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お正月の出費は平均いくら?リアルな総額と内訳、賢い管理術

「あけましておめでとうございます」と笑顔で挨拶を交わしつつも、心のどこかで「また諭吉が飛んでいく…」と溜息をついていませんか?久しぶりの帰省、親戚の子どもたちへのお年玉、豪華なおせち料理。お正月は一年で最もお財布の紐が緩みやすく、そして後悔しやすい時期でもあります。

楽しいはずの年末年始が明けた途端、クレジットカードの請求額に青ざめたり、ボーナスが跡形もなく消えていたりする経験は、決してあなただけのものではありません。しかし、しっかりとした相場観と事前の計画があれば、お正月の出費はコントロール可能です。「ケチケチしたくないけれど、無駄遣いもしたくない」。そんなあなたのために、お正月のリアルな出費事情と、賢く乗り切るための管理術を徹底解説します。

この記事でわかること

目次

お正月の出費は平均いくら?リアルな総額と内訳

まずは、世間一般の人々がお正月にどれくらいのお金を使っているのか、その「相場」を知ることから始めましょう。自分だけが使いすぎているのか、それともこれくらいが普通なのかを知ることで、予算の目安が見えてきます。多くの調査において、年末年始にかかる費用の総額は平均して**5万円から10万円程度**と言われています。もちろん、帰省の有無や家族構成によって大きく変動しますが、決して少ない金額ではありません。

特に子育て世帯や実家が遠方にある場合、この金額はさらに跳ね上がる傾向にあります。ここでは、主な出費の内訳として「お年玉」「帰省費」「飲食・娯楽費」の3つに焦点を当て、それぞれの詳細な事情を見ていきましょう。

最も大きな出費はやはり「お年玉」!年齢別の相場と総額

お正月最大の出費イベントといえば、やはり「お年玉」です。自分の子どもだけでなく、姪や甥、親戚の子どもたちにお小遣いを渡す日本の伝統行事は、家計にとって大きな負担となります。あげる人数にもよりますが、お年玉だけで数万円が飛んでいく家庭も珍しくありません。特に、親戚一同が集まる本家のような立場であったり、兄弟姉妹が多かったりする場合、その総額は10万円近くに達することさえあります。

悩ましいのは「いくら包むのが正解なのか」という点です。少なすぎればケチだと思われるかもしれませんし、多すぎれば相手の親に気を使わせてしまう恐れもあります。一般的に言われている年齢別の相場は以下のようになっていますが、これはあくまで目安であり、地域や親族間の取り決めによっても異なります。重要なのは、毎年行き当たりばったりで金額を決めるのではなく、自分の中での基準を持っておくことです。

対象年齢金額の相場備考・注意点
未就学児500円〜1,000円おもちゃやお菓子を現物で渡すケースも多い
小学校低学年1,000円〜3,000円お金の価値が分かり始める時期、硬貨より千円札が喜ばれる
小学校高学年3,000円〜5,000円ゲームソフトなどが買える金額を期待される傾向がある
中学生5,000円〜10,000円行動範囲が広がり、友人との付き合いでお金が必要になる
高校生・大学生10,000円〜アルバイトをしている場合でも、学生のうちは渡すのが一般的

このように、年齢が上がるにつれて金額も上昇していきます。例えば、小学生の姪が2人と中学生の甥が1人いた場合、それだけで2万円近くの出費になります。ここに自分の子どもへのお年玉も加われば、家計へのインパクトは計り知れません。また、近年では「ポチ袋に入れて渡す」という形式だけでなく、遠方の親戚にはキャッシュレス送金を行うケースも増えていますが、現金の重みが伝わりにくい分、金額設定にはより慎重になる必要があります。

意外とかかる「帰省費」の平均と交通手段別のコスト

お年玉と並んで家計を圧迫するのが「帰省費」です。実家が近隣であればガソリン代や手土産代程度で済みますが、新幹線や飛行機を利用しなければならない距離にある場合、家族全員での移動は海外旅行並みの出費になることもあります。年末年始は「繁忙期」にあたるため、早割などの割引が適用されにくかったり、そもそもチケットの定価が高く設定されていたりすることも、出費がかさむ要因の一つです。

例えば、東京から大阪へ家族4人(夫婦+小学生2人)で新幹線を使って帰省する場合を考えてみましょう。往復の交通費だけで約10万円近くかかります。さらに実家へ滞在する間の食費負担や、親への手土産、親戚への挨拶回りにかかる費用などを合わせると、帰省全体で15万円〜20万円ほどの予算が必要になるケースも珍しくありません。車での帰省を選択すれば交通費自体は抑えられますが、高速道路の渋滞によるガソリンの消耗や、長時間の運転による疲労、サービスエリアでの予期せぬ散財なども考慮に入れる必要があります。

また、帰省費には「見えないコスト」も含まれます。実家に泊まらせてもらうお礼として現金を包む場合や、外食時の支払いを全額負担する場合などです。「実家だから甘えればいい」と考えがちですが、親世代も年金暮らしで余裕がない場合、暗黙の了解として子世代が費用を負担する場面も多々あります。これらの費用を事前に見積もっておかないと、帰省から戻ってきた後に「こんなに使ったつもりはないのに」と後悔することになります。

おせち・外食・初売り…年末年始の飲食・娯楽費の目安

お年玉や帰省費といった「義務的な出費」以外に、私たちの財布を緩ませるのが「お正月ならではの楽しみ」にかかる費用です。豪華なおせち料理、カニや和牛といった高級食材、親戚との新年会での外食、そして初売りセールでの衝動買い。これらは一つひとつが高額なうえに、「せっかくのお正月だから」という魔法の言葉によって、普段なら躊躇するような金額でも支払ってしまいがちです。

具体的におせち料理一つをとっても、百貨店や有名料亭のものを注文すれば2万円〜5万円はかかります。スーパーで食材を買い揃えて手作りする場合でも、年末価格で高騰している蒲鉾や伊達巻、数の子などを購入していけば、結局1万円以上の出費になることはザラです。さらに、お正月休み中は自宅で料理をするのが面倒になり、デリバリーや外食に頼る頻度も増えます。お正月料金で割高になっているお店も多いため、食費だけで普段の月の2倍近くに膨れ上がることも珍しくありません。

初売りや福袋も要注意です。「3万円相当の商品が入って1万円」と言われると得をした気分になりますが、その1万円は本当に必要な出費だったのでしょうか?中に入っていた服が好みでなかったり、使わない雑貨ばかりだったりすれば、それは単なる浪費です。レジャー費に関しても同様で、初詣のお賽銭やお守り代、家族で出かける映画やボウリング、スキー旅行など、楽しみを追求すればするほどお金は湯水のように消えていきます。平均して飲食・娯楽費だけで3万円〜5万円程度を見込んでおくのが現実的でしょう。

なぜお正月にお金を使いすぎてしまうのか?その心理的要因

なぜお正月にお金を使いすぎてしまうのか?その心理的要因

「今年こそは節約しよう」と固く誓ったはずなのに、気がつけば予算オーバー。なぜ私たちはお正月になると、これほどまでにお金のコントロールを失ってしまうのでしょうか?そこには、単なる「物価が高いから」という理由だけではない、人間特有の心理的なメカニズムが働いています。敵を知るにはまず己を知ることから。ここでは、お正月特有の「浪費の心理的トリガー」を深掘りしていきましょう。

「せっかくのお正月だから」という特別感の罠

最も強力で、かつ厄介なのが「特別感」による心理的バイアスです。行動経済学では「メンタルアカウンティング(心の会計)」と呼ばれる現象ですが、私たちは無意識のうちにお金を用途ごとに色分けしています。普段のスーパーでの100円の違いには敏感なのに、お正月という「ハレの日」の枠組みに入った途端、数千円、数万円の出費に対して感覚が麻痺してしまうのです。「年に一度のことだから」「めでたい席だから」という言い訳は、財布の紐を緩めるための免罪符として機能します。

例えば、普段なら絶対に買わないような1箱5,000円のイチゴや、1本1万円の日本酒を、「お正月だから」という理由だけでカートに入れてしまった経験はありませんか?これは、お正月というイベント自体が持つ高揚感と、ボーナスが出た直後であるという一時的な資産増加効果(ウェルス効果)が組み合わさって起きる現象です。この高揚感の中にいるときは、将来のリスク(1月以降の生活費不足など)を過小評価し、現在の満足を優先してしまう「現在バイアス」も強く働きます。

さらに、周囲の雰囲気もこの心理を加速させます。テレビでは豪華な旅行やグルメの特番が流れ、SNSでは友人たちが楽しそうなパーティーの様子をアップしています。これらを目にすることで「自分も楽しまなきゃ損だ」「みんなお金を使っているのだから自分も大丈夫だ」という同調圧力が生まれ、本来の予算を超えた出費へと突き進んでしまうのです。この「特別感の罠」から抜け出すには、お正月を「特別なイベント」としてではなく、「365日の中の数日間」として冷静に捉え直す視点が必要です。

普段会わない親戚や友人との交際費・手土産代の盲点

お正月は、普段疎遠にしている人たちと顔を合わせる貴重な機会でもあります。ここで働くのが「見栄」と「返報性」の心理です。「久しぶりに会う従兄弟に成功していると思われたい」「義理の両親に気が利く嫁・婿だと思われたい」。そんな承認欲求が、必要以上に高価な手土産を選ばせたり、飲食代を多めに支払ったりする行動に繋がります。

具体的には、本来なら2,000円程度のお菓子折りで十分なところを、「安物だと思われたくない」という不安から5,000円の有名ブランドのお菓子を選んでしまうようなケースです。また、親戚の子どもたちにお年玉を渡す際も、「あそこの家は羽振りがいい」と思われたくて、相場よりも高い金額を包んでしまうこともあるでしょう。こうした「見栄のコスト」は、一つひとつは数千円の違いでも、積み重なれば数万円単位の無駄遣いとなります。

さらに、「以前お世話になったから」「去年いただきものをしたから」という返報性の原理も働きます。頂いたものと同等、あるいはそれ以上のものを返さなければならないというプレッシャーは、特にお中元やお歳暮の習慣が残る地域や世代間で強く作用します。しかし、冷静に考えれば、相手が求めているのは高価な品物ではなく、元気な顔を見せることや、心のこもった交流である場合がほとんどです。過剰な気遣いがお互いの首を絞める結果にならないよう、どこかで線引きをする勇気も必要です。

クレジットカードや電子マネーの使いすぎによる請求ラグ

現代のお正月出費をより複雑に、そして危険にしているのがキャッシュレス決済の普及です。帰省の新幹線チケット、おせちのネット注文、初売りでのショッピング。これらをクレジットカードや電子マネーで支払うことで、現金の移動が目に見えなくなり、「お金を使っている」という痛みが希薄になります。行動経済学では「支払いの痛み(Pain of Paying)」と呼ばれますが、キャッシュレスはこの痛みを麻痺させる効果があるのです。

特に恐ろしいのが、クレジットカードの「請求ラグ」です。年末年始に使ったお金の請求が実際に銀行口座から引き落とされるのは、多くの場合1月末から2月にかけてです。お正月休み中は手元の現金が減らないため、「まだ余裕がある」と錯覚してしまいます。しかし、忘れた頃にやってくる高額な請求書を見て初めて事の重大さに気づくのです。ボーナス払いに設定していればさらに支払いは先送りされますが、それは将来の自分への借金に他なりません。

また、PayPayや楽天ペイなどのQRコード決済で行われている「ポイント還元キャンペーン」やお年玉企画も、消費を煽る要因となります。「今なら20%戻ってくるから実質◯円」という言葉に踊らされ、本来必要のないものまで買ってしまうのは本末転倒です。キャッシュレスは便利でお得なツールですが、お正月のような金銭感覚が狂いやすい時期には、あえて現金を使い、物理的に財布の中身が減っていく感覚を味わうことも、使いすぎを防ぐための有効な手段となり得ます。

お年玉貧乏にならないために!スマートな予算管理と渡し方のマナー

出費の原因と心理的背景がわかったところで、次は具体的な対策に移りましょう。お正月出費の要である「お年玉」をコントロールできれば、家計へのダメージは最小限に抑えられます。ケチだと思われずに予算を守る、スマートな大人の振る舞いと管理術を伝授します。

お年玉の予算は「年収」ではなく「必要経費」として先取りする

お年玉を「余ったお金から出す」と考えていると、必ず予算オーバーします。お年玉は、固定資産税や自動車税と同じく、毎年必ず発生する「固定費」あるいは「特別費」として捉え、1年前から計画的に準備しておくべきものです。12月の給料やボーナスが入ってから慌てて捻出するのではなく、毎月数千円ずつ積み立てておいた「お年玉用口座」から支払うのが理想的です。

具体的には、まず渡す予定の親戚リストを作成します。誰にいくら渡すかをシミュレーションし、総額を算出してください。そして、その金額をあらかじめ新札で用意し、ポチ袋に入れておきます。ここで重要なのは、「予備費」を設けないことです。「もし足りなかったら…」と余分にお金を持っていると、つい気が大きくなって追加で渡してしまったり、余った分を自分の浪費に使ってしまったりします。「今年はこれだけしか渡さない」という強い意志を、物理的な準備によって固めるのです。

また、自分の子どもがもらったお年玉を「家計の足し」にしてしまうのも避けるべきです。これは子どもの金融教育の機会を奪うだけでなく、親自身の家計管理の甘さを露呈することになります。お年玉はあくまで「子どもが得た所得」であり、親の財布とは切り離して管理する癖をつけましょう。もし家計が苦しくてお年玉を捻出できない場合は、無理をして配るのではなく、正直に「今年は厳しいから」と親戚間で話し合うか、金額を一律下げる提案をする勇気も必要です。

兄弟・親戚間でトラブルにならないための事前ルールの作り方

お年玉に関するトラブルで最も多いのが、親戚間での金額の不公平感です。「うちは3人兄弟なのに、相手は一人っ子。同じ金額を交換したら、うちばかり損をする」「兄のところは高給取りだから多く包んでくれたけど、うちは余裕がないから少なくて気まずい」。こうしたモヤモヤを解消するには、事前に親族間で明確なルール(協定)を結んでおくことが最も効果的です。

例えば、「小学生は一律3,000円、中学生は5,000円」と金額を固定する、あるいは「お互いの子どもへのお年玉はナシにして、その分自分たちで食事を楽しもう」と廃止にするなど、取り決め方は様々です。このような提案は、お正月の当日にするのではなく、年末の挨拶やLINEなどで事前に根回ししておくのがスマートです。「子供も大きくなってきたし、これからの教育費のことも考えて、親族間でのお年玉のルールを決めない?」と切り出せば、案外相手も「実は私もそう思っていた」と賛同してくれることが多いものです。

また、あげる年齢の上限を決めておくことも重要です。「高校卒業まで」「成人するまで」「就職するまで」など、終わりのタイミングを共有しておかないと、ダラダラと渡し続けることになりかねません。特に、自分の子どもが早く自立し、相手の子どもが大学院まで進んだ場合などは不公平感が募ります。ドライに感じるかもしれませんが、長く良好な関係を続けるためこそ、お金のルールはクリアにしておくべきなのです。

現金だけじゃない?キャッシュレスお年玉のメリットと注意点

近年、PayPayやLINE Pay、楽天キャッシュなどを利用した「キャッシュレスお年玉」が急速に普及しています。遠方に住んでいて直接会えない場合でも送金できる利便性や、新札を用意したりポチ袋を買ったりする手間が省ける点が大きなメリットです。また、受け取る側の子どもにとっても、スマホ決済に慣れ親しんでいる世代であれば、現金よりも使い勝手が良いと喜ばれるケースも増えています。

しかし、導入にはいくつかの注意点が必要です。まず、祖父母世代などデジタルに不慣れな人がいる場合、「味気ない」「心がこもっていない」と否定的に捉えられる可能性があります。また、現金の重みやありがたみが伝わりにくく、データ上の数字が増えるだけなので、子どもが「お金をもらった」という実感を持ちにくいという教育上の懸念もあります。

キャッシュレスお年玉を導入する場合は、単に送金するだけでなく、必ずメッセージ機能やビデオ通話を併用して、コミュニケーションを取ることを忘れないでください。「おめでとう」の言葉と共に送ることで、デジタルの冷たさを補うことができます。また、小さな子どもには「お年玉引換券」のような手作りのカードを渡し、親のスマホ経由で好きなものをネットで買う体験をさせるといった工夫も、現代的なお年玉の楽しみ方と言えるでしょう。

帰省費やイベント費を賢く抑える!具体的な節約テクニック5選

ここからは、お年玉以外の出費、特に大きなウェイトを占める帰省費やイベント費を削減するための実践的なテクニックを紹介します。我慢して質素にするのではなく、満足度を維持しながらコストだけを削る「賢い節約術」をマスターしましょう。

帰省ラッシュを避けた「時期ずらし」と早割の活用術

帰省費を劇的に安くする最強の方法は、みんなが移動するピーク時を避けることです。新幹線や飛行機の料金は、年末年始やお盆などの繁忙期に最も高く設定されています。可能であれば、有給休暇を活用して帰省の日程を1日〜2日ずらすだけで、数万円単位の節約になることがあります。例えば、1月1日の元旦に移動すると、混雑も緩和されており、指定席も取りやすく、料金もピーク時より安くなるケースが多いのです。

さらに、航空券や新幹線のチケットは「早割」の活用が必須です。各交通機関の予約開始日(多くは搭乗・乗車の1ヶ月前や数ヶ月前)をスケジュール帳に記入し、発売開始と同時に予約を入れる執念が必要です。LCC(格安航空会社)を利用する場合は、荷物の重量制限などに注意が必要ですが、大手キャリアの半額以下で移動できることもあります。また、JRの「ぷらっとこだま」のような企画切符や、金券ショップでの株主優待券の購入も検討に値します。

車で帰省する場合も、ETCの「休日割引」や「深夜割引」を最大限に利用しましょう。深夜0時から4時の間に高速道路上にいれば30%の割引が適用されるため、長距離移動であればあるほど恩恵は大きくなります。ただし、無理な夜間運転は事故のリスクを高めるため、仮眠をしっかりとるなどの安全対策は万全にしてください。

手土産は「見栄」よりも「話題性」と「コスパ」で選ぶ

帰省の手土産選びで陥りがちなのが、「デパートで買えば間違いない」という思考停止です。確かに有名店の菓子折りは無難ですが、値段の割に量が少なかったり、相手も食べ飽きていたりすることがあります。ここで重視すべきは、ブランドの知名度よりも「話題性」と「コスパ」です。例えば、自分が住んでいる地域でしか買えない限定のお菓子や、テレビで紹介された話題のB級グルメなどは、価格が安くても「わざわざ選んでくれた」というストーリーが付加され、大変喜ばれます。

また、相手の家族構成を考慮することも節約につながります。高齢の両親だけで暮らす実家に、日持ちのしない生菓子や大量の詰め合わせを持っていくのは迷惑になりかねません。逆に、孫がたくさん集まる家なら、質より量を重視した個包装のスナック菓子や、みんなで楽しめるジュースの詰め合わせの方が歓迎されることもあります。「高ければいい」という固定観念を捨て、相手が本当に喜ぶ顔を想像しながら選ぶことで、結果的に出費を抑えることができるのです。

初売りセールは「リスト化」して衝動買いを鉄壁ブロック

初売りセールの熱気に飲まれないためには、事前の「買い物リスト」作成が最強の盾となります。セール会場に行く前に、本当に必要なもの、買い換える予定だったものを紙やスマホに書き出してください。そして、そのリストにないものは「どんなに安くても絶対に買わない」と心に決めます。もしリストにない商品に惹かれたら、その場で即決せず、「トイレに行って冷静になる」「一度店を出てお茶を飲む」などのクールダウンの時間を設けましょう。

福袋に関しては、中身が完全に見えるもの、あるいは特定のアイテム(例:冬用のコート)が必ず入っていると分かっているもの以外は手を出さないのが賢明です。「運試し」を楽しみたいのであれば、3,000円以内など、失っても痛くない金額の上限を設定しておきましょう。また、ネット通販の初売りも要注意です。送料を含めた総額で比較検討し、ポイント倍率に釣られて不要なまとめ買いをしないよう、カートに入れた状態で一晩寝かせるくらいの慎重さを持ってください。

おせちは「一点豪華主義」で手作りと購入を使い分ける

おせち料理は「全て手作り」か「全て購入(重箱セット)」かの二択で考えがちですが、最もコスパが良いのはその中間、「ハイブリッドおせち」です。黒豆や昆布巻き、田作りといった、手間がかかる割に家族があまり食べない伝統的なメニューは、スーパーで少量のパックを買うか、思い切って省略します。その代わり、ローストビーフやエビチリなど、家族が喜ぶメイン料理だけを手作りするか、あるいはそこだけ有名店の単品を取り寄せるのです。

この「一点豪華主義」は、満足度を高めつつ費用を抑える非常に有効な手段です。全てが詰め込まれた数万円のお重を買っても、結局人気のない具材が残って廃棄されるフードロス問題も防げます。また、お皿や盛り付けにこだわることで、スーパーの惣菜でも豪華に見せることができます。100円ショップの飾り葉やお正月用のピックを活用すれば、見た目の華やかさは十分に演出可能です。

初詣やイベントは近場を楽しむ「マイクロツーリズム」の発想

お正月だからといって、必ずしも遠くの有名な神社へ初詣に行ったり、テーマパークへ出かけたりする必要はありません。近所の氏神様への参拝や、地域の公園での凧揚げ、自宅でのボードゲーム大会など、お金をかけずに楽しめるイベントはたくさんあります。コロナ禍で注目された「マイクロツーリズム(近場旅行)」の発想を、お正月の過ごし方にも取り入れてみましょう。

例えば、地元の今まで行ったことのない展望台へ初日の出を見に行く、あるいは隣町のスーパー銭湯でゆっくり過ごすといったプランなら、交通費も移動時間も最小限で済みます。浮いたお金で、自宅ですき焼きやカニ鍋などの少し良い食事を楽しむ方が、混雑に揉まれて疲弊するよりも満足度が高いかもしれません。「どこに行くか」よりも「誰とどう過ごすか」に価値を置くことで、低予算でも思い出に残るお正月を演出することができます。

年末年始の出費をリセットする!1月からの家計立て直し術

どれだけ気をつけていても、多少の予算オーバーは発生するものです。重要なのは、使いすぎてしまったことを悔やむのではなく、いち早く軌道修正を行うことです。お正月気分が抜けきらない1月中旬までに実行すべき、緊急の家計立て直し術を紹介します。

まずは「使った金額」を正確に把握することから始める

現実逃避をしたくて、レシートやカードの利用明細を見ないようにしていませんか?家計再建の第一歩は、現状の直視です。年末年始に使ったお金を、1円単位まで正確に書き出してください。お年玉、交通費、食費、交際費、使途不明金。全てを洗い出すことで、「何に使いすぎたのか」が明確になります。この作業は精神的に痛みを伴いますが、この「痛み」こそが、来年の浪費を防ぐための最強の学習材料となります。

1月の食費と娯楽費を引き締めて「特別費」の赤字を埋める

赤字額が確定したら、それをどの期間で回収するか計画を立てます。おすすめは、1月と2月の生活費を引き締めて短期決戦で埋め合わせることです。具体的には、お正月でご馳走を食べ過ぎた胃腸を休めるという意味でも、外食を一切禁止し、自炊中心の質素な食事に切り替えます。冷蔵庫に残っている年末の食材や乾物、缶詰を使い切る「在庫一掃キャンペーン」を実施すれば、食費を大幅に削減できます。

また、娯楽費も一時的に凍結します。サブスクリプションサービスの不要なものを見直したり、週末は図書館や公園などお金のかからない場所で過ごしたりする工夫が必要です。ただし、暖房費などの光熱費を無理に削って体調を崩しては元も子もないので、削るべきはあくまで「変動費」の中の贅沢部分に集中させましょう。

来年のお正月に向けた「特別費積立」を今すぐスタートする

今年のお正月の反省を、来年の成功に繋げるためのアクションです。今回かかった総額を12で割り、その金額を今月から毎月積み立て始めましょう。例えば12万円かかったなら、月々1万円です。これを「来年のお正月費」として別口座に確保しておけば、来年の年末には慌てることなく、心穏やかにお正月を迎えることができます。喉元過ぎれば熱さを忘れるのが人間です。痛みを覚えている「今」こそが、新しい習慣を始めるベストタイミングなのです。

よくある質問(FAQ)

喪中の場合、お年玉はどうすればいいですか?

喪中であっても、お年玉を渡すこと自体はマナー違反ではありません。ただし、紅白の水引がついた祝儀袋や「おめでとう」という言葉は避けましょう。無地のポチ袋や寒色系の袋を使い、表書きは「お年玉」ではなく「お小遣い」や「文具代」とするのが一般的です。渡す際も「あけましておめでとう」とは言わず、「今年もよろしくね」と言葉を選んで渡す配慮が必要です。

お年玉は何歳から何歳まで渡すべきですか?

明確な決まりはありませんが、一般的には「相手の子どもがお金の意味を理解し始める頃(3歳〜小学生)」から渡し始め、「高校卒業」または「成人(20歳)」で終了するケースが多いです。大学生まで渡す家庭もあれば、就職したら終了とする家庭もあります。重要なのは親戚間で基準を揃えることなので、事前に兄弟姉妹で相談して「学生のうちは渡す」「20歳で区切る」などのルールを決めておくとトラブルを防げます。

義実家への帰省、手土産の相場はどれくらいですか?

一般的には2,000円〜5,000円程度が相場とされています。高すぎるとかえって気を使わせてしまうため、金額よりも「地元の名産品」「相手の好物」「日持ちするもの」など、選んだ理由や気遣いを重視しましょう。また、滞在日数や食事をご馳走になる頻度によっては、手土産とは別に滞在費(現金)を包む、あるいは最終日に食事代を持つなどの配慮があると円満な関係が築けます。

まとめ

お正月は、旧年を労い新年を祝う大切な節目ですが、無計画に過ごせば家計に深刻なダメージを与える時期でもあります。しかし、出費の相場を知り、自分なりのルールを決めておけば、お金の不安に支配されることなく心から楽しむことができます。

今回の記事のポイントを振り返りましょう。

「一年の計は元旦にあり」と言いますが、家計管理においてもこの言葉は真実です。今年のお正月の経験を糧に、来年はさらに賢く、そして豊かな気持ちで新年を迎えられるよう、今から準備を始めてみてください。あなたのお財布と心が、一年を通じて穏やかであることを願っています。

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