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年末年始に病院が休診でも安心!急な体調不良時の対処法と相談窓口

年末年始の慌ただしい時期、ふと気づくと「歯がズキズキ痛む」「急に熱が出てきた」といったトラブルに見舞われることは、決して珍しいことではありません。楽しい休暇を過ごすはずが、突然の体調不良で不安のどん底に突き落とされたような気持ちになってしまうこともあるでしょう。しかし、多くの病院やクリニックは年末年始の期間、休診となってしまいます。「今すぐ診てもらいたいのに、どこもやっていない」という状況は、痛みや苦しみをさらに増幅させてしまいます。

もしもの時に備えて、あるいは今まさにその状況に直面している方のために、この記事では病院が閉まっている年末年始における適切な対処法と、休日でも受診できる医療機関の探し方を徹底的に解説します。焦りや不安を感じている時こそ、冷静な判断と正しい知識があなたやあなたの大切な家族を守る盾となります。痛みを和らげるための具体的な応急処置から、公的な相談窓口の活用方法まで、今すぐ役立つ情報を網羅しました。

この記事を読み終える頃には、漠然とした不安が解消され、「次に何をすべきか」が明確になっているはずです。痛みをコントロールしながら連休明けの受診まで安全に過ごす方法や、本当に緊急性が高い場合の判断基準を知ることで、落ち着いて行動できるようになるでしょう。

この記事でわかること

目次

年末年始に病院がやっていない!まず確認すべき緊急連絡先と相談窓口

年末年始や大型連休中に体調を崩した際、最も困るのは「どこに相談すれば良いのかわからない」という点ではないでしょうか。かかりつけの病院は留守番電話になっており、インターネットで検索しても古い情報ばかりが出てきて途方に暮れてしまうこともあります。しかし、日本国内には休日や夜間でも市民の健康を守るためのセーフティネットが必ず用意されています。ここでは、病院が開いていない時にまず頼るべき公的な相談窓口と、その活用方法について詳しく解説していきます。これらの番号やシステムを知っておくだけで、いざという時の精神的な負担は大きく軽減されるはずです。

迷ったらまずはここ!救急安心センター事業(#7119)の活用方法

急な病気や怪我をした際、「救急車を呼ぶほどではないけれど、すぐに病院に行ったほうがいいのか判断できない」と悩むケースは非常に多いものです。そのような時に真っ先に活用していただきたいのが、救急安心センター事業、通称「#7119」です。これは、総務省消防庁が推進している電話相談窓口で、医師や看護師、相談員といった専門家が24時間体制(地域により異なる場合があります)で対応してくれます。電話口で症状を伝えることで、緊急性が高いのか、それとも翌朝の受診で間に合うのか、あるいは自宅で様子を見ても良いのかという医学的なアドバイスを受けることができます。

例えば、「腹痛が激しいが、動けないほどではない」「熱が高く意識はしっかりしているが、水分が取れていない」といったグレーゾーンの状況で特に役立ちます。相談員は独自のプロトコル(手順書)に基づいてヒアリングを行い、もし緊急性が高いと判断されれば、そのまま管轄の消防署に連携して救急車の出動を要請してくれるケースもあります。また、緊急性が低い場合でも、現在受診可能な近隣の医療機関を案内してくれるため、自分で一から病院を探す手間が省けます。ただし、このサービスは全国すべての地域で実施されているわけではありません。お住まいの地域が対応エリアかどうかを事前に自治体のホームページなどで確認しておくか、つながらない場合は地域の「休日夜間急患センター」へ直接連絡することをおすすめします。

サービス名電話番号主な対象者・相談内容
救急安心センター事業#7119急な病気や怪我で救急車を呼ぶか迷う成人・小児
小児救急電話相談#8000夜間・休日の子供の急病に関する相談
地域の救急医療情報センター各都道府県で異なる受診可能な医療機関の案内のみを行う場合が多い

子供の急な発熱や怪我には小児救急電話相談(#8000)

小さなお子様がいるご家庭にとって、年末年始の急病ほど恐ろしいものはありません。子供は夕方や夜中になって急に高熱を出したり、予期せぬ場所で怪我をしたりすることが頻繁にあります。「#8000」は、そのような保護者の不安に応えるための小児救急電話相談窓口です。全国どこからでもプッシュ回線の固定電話や携帯電話で「#8000」にかけると、お住まいの都道府県の相談窓口に自動転送され、小児科医師や看護師に直接相談することができます。

具体的には、「子供が誤ってタバコや洗剤を舐めてしまった」「高熱で痙攣(けいれん)を起こしている」「嘔吐が止まらずぐったりしている」といった緊急を要する場面での判断を仰ぐことができます。専門家が症状を聞き取った上で、すぐに救急外来を受診すべきか、家でどのように看病すれば良いかをアドバイスしてくれます。特に年末年始は小児科の休診が多いため、自己判断で様子を見すぎて手遅れになったり、逆に軽症なのに救急外来に駆け込んで疲弊してしまったりすることを防ぐためにも、まずはプロの意見を聞くことが重要です。地域によっては相談対応時間が夜間に限定されている場合もあるため、日中の対応時間についても事前に確認しておくと安心です。

各自治体の休日・夜間急患センターの探し方と受診時の注意点

電話相談の結果、やはり受診が必要だと判断された場合、次に向かうべきは「休日・夜間急患センター」や「休日当番医」です。これらは、地域の医師会などが持ち回りで診療を担当しており、年末年始などの医療機関が一斉に休診となる期間でも診療を行っています。探し方としては、お住まいの市区町村の公式ホームページを見るのが最も確実です。トップページや「防災・緊急」といったカテゴリに、「年末年始の診療体制」や「休日当番医表」が必ず掲載されています。また、市報や広報誌の12月号などに一覧表が掲載されていることも多いため、これらを写真に撮って保存しておくのも有効な手段です。

受診時の注意点として、これらの施設はあくまで「急場をしのぐための応急処置」を行う場所であると理解しておく必要があります。普段のかかりつけ医のように、長期的な治療方針を決めたり、精密な検査を行ったりすることは難しい場合がほとんどです。処方される薬も、原則として連休明けまでの1日〜3日分程度に限られることが一般的です。受診の際は、健康保険証、各種医療証(乳幼児医療証など)、お薬手帳、そして現金を必ず持参してください。年末年始はシステムトラブルなどでクレジットカードが使えない場合や、夜間休日加算によって普段より窓口負担額が高くなることが予想されるため、現金は多めに用意しておくと安心です。また、感染症対策として事前の電話連絡を求めている施設も多いため、いきなり訪問するのではなく、一度電話を入れてから向かうようにしましょう。

我慢できない「歯痛」に襲われた時の自宅でできる最強の応急処置

我慢できない「歯痛」に襲われた時の自宅でできる最強の応急処置

歯の痛みというのは、他のどの痛みとも異なり、脳に直接響くような鋭さがあり、日常生活はおろか睡眠すら妨げてしまう厄介なものです。特に年末年始に歯医者が閉まっているタイミングで歯痛が発生すると、絶望的な気持ちになるかもしれません。しかし、適切な応急処置を行うことで、痛みを完全に消すことはできなくとも、我慢できるレベルまで抑え込むことは可能です。ここでは、歯科医院が開くまでの数日間を乗り切るための、自宅でできる最大限の対処法について解説します。誤った民間療法を行うと逆効果になることもあるため、正しい知識を持つことが重要です。

今すぐ痛みを和らげたい!市販の鎮痛剤の正しい選び方と服用タイミング

歯痛に対する最も即効性があり確実な対処法は、市販の鎮痛剤(痛み止め)を服用することです。「痛くなってから飲む」のではなく、「痛みの予兆を感じたらすぐに飲む」、あるいは「痛みがピークに達する前に飲む」ことが、薬の効果を最大限に引き出すポイントです。痛みが強くなりすぎてからでは、神経が興奮状態になり、薬が効きにくくなる現象(ウインドアップ現象)が起きる可能性があるためです。市販薬を選ぶ際は、成分に注目しましょう。「ロキソプロフェン」が含まれている薬は、鎮痛効果が高く即効性もあるため、大人の激しい歯痛には第一選択肢となります。ただし、胃への負担があるため、空腹時を避けて服用するか、胃薬と併用することが推奨されます。

もし、ロキソプロフェンが体質に合わない場合や、15歳未満の子供の場合は、「アセトアミノフェン」を主成分とした薬を選んでください。鎮痛作用は比較的マイルドですが、副作用が少なく安全性が高いのが特徴です。「イブプロフェン」配合の薬も、炎症を抑える効果が高く歯痛に有効です。具体的には、深夜に痛みが強くなる傾向があるため、就寝前にあらかじめ服用しておくことで、痛みで夜中に目を覚ますリスクを減らすことができます。薬のパッケージや説明書をよく読み、用法用量を守って使用することは大前提ですが、年末年始を乗り切るためには、薬の効果が切れる前に次の服用タイミングを計るなど、計画的な服用を心がけましょう。

成分名主な特徴向いている人・状況
ロキソプロフェン鎮痛効果が強く即効性がある激しい痛みがある大人(15歳以上)
イブプロフェン抗炎症作用があり痛みと腫れに効く歯茎が腫れている場合の痛み
アセトアミノフェン胃に優しく副作用が少ない子供、妊婦、胃が弱い人

冷やす?温める?患部の状態に合わせた適切な処置方法

「患部を冷やすべきか、温めるべきか」は、歯痛の対処において最も判断を誤りやすいポイントです。結論から言うと、急性の歯痛や歯茎の腫れがある場合、**絶対に温めてはいけません。** 温めると血行が良くなり、神経への圧迫が強まって痛みが激増するからです。お風呂に長時間浸かること、激しい運動、アルコールの摂取はすべて血行を促進させるため、歯が痛い時は控えるべきです。入浴はぬるめのシャワーで済ませ、安静に過ごすことが鉄則です。

正しい処置は「冷やすこと」ですが、これにもコツがあります。氷を直接口に含んだり、氷嚢(ひょうのう)を頬に長時間当て続けたりすると、冷たすぎて逆に知覚過敏のような痛みを誘発したり、血行不良で治癒が遅れたりすることがあります。最適な方法は、水で濡らしたタオルや、冷却ジェルシート(「冷えピタ」など)を頬の外側から当てることです。これにより、患部の炎症による熱を奪い、痛みを麻痺させる効果が期待できます。「ズキズキと脈打つような痛み」がある場合は、炎症が起きているサインですので、この「適度な冷却」を行いましょう。逆に、知覚過敏で「冷たいものがしみる」場合は、常温の水でうがいをするなど、刺激を与えないように注意が必要です。

詰まり物が取れた・歯茎が腫れた場合の具体的な対処ステップ

「食事中に詰め物が取れてしまった」「歯茎がパンパンに腫れてきた」というトラブルも、年末年始にはよく起こります。詰め物が取れた場合、その穴に食べカスが詰まると神経を刺激して激痛の原因になります。まずは、優しく口をすすぎ、食べカスを取り除いてください。この時、爪楊枝などで無理にほじくり返すのは厳禁です。神経を傷つけてしまう恐れがあります。取れた詰め物は、再度付けられる可能性があるので捨てずに保管しておきましょう。また、取れた部分がしみて痛む場合は、ドラッグストアなどで売っている「歯科用セメント(仮詰め材)」を使用して一時的に穴を塞ぐ方法もありますが、素人が行うと噛み合わせが悪くなり余計に痛むこともあるため、基本的には清潔に保ちつつ患部で噛まないようにするのが無難です。

歯茎が腫れて痛む場合は、歯周病の急性発作や、歯の根の先に膿が溜まっている可能性があります。この場合、患部を不潔にしていると細菌が増殖して悪化するため、柔らかめの歯ブラシで優しく磨くか、殺菌作用のあるうがい薬(コンクールFやイソジンなど)で頻繁にうがいをして口内を清潔に保ちましょう。腫れがひどく、顔まで変形している場合や、高熱が出ている場合は、感染が広がっている危険なサイン(蜂窩織炎などのリスク)ですので、休日診療を行っている歯科医院や口腔外科を緊急で受診する必要があります。市販の痛み止めを飲みつつ、腫れている部分を外側から冷やし、頭を少し高くして寝ることで、患部への血流を抑えて痛みを緩和できることがあります。

突然の「発熱」や体調不良!受診までの時間を乗り切るホームケア

年末年始の冬場は、インフルエンザや新型コロナウイルス、感染性胃腸炎などの感染症が流行しやすい時期でもあります。急な発熱は体力を奪い、不安を煽りますが、熱が出ること自体は体がウイルスと戦っている防御反応でもあります。病院に行くまでの間、自宅でどのように過ごすかが回復のカギを握ります。ここでは、発熱や体調不良時に家庭で実践すべき、医学的根拠に基づいたホームケアの方法を詳しく解説します。

解熱剤を使うべきタイミングは?体温だけでなく全身状態を見る判断基準

「熱が出たらすぐに解熱剤を使って下げるべき」と考えている方は多いですが、必ずしもそうとは限りません。発熱は免疫細胞を活性化させ、ウイルスの増殖を抑えるための重要な生体反応です。むやみに熱を下げると、かえって病気の期間を長引かせてしまう可能性すらあります。解熱剤を使用すべき判断基準は、「体温の数値」ではなく「全身の状態(つらさ)」にあります。例えば、体温が39度あっても、水分が取れていて眠れている、あるいは子供が機嫌よく遊んでいるのであれば、無理に解熱剤を使う必要はありません。

逆に、体温が38度程度であっても、頭痛や関節痛がひどくて眠れない、食事が取れない、ぐったりして元気がないという場合は、体力消耗を防ぐために解熱剤の使用を検討すべきです。解熱剤を使うことで一時的に症状を和らげ、その間に水分補給や睡眠を取って体力を回復させることが目的です。使用する際は、用法用量(特に服用間隔)を厳守してください。一度飲んでも熱が下がらないからといって、短時間で追加服用するのは危険です。また、インフルエンザの可能性がある場合、アスピリン系の解熱剤を使用すると「ライ症候群」という重篤な脳症を引き起こすリスクがあるため、アセトアミノフェン系の薬を選ぶのが最も安全で推奨されます。

脱水症状を防ぐための効果的な水分補給と経口補水液の作り方

発熱時や嘔吐・下痢を伴う胃腸炎の際、最も警戒すべきは「脱水症状」です。熱によって汗をかいたり、呼気から水分が失われたりするため、普段以上に積極的な水分補給が必要です。水やお茶だけでは、失われた電解質(ナトリウムやカリウムなど)を補えないため、体が水分を吸収しにくくなります。そこで役立つのが「経口補水液(OS-1など)」です。これは「飲む点滴」とも呼ばれ、体内への吸収速度が非常に速くなるように設計されています。ドラッグストアで手に入りますが、もし手元になく、買いに行けない場合は自宅で作ることも可能です。

簡易的な経口補水液の作り方は、水1リットルに対し、砂糖40g(大さじ4杯半)と食塩3g(小さじ半分)を混ぜるだけです。味を飲みやすくするために、レモン汁を少量加えると良いでしょう。飲む際のポイントは、「一度にガブ飲みしないこと」です。胃腸が弱っている時に大量の水分を流し込むと、嘔吐を誘発してしまうことがあります。ペットボトルのキャップ1杯分を5分〜10分おきに飲むなど、少量頻回摂取を心がけてください。特に子供や高齢者は脱水の進行に気づきにくいため、周囲の人がこまめに声をかけ、唇が乾いていないか、尿の回数が減っていないか(色が濃くなっていないか)をチェックすることが命を守ることにつながります。

材料分量(水1リットルに対して)備考
砂糖40g(大さじ4と1/2)エネルギー補給と水分の吸収促進のため必須
食塩3g(小さじ1/2)失われたナトリウムを補給する
レモン汁適量カリウム補給と飲みやすさの向上

インフルエンザやコロナが疑われる場合の隔離と感染対策のポイント

発熱の原因がインフルエンザや新型コロナウイルスなどの感染症である可能性がある場合、家庭内感染を防ぐための「隔離」が重要になります。日本の住宅事情では完全な隔離は難しいかもしれませんが、可能な限り感染者と他の家族の生活空間を分ける工夫が必要です。まず、感染者は個室で過ごし、食事も部屋の前まで運ぶようにして、対面での接触を最小限にします。トイレやお風呂など共用部分を使用する際は、感染者が最後に入り、使用後はアルコール消毒や換気を徹底します。

看病をする人は、基礎疾患のない健康な家族1人に限定し、部屋に入る際は必ずマスクを着用します。また、ウイルスは手指を介して目や鼻、口から侵入するため、こまめな手洗いと手指消毒が最も効果的な対策です。意外と見落としがちなのが「換気」と「加湿」です。冬場の乾燥した密閉空間はウイルスの生存に適しています。1時間に1回、5分程度窓を開けて空気を入れ替えるとともに、加湿器を使って湿度を50〜60%に保つことで、喉の粘膜の防御機能を高め、ウイルスの飛散を抑えることができます。タオルや食器の共用を避けることはもちろん、ゴミを捨てる際も袋を二重にして密閉するなど、ウイルスを外に出さない配慮が家庭内感染の連鎖を食い止めます。

いざという時に慌てないために!年末年始前に準備しておくべき市販薬と備蓄リスト

「備えあれば憂いなし」という言葉通り、年末年始の医療機関が手薄になる時期こそ、事前の準備が明暗を分けます。体調が悪くなってからドラッグストアに走るのは、体力的に辛いだけでなく、年末年始の短縮営業や休業で欲しいものが手に入らないリスクもあります。ここでは、12月中旬までには揃えておきたい、薬剤師も推奨する「年末年始を乗り切るための救急箱リスト」をご紹介します。これらをセットにして分かりやすい場所に置いておくだけで、いざという時の安心感が全く違います。

薬剤師が推奨する「常備しておくと安心な市販薬」のジャンル別一覧

市販薬は症状に合わせて使い分ける必要があるため、いくつかのジャンルを網羅的に揃えておくことが大切です。まずは「解熱鎮痛剤」。これは発熱、頭痛、歯痛、生理痛などあらゆる痛みに対応できる万能薬です。先述の通り、ロキソプロフェン系とアセトアミノフェン系の2種類を用意しておくと、家族全員(大人から子供まで)に対応できます。次に「総合感冒薬(風邪薬)」。鼻水、咳、喉の痛みなど風邪の諸症状が出始めた時に早めに服用することで、重症化を防げる場合があります。ただし、症状が特定の部位(例:咳だけがひどい)に限られる場合は、総合感冒薬よりも「咳止め」や「去痰薬」といった単一の症状に特化した薬の方が効果的な場合があります。

さらに、年末年始はご馳走を食べる機会が増えるため、「胃腸薬」も欠かせません。消化不良や胃もたれに対応する胃薬と、下痢止めではなく「整腸剤」を用意しましょう。感染性胃腸炎の場合、下痢止めで無理に止めてしまうとウイルスを体内に閉じ込めてしまうため、整腸剤で腸内環境を整えながら出し切るのが基本です。最後に、怪我に備えた「外用薬」として、消毒液、絆創膏(大小サイズ)、湿布薬もあると安心です。持病がある方は、処方薬の残数を早めに確認し、年内に必ずかかりつけ医を受診して、多めに薬をもらっておくことを忘れないでください。

体温計、冷却シート、保存食…体調不良時に役立つ看病グッズまとめ

薬だけでなく、看病をスムーズに行うためのグッズや食料品の備蓄も重要です。まず確認すべきは「体温計」の電池です。いざ使おうとしたら電池切れだった、というのはよくある失敗です。予備の電池を用意するか、新しい体温計を準備しておきましょう。冷却枕(アイスノンなど)や冷却ジェルシートは、発熱時の不快感を和らげるために多めにストックしておきます。また、マスクや使い捨て手袋、ペーパータオル、塩素系漂白剤(ハイターなど)は、家庭内で嘔吐物などを処理する際の感染対策セットとしてまとめておくと便利です。

食料品に関しては、「消化が良く、調理の手間がかからないもの」を中心に備蓄します。レトルトのおかゆ、うどん、ゼリー飲料、経口補水液(またはスポーツドリンク)、缶詰のスープなどがおすすめです。高熱が出ている時に一から料理を作るのは不可能ですし、ネットスーパーも年末年始は配送が遅れる可能性があります。自分一人がダウンしても、最低限3日間は食いつなげるだけの保存食を用意しておくことで、安心して療養に専念できます。さらに、現金(小銭含む)も手元に用意しておきましょう。夜間診療やタクシー代など、急な出費に即座に対応できる準備が、心の余裕を生みます。

救急車を呼ぶべきか迷った時の判断ガイドと「Q助」アプリの活用

「救急車を呼ぶのは迷惑ではないか」「近所の目が気になる」といった心理的なハードルから、通報をためらってしまう人がいます。しかし、一刻を争う事態において、その躊躇が命取りになることもあります。逆に、軽症で救急車を呼んでしまうと、本当に必要な人のところに救急車が到着するのが遅れてしまいます。このジレンマを解消するために、公的な判断ガイドラインや便利なアプリが存在します。ここでは、客観的に緊急度を判断するためのツールと基準について解説します。

「ためらわずに呼んで!」命に関わる危険な症状のチェックリスト

総務省消防庁は、救急車利用マニュアルの中で「ためらわずに救急車を呼んでほしい症状」を明確に示しています。これらに該当する場合は、自分で病院に行こうとせず、直ちに119番通報してください。まず、顔半分が動きにくい、ろれつが回らない、片方の手足に力が入らないといった症状は「脳卒中」の疑いがあります。突然の激しい頭痛も同様です。次に、胸が締め付けられるような痛みや圧迫感が数分以上続く場合は「心筋梗塞」などの心臓疾患が疑われます。

また、呼吸が苦しい、ゼーゼーして肩で息をしている、顔色が悪い(唇が紫色)といった呼吸困難の症状も緊急性が高いです。腹痛の場合でも、血を吐いた、便に血が混じっている、冷や汗を伴う激痛がある場合は危険です。子供の場合、痙攣(けいれん)が止まらない、呼びかけても反応がない、呼吸がおかしい時は迷わず呼んでください。「これくらいで呼んでいいのかな?」と迷うような状況でも、これらの症状が一つでも当てはまるなら、それは体が発している「助けてほしい」というサインです。遠慮は無用です。すぐに通報し、指令員の指示に従ってください。

消防庁のアプリ「Q助」を使って緊急度をセルフチェックする手順

電話での相談(#7119)がつながらない時や、自分のペースで冷静に判断したい時に役立つのが、総務省消防庁が提供している全国版救急受診アプリ「Q助(きゅーすけ)」です。スマートフォンやPCから無料で利用でき、画面上に表示される該当する症状を選択していくだけで、緊急度を色分けして判定してくれます。判定結果は、「いますぐ救急車を呼びましょう(赤)」「できるだけ早めに医療機関を受診しましょう(黄)」「緊急ではありませんが医療機関を受診しましょう(緑)」といった具合に、具体的なアクションプランとともに表示されます。

「Q助」の優れている点は、赤色の判定が出た場合、そのままアプリから119番通報ができるボタンが表示される点です(スマートフォン版)。また、黄色や緑色の判定が出た場合には、現在地周辺の医療機関や受診手段(タクシーなど)を検索できるリンクも表示されます。アプリをインストールしていなくても、ブラウザ版ですぐに使用可能です。年末年始のような非日常の状況下では、パニックになって正常な判断ができなくなることがあります。そんな時に、客観的なアルゴリズムに基づいて「今どうすべきか」を提示してくれるこのアプリは、非常に心強い味方になります。事前にブックマークやインストールをしておくことを強くおすすめします。

夜間・休日診療の料金は通常より高いのですか?

はい、高くなる場合がほとんどです。休日や夜間(一般的には18時以降や土曜の午後など)に受診すると、「時間外加算」「休日加算」「深夜加算」といった点数が診療報酬に上乗せされます。具体的な金額は保険負担割合によりますが、数百円から数千円程度高くなることを想定し、多めの現金を用意しておくと安心です。

ロキソニンと他の風邪薬は一緒に飲んでも大丈夫ですか?

成分が重複する可能性があるため、自己判断での併用は避けるべきです。多くの総合感冒薬(風邪薬)には解熱鎮痛成分が含まれており、ロキソニンと併用すると過剰摂取になり副作用のリスクが高まります。飲み合わせに迷ったら、薬局の薬剤師に相談するか、登録販売者に確認してください。

救急車を呼んで、入院しなかった場合は費用を請求されますか?

日本では救急車の利用自体は無料ですので、搬送費用を請求されることはありません。ただし、搬送先の病院での診察・治療費は当然かかります。また、一部の自治体や病院では、紹介状なしで大病院の救急外来を受診した場合に「選定療養費」という追加料金がかかるケースがあります。

まとめ

年末年始に病院が閉まっている状況での体調不良は、誰にとっても大きなストレスとなります。しかし、適切な相談窓口を知り、正しい応急処置を行うことで、最悪の事態を回避し、平穏に過ごすことは十分に可能です。

今回ご紹介した「#7119」や「#8000」といった番号を電話帳に登録し、市販薬や保存食を備えておくことは、あなたと大切な家族を守るための「お守り」になります。もし緊急の事態が起きても、まずは深呼吸をして、この記事で紹介した手順を一つずつ確認してください。焦らず冷静に対処すれば、必ず乗り切ることができます。あなたの年末年始が、少しでも穏やかで安全なものになることを心から願っています。

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