を混ぜるとは何事か」といった考え方です。このような場面に遭遇して悲しい気持ちにならないためにも、また、自分の中で整理整頓してコレクションを楽しむためにも、最初から「神社用」と「お寺用」の二冊を用意して使い分けるのが最も無難で安心な方法と言えるでしょう。初詣で神社とお寺の両方を巡る予定がある場合は、念のため二冊準備しておくか、あるいは表面を神社、裏面をお寺といった形で使い分ける工夫をすることをおすすめします。
失敗しないための事前準備!御朱印帳と持ち物リスト

御朱印をいただくためには、専用の「御朱印帳」が必須アイテムです。しかし、いざ購入しようとするとサイズや紙質に種類があり、どれを選べば良いか迷ってしまうことも少なくありません。また、御朱印帳以外にも、スムーズにいただくために用意しておくと便利なアイテムがいくつか存在します。ここでは、初めての一冊を選ぶためのポイントと、当日慌てないための持ち物について詳しく見ていきましょう。
初めての一冊はどう選ぶ?紙質とサイズの重要性
御朱印帳には主に2つのサイズがあることをご存知でしょうか。一般的に「文庫本サイズ(小さいサイズ)」と「大判サイズ(大きいサイズ)」に分けられます。小さいサイズ(約11cm×16cm)は、持ち運びがしやすく、女性の手にも収まりやすいのが特徴で、多くの神社で授与されているオリジナル御朱印帳はこのサイズが主流です。一方、大判サイズ(約12cm×18cm)は、ダイナミックで迫力のある御朱印をいただけるというメリットがあり、書き手の方ものびのびと筆を走らせることができるため、見栄えが良くなる傾向があります。
また、紙質も重要なチェックポイントです。奉書紙や和紙など、裏写りしにくい厚手の紙が使われているものを選ぶのが鉄則ですが、ネット通販などで安価なものを購入する場合、紙が薄くて墨が裏まで染みてしまうことがあります。初めての一冊は、実際に神社やお寺で頒布されているオリジナルの御朱印帳を購入するか、御朱印帳専門店で実際に紙の質感を確認してから購入することをおすすめします。デザインだけで選ぶのも楽しみの一つですが、長く使うものだからこそ、機能性にも注目してみてください。
| サイズ分類 | 寸法(目安) | 特徴とおすすめな人 |
|---|---|---|
| 文庫本サイズ | 約11cm × 16cm | コンパクトで軽量。小さな鞄で参拝する人や、神社のオリジナル帳を集めたい人に最適。 |
| 大判サイズ | 約12cm × 18cm | 迫力ある御朱印が映える。限定御朱印や書き置きを貼る際にも余裕があり、見やすさ重視の人向け。 |
意外と忘れがちな「小銭」の準備と初穂料の相場
初詣の時期に最も注意したいのが「小銭」の準備です。御朱印の初穂料(料金)は、一般的に300円か500円、限定のものだと1000円程度が相場となっています。普段の買い物であれば1万円札を出してお釣りをもらうことは何の問題もありませんが、御朱印の授与所、特に混雑する初詣の現場では、お釣りのやり取りは神職の方や巫女さんの手を止め、後ろに並んでいる参拝者を待たせる原因となってしまいます。
また、神社やお寺によっては「お釣りが出ないようにご用意ください」と明記されている場所も少なくありません。神様への奉納金という意味合いもあるため、できるだけ丁度の金額をサッと出せるように準備しておくのが大人のマナーであり、スマートな参拝者と言えます。事前に100円玉と500円玉、1000円札を多めに用意し、出しやすい小銭入れなどに入れておくと、寒い中でも手がかじかんで財布の中を探るようなことなく、スムーズに納めることができます。
汚れや折れを防ぐためのカバーとケースの必要性
せっかくいただいた美しい御朱印や、気に入って購入した御朱印帳が、鞄の中で他の荷物と擦れて汚れたり、表紙が折れ曲がったりしてしまうのは避けたいものです。特に初詣の時期は、手袋やマフラー、カイロなど荷物が多くなりがちで、鞄の中がごちゃごちゃしやすい状況です。そこで必須となるのが、御朱印帳を守るための「ビニールカバー」や「御朱印帳ケース(巾着袋など)」です。
多くの御朱印帳には最初から透明なビニールカバーが付いていることがありますが、付いていない場合は別途購入することをおすすめします。カバーがあれば、雨の日の参拝や、万が一飲み物をこぼしてしまった際にも被害を最小限に食い止めることができます。さらに、御朱印帳を入れる専用の袋やケースを用意すれば、より丁寧に扱うことができます。和柄の美しい巾着袋などは持っているだけで気分が上がりますし、御朱印帳を取り出す所作も美しく見えます。大切な御朱印帳を長く綺麗に保つために、ぜひ最初の段階で用意しておきましょう。
現場で慌てない!初詣当日の参拝と御朱印をいただく手順
準備が整ったら、いよいよ初詣へ出発です。しかし、神社やお寺に着いてから「どのタイミングで御朱印をお願いすればいいの?」「どうやって渡せばいいの?」と迷ってしまうと、せっかくの晴れやかな気分が台無しになってしまいます。ここでは、鳥居をくぐってから御朱印をいただいて帰るまでの、一連の正しい流れとマナーをシミュレーション形式で解説します。
鳥居をくぐるところからスタート!正しい参拝作法の復習
御朱印をいただく前に絶対に行わなければならないのが「参拝」です。「御朱印所が混みそうだから先に帳面を預けてしまおう」と考える方もいるかもしれませんが、これは最も避けるべきマナー違反の一つです。御朱印はあくまで参拝の証。まずは神様へのご挨拶を済ませるのが筋です。鳥居をくぐる際は衣服を整えて一礼し、参道の端を歩いて手水舎で身を清めます(コロナ禍以降、使用できない場合もあります)。
拝殿の前に進んだら、お賽銭を静かに入れ、鈴があれば鳴らします。そして「二礼二拍手一礼」(お寺の場合は静かに合掌)の作法で心を込めてお祈りしましょう。この時、自分の住所と名前を心の中で名乗り、昨年の感謝と新年の決意を伝えます。御朱印をいただくのは、この一連の参拝が終わってから。清々しい気持ちになってから授与所へ向かうことで、いただく御朱印の重みも変わってくるはずです。
授与所でのスマートな依頼方法とページを開いて渡すマナー
参拝を終えて授与所(社務所・納経所)に向かったら、御朱印の受付場所を探します。順番が来たら、「御朱印をお願いします」とはっきりと伝えましょう。この時、最も重要なマナーがあります。それは「書いていただきたいページを開いた状態で渡す」ということです。紐やゴムバンドで閉じられたまま渡したり、カバーがかかったまま渡したりすると、書き手の方がわざわざ開く手間が発生しますし、場合によっては本来希望していないページに書かれてしまうトラブルにもなりかねません。
具体的には、カバーや栞(しおり)、挟んである書き置きの紙などは全て外し、書いてほしいページをパッと開いて「こちらのページにお願いします」と差し出します。特に新しい御朱印帳の最初のページにお願いする場合は、「最初のページからお願いします」と一言添えると丁寧です。また、初詣シーズンで忙しい神職の方に対して、「かっこよく書いてください」や「日付を大きくしてください」といった過度なリクエストをするのは控えましょう。あるがままのご縁を受け入れる姿勢が大切です。
待っている間の過ごし方と受け取る際の感謝の伝え方
御朱印帳を預けた後は、書き終わるまで待つことになります。この待ち時間の過ごし方も、参拝者の品格が問われる場面です。混雑時は番号札を渡されることもありますが、基本的には授与所の近くで静かに待ちます。仲間同士で大声で話したり、スマートフォンでゲームをしたり、イライラして「まだですか?」と急かしたりするのは厳禁です。神聖な場所であることを忘れず、境内の景色を眺めたり、おみくじを引いたりしながら、心穏やかに待ちましょう。
名前や番号を呼ばれたら、速やかに受け取りに行きます。受け取る際は必ず両手でいただき、「ありがとうございます」と感謝の言葉を伝えましょう。そして、その場を離れる前に、日付や内容に間違いがないか、そっと確認することも大切です(ただし、その場で書き手の方に見えるようにチェックするのは失礼にあたることもあるので、少し離れてから行います)。また、初穂料はお釣りのないように用意しておいた小銭を、コイントレーなどがあればそこに置くか、なければ両手で丁寧に渡します。
初詣シーズン特有の事情とは?「書き置き」への対応
通常であれば、持参した御朱印帳に直接墨書き(直書き)していただけることが多いですが、初詣、特にお正月三が日(1月1日〜3日)などの繁忙期には、事情が大きく異なります。多くの神社やお寺では、混雑緩和と待ち時間の短縮のために、あらかじめ和紙に書かれた「書き置き(紙の御朱印)」の授与のみとなる場合が非常に多いのです。
混雑時は「書き置き(紙の御朱印)」のみの場合が多い理由
「せっかく御朱印帳を買ったのに、直接書いてもらえないなんて…」とがっかりされる方もいるかもしれません。しかし、これにはやむを得ない事情があります。初詣には何万人、何十万人という参拝者が訪れます。その一人一人に直書きをしていては、数時間待ち、場合によっては半日待ちという事態になり、境内は大混乱に陥ってしまいます。神職の方々も、祭事や祈祷で一年で最も忙しい時期です。
書き置きの対応は、より多くの参拝者に御朱印というご縁を届けるための配慮であることを理解しましょう。また、書き置きだからといって価値が下がるわけではありません。お正月の時期限定の、金色の墨が使われていたり、干支の特別な印が押されていたりと、書き置きならではの豪華なデザインが用意されていることも多くあります。この時期だけの特別な「限定御朱印」として、ポジティブに楽しむ気持ちを持つことが大切です。
いただいた書き置き御朱印をきれいに貼る方法と糊の選び方
書き置きの御朱印をいただいた場合、自分で御朱印帳に貼り付ける作業が必要になります。ここで悩むのが「どうやって綺麗に貼るか」という点です。持ち帰る間に折れ曲がらないよう、クリアファイルや御朱印帳のサイズに合った硬質ケースを持参することをおすすめします。家に帰ったら、御朱印帳のページからはみ出さないか確認し、必要であれば余白を少しカットして調整します。
貼り付ける際に使う糊(のり)ですが、水分を多く含む液体のりは避けたほうが無難です。水分で御朱印の和紙が波打ってしまったり、墨が滲んでしまったりするリスクがあるからです。おすすめなのは、シワになりにくい「スティックのり」や、最近文具店で販売されている「テープのり」です。特にドットタイプのテープのりは、貼り直しがきくものもあり便利です。また、御朱印の四隅だけでなく、全体に薄く均一に糊付けすることで、剥がれにくく美しく仕上げることができます。大切な記録として、心を込めて貼り付けましょう。
よくある質問(FAQ)
- 喪中の期間に初詣に行って御朱印をいただいても良いのでしょうか?
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一般的に、神社では「忌中(通常50日間)」の参拝は控えるべきとされていますが、忌中が明けて喪中の期間(1年間)であれば参拝しても問題ないとされています。お寺の場合は、死を穢れ(けがれ)と捉えない宗派が多いため、忌中であっても参拝や御朱印の授与は問題ない場合が多いです。ただし、気になる場合は事前に訪問先の寺社に確認するか、忌明けを待ってから参拝するのが心の平穏のためにも良いでしょう。
- 病気で行けない家族の分など、代理で御朱印をもらうことは可能ですか?
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基本的に御朱印は「参拝の証」であるため、本人が参拝せずに代理でいただくことは推奨されません。多くの寺社では、参拝していない人の分はお断りされることがあります。ただし、病気や足が悪いなど、やむを得ない事情がある場合は、事情を説明すれば「書き置き」であれば授与していただけるケースもあります。スタンプラリー感覚で友人の分までまとめて依頼するのは絶対のマナー違反ですので控えましょう。
- 御朱印帳の裏面も使っていいのですか?両面使うと裏写りしませんか?
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御朱印帳の多くは蛇腹(じゃばら)式になっており、両面使える構造になっています。裏面を使ってもマナー違反ではありません。ただし、紙質によっては表面の墨が裏面に滲んでしまっている場合があり、その上からさらに書くと汚れてしまう可能性があります。紙が薄い場合や、墨書きが豪快な場合は、表面のみを使っていくのが安全です。紙が厚手で裏写りしていないようであれば、両面を使って問題ありません。
まとめ
初詣での御朱印デビューは、新しい年を神聖な気持ちでスタートさせる素晴らしいきっかけになります。御朱印はお札やお守りと同じく神様とのご縁の証であることを理解し、正しい作法で参拝することが何よりも大切です。御朱印帳の準備や小銭の用意、そして混雑時の書き置きへの理解など、事前に知っておくべきポイントを押さえておけば、当日は心に余裕を持って参拝を楽しむことができるでしょう。
マナーを守っていただいた御朱印は、後から見返したときに、その時の神社の空気感や自分の決意を思い出させてくれる一生の宝物になります。形式にとらわれすぎてガチガチになる必要はありませんが、神職の方や周りの参拝者への配慮を忘れず、感謝の気持ちを持って最初の一歩を踏み出してみてください。きっと、素晴らしいご縁が待っているはずです。
