一年の終わりを告げる大晦日の夜。こたつに入って紅白歌合戦を見たり、家族と今年一年を振り返ったりしながら、ゆっくりと過ごしたいものですよね。しかし、いざ当日になってみると「あれを買い忘れた!」「年越しそばの具材、これだけで足りるかな?」と慌ててしまった経験はありませんか?
特別な夜だからこそ、失敗なく、そしていつもより少し贅沢に過ごしたいというのが本音でしょう。ただお腹を満たすだけでなく、その場の空気感や、一年を労う「特別感」を演出するための準備が重要になります。
この記事でわかること
- 年越しそばを劇的に美味しくする具材の選び方と組み合わせ
- 和食やそばに合う大晦日におすすめのお酒のセレクト
- 準備に時間をかけずに食卓を豪華にする簡単おつまみアイデア
- 買い出しや準備を効率化するための具体的なチェックリスト
大晦日の準備はこれで完璧!年越しそば・お酒・おつまみの完全リスト
大晦日の準備と一口に言っても、家庭によって過ごし方は様々です。しかし、多くの日本人が共通して求めるのは「一年を無事に締めくくった安堵感」と「来る年への希望」を感じられる食卓ではないでしょうか。ただスーパーに行って目についたものをカゴに入れるのではなく、どのような時間を過ごしたいかをイメージしながらリストアップすることが、満足度の高い大晦日への近道です。
例えば、小さなお子様がいるご家庭なら、子供が喜ぶ華やかな具材やノンアルコールのドリンクを多めに用意する必要があるでしょうし、夫婦水入らずで過ごすなら、少し値の張る日本酒やワインと、それに合う珍味を厳選したいところです。ここでは、基本的な「年越しそば」「お酒」「おつまみ」のカテゴリーに加え、あると便利な「雰囲気作りアイテム」まで、網羅的に見ていきます。まずは、全体像を把握するためのチェックリストを確認してみましょう。
このリストは、一般的なスーパーマーケットで入手可能なものを中心に構成していますが、年末の混雑を避けるために、保存がきくものは早めに購入しておくことを強くおすすめします。特に乾物や缶詰、冷凍食品などは12月中旬から少しずつストックしておくと、年末の心理的な負担が驚くほど軽くなります。
- 年越しそば(生麺・乾麺・冷凍麺)とそばつゆ
- メイン具材(海老天、かき揚げ、鴨肉、ニシンなど)
- 薬味・彩り具材(ネギ、蒲鉾、三つ葉、ゆず、わさび、七味唐辛子)
- 祝い酒(日本酒、ビール、スパークリングワイン)
- すぐ出せるおつまみ(板わさ、卵焼き、お刺身、珍味)
上記のリストをベースに、ご自身の好みや家族構成に合わせてカスタマイズしていくのがコツです。それでは、それぞれの項目について、さらに詳しく深掘りしていきましょう。
年越しそばを格上げする!定番から変わり種までおすすめ具材

年越しそばは「細く長く生きる」という長寿への願いや、「今年一年の厄災を断ち切る」という意味が込められた、大晦日の主役です。主役であるそば自体にこだわるのはもちろんですが、その満足度を大きく左右するのは、実は「具材」の選び方にあります。素うどんならぬ「素そば」では少し寂しいですし、かといって乗せすぎても味がぼやけてしまいます。
スーパーの天ぷらコーナーは年末になると大行列になりますが、本当に自分が食べたいものは何か、事前に決めておくことでスムーズに買い物ができます。また、地域によっても定番の具材は異なります。関東では海老天、関西ではニシン、あるいは鶏肉など、地域の特色を取り入れるのも一興です。ここでは、定番から少し贅沢なアレンジまで、年越しそばをワンランクアップさせる具材の選び方を紹介します。
定番中の定番!海老天・かき揚げ・ニシンの選び方
年越しそばといえば、やはり「海老天」を思い浮かべる方が多いのではないでしょうか。海老は腰が曲がるまで長生きするという長寿の象徴であり、その赤い色は魔除けの意味も持ちます。スーパーで購入する場合は、衣ばかりが大きくて身が細いものを避けるため、断面が見えるものや、信頼できるお惣菜コーナーのものを選びましょう。もし自宅で揚げる余裕があるなら、ブラックタイガーや車海老を使って揚げたてを用意すれば、サクサクの食感とプリプリの身を楽しむことができ、家族からの歓声が上がること間違いなしです。
また、「かき揚げ」も人気です。野菜の甘みがそばつゆに溶け出し、汁全体のコクが増すのが魅力です。特に玉ねぎ、人参、春菊、そして小エビが入ったかき揚げは、彩りも良く食欲をそそります。年末のスーパーでは、すでに揚げてあるものが山積みされていますが、購入後にオーブントースターで軽くリベイク(焼き直し)することで、余分な油が落ち、揚げたてに近いカリッとした食感が蘇ります。このひと手間を惜しまないことが、美味しい年越しそばへの第一歩です。
そして、忘れてはならないのが京都や北海道などで親しまれている「ニシン」の甘露煮です。「鰊(にしん)」は「二親(にしん)」に通じ、たくさんの子供が生まれるようにという子孫繁栄の願いが込められています。甘辛く煮付けられたニシンは、淡白なそばの味に力強いアクセントを加えてくれます。自分で煮るのは手間がかかりますが、真空パックの調理済み品が多く出回っているので、それを温めて乗せるだけで本格的な「にしんそば」が完成します。お酒のアテとしても優秀なので、多めに用意しておくのが賢明です。
| 具材名 | 意味・由来 | 美味しい食べ方のポイント |
|---|---|---|
| 海老天 | 長寿の象徴、魔除け | トースターで温め直し、衣をサクサクにする |
| かき揚げ | 福をかき集める | つゆに浸してコクを出す、または別皿で塩で食べる |
| ニシン甘露煮 | 子孫繁栄(二親) | 温めてから乗せる、お酒の肴にも流用可能 |
これらの定番具材は、それぞれに込められた願いを知ることで、ただ食べるだけでなく、会話のきっかけにもなります。「なんで海老を食べるか知ってる?」と家族で話しながら箸を進めるのも、大晦日ならではの楽しみ方と言えるでしょう。
彩りを添える!蒲鉾・卵・ネギ・青菜の準備
メインの具材が決まったら、次は丼の中を華やかに彩る名脇役たちの出番です。茶色っぽくなりがちなそばの見た目を、パッと明るく紅白や緑で飾ることで、お祝いムードが一気に高まります。まず欠かせないのが「蒲鉾(かまぼこ)」です。紅白の蒲鉾は、紅が魔除け、白が清浄を表します。いつもの薄切りでも良いですが、少し切り込みを入れて「結び蒲鉾」や「手綱蒲鉾」にするだけで、お正月の先取りのようなおめでたい雰囲気が出ます。厚めに切って、そばつゆに負けない食感を残すのがポイントです。
次に「卵」です。月見そばのように生卵を落とすのも良いですが、薄焼き卵を細く切った錦糸卵にすると上品に、伊達巻を一切れ乗せると豪華になります。また、温泉卵を用意しておけば、途中で黄身を崩して味変(あじへん)を楽しむこともできます。卵の黄色は「金運」を連想させるため、来年の豊かさを願って取り入れたい色味です。
そして、味の引き締め役として絶対に外せないのが「ネギ」です。「労(ねぎら)う」という言葉に通じ、一年の苦労を労う意味があります。白い部分は辛味とシャキシャキ感を、青い部分は彩りと香りを添えてくれます。さらに、ほうれん草や小松菜などの「青菜」を茹でて添えると、栄養バランスが整うだけでなく、緑色が鮮やかに映えます。仕上げに「ゆずの皮」をひとかけ乗せれば、湯気とともに爽やかな香りが立ち上り、まるでお店で食べているような高級感が演出できます。これらの具材は、事前に切ったり茹でたりしてタッパーに用意しておけば、食べる直前に乗せるだけで済むので、忙しい大晦日の夜でも慌てることはありません。
ちょっと贅沢に!鴨肉・牡蠣・餅でアレンジそば
「毎年天ぷらそばばかりで飽きてしまった」「最後くらいは奮発して美味しいものを食べたい」という方には、少し贅沢なアレンジ具材をおすすめします。筆頭はやはり「鴨肉」です。「鴨が葱を背負ってくる」ということわざがあるように、鴨とネギの相性は抜群です。鴨肉から出る上質な脂は、そばつゆに深みと甘みを与え、一口すするだけで至福の溜息が漏れる美味しさです。スーパーで合鴨のスモークや、鍋用のスライス肉を手に入れて、フライパンで香ばしく焼いてからつゆに入れましょう。焼きネギと一緒に煮込めば、極上の鴨南蛮そばの完成です。
冬の味覚の王様「牡蠣(かき)」も、年越しそばの具材として優秀です。「福をかき寄せる」という語呂合わせもあり、縁起が良い食材です。片栗粉をまぶしてサッと茹でるか、バター醤油でソテーしたものを乗せると、磯の香りが広がる贅沢な一杯になります。牡蠣のプリッとした食感と、そばの喉越しのコントラストは絶妙です。牡蠣から出る出汁がつゆに溶け込み、最後の一滴まで飲み干したくなる味わいになります。
さらに、ボリュームを出したい場合や、お雑煮用の餅が余りそうな場合は、「餅」を入れた「力(ちから)そば」もおすすめです。焼いた餅の香ばしさと、つゆを吸ってトロリとした食感は、食べ応え十分です。特に食べ盛りのお子様がいる家庭や、夕食を早めに済ませて夜中にお腹が空いてしまった時には最適です。「力持ち」に通じることから、来年も力強く生き抜く活力を養うという意味でもぴったりです。これらのアレンジ具材を取り入れることで、マンネリ化しがちな年越しそばが、一気にイベント感あふれるご馳走へと生まれ変わります。
一年の締めくくりに相応しい!大晦日に飲むべきお酒の選び方
大晦日の夜、美味しいそばや料理と共に楽しむお酒は、特別な一杯でありたいものです。普段は発泡酒で済ませている方も、この日ばかりは少し良いお酒を用意して、ゆったりとした時間を過ごしてみてはいかがでしょうか。しかし、ただ高いお酒を買えば良いというわけではありません。用意した料理との相性(ペアリング)や、飲むシチュエーションに合わせて選ぶことが重要です。
例えば、紅白歌合戦を見ながらちびちびと長く楽しみたいのか、カウントダウンの瞬間に華やかに乾杯したいのかによっても、最適なお酒は変わってきます。また、年越しそばの出汁の味を邪魔しないお酒を選ぶことも、美食家としては譲れないポイントです。ここでは、和食中心の大晦日の食卓に合う日本酒、お祝いムードを高めるスパークリングワイン、そしてリラックスタイムに最適なその他の選択肢について提案します。
和食との相性抜群!日本酒の選び方とおすすめの銘柄
年越しそばやお刺身、おせちの先取りといった和食メニューには、やはり日本酒が最もよく合います。大晦日に選ぶなら、スッキリとした飲み口で料理の味を引き立てる「純米酒」や、華やかな香りで特別感を演出する「純米大吟醸」がおすすめです。特に、そばつゆの出汁の香りを楽しみたい場合は、香りが強すぎない、キレのある辛口(淡麗辛口)のタイプを選ぶと、口の中をさっぱりとリセットしてくれます。
冬の寒い時期ですので、冷酒だけでなく「熱燗」や「ぬる燗」にして美味しいお酒を選ぶのも粋な楽しみ方です。「生酛(きもと)」や「山廃(やまはい)」といった造りの日本酒は、温めることで旨味が膨らみ、身体の芯から温まることができます。こたつに入って、徳利とお猪口で差しつ差されつする時間は、日本の大晦日ならではの風情があります。
銘柄選びに迷ったら、その年の干支にちなんだラベルのものや、「開運」「来福」といった縁起の良い名前のお酒を選ぶのも良いでしょう。また、金箔入りの日本酒は、グラスに注いだ瞬間にキラキラと舞う金箔が目にも美しく、一気にお正月気分を高めてくれます。スーパーや酒屋では年末限定で入荷されることも多いので、早めにチェックしておきましょう。一升瓶だと飲みきれない場合は、300mlや720ml(四合瓶)のサイズを数種類用意して、飲み比べをするのも楽しいイベントになります。
華やかに乾杯!スパークリングワイン・シャンパンの魅力
「和食だけど、やっぱり年末はおしゃれに乾杯したい」という方や、洋風のオードブルも用意している場合には、スパークリングワインやシャンパンが最適です。立ち上る泡は「絶えない幸せ」を象徴すると言われており、お祝いの席には欠かせない存在です。特に日付が変わるカウントダウンの瞬間に「ポンッ」と栓を開ける音は、新しい年の幕開けを祝うファンファーレのようで、気分を高揚させてくれます。
年越しそばや天ぷらなどの和食に合わせるなら、辛口(ブリュット)のものがおすすめです。甘ったるいお酒は、醤油や出汁の味と喧嘩してしまいがちですが、キリッと冷えた辛口のスパークリングワインは、天ぷらの油っぽさを洗い流してくれる効果があります。もし日本のワインを選ぶなら、「甲州」というブドウ品種を使ったスパークリングワインを探してみてください。甲州種は柑橘系の香りとスッキリとした酸味が特徴で、驚くほど和食にマッチします。
シャンパンはフランスのシャンパーニュ地方で作られたものだけが名乗れる高級品ですが、カヴァ(スペイン)やプロセッコ(イタリア)などのスパークリングワインであれば、1,000円〜2,000円台でも十分に美味しいものが手に入ります。普段はビール党の方も、この日だけはフルートグラスを用意して、泡の輝きを楽しんでみてはいかがでしょうか。
こたつでゆっくり!クラフトビールやホットワインの楽しみ方
日本酒やワイン以外にも、大晦日の夜を彩るお酒はたくさんあります。最近人気を集めているのが「クラフトビール」です。年末になると、各ブルワリーから限定醸造のビールが発売されます。アルコール度数が高めで濃厚な味わいの「バーレイワイン(麦のワイン)」や、香辛料を使った「ウィンターエール」などは、キンキンに冷やして飲むというよりは、少し温度を上げてゆっくりと香りを楽しむタイプが多く、冬の夜長にぴったりです。色とりどりの缶やボトルをテーブルに並べるだけでも、パーティーのような賑やかさが出ます。
また、お酒があまり強くない方や、冷たい飲み物が苦手な方には「ホットワイン(ヴァン・ショー)」がおすすめです。赤ワインにオレンジやレモンなどのフルーツ、シナモンやクローブなどのスパイス、そして砂糖や蜂蜜を加えて温めるだけで簡単に作れます。市販の「ホットワイン用スパイスミックス」を使えばさらに手軽です。甘くて温かいホットワインは、まるでデザートのような満足感があり、一年の疲れを優しく癒やしてくれます。部屋中に広がるスパイスの香りも、リラックス効果抜群です。
| お酒の種類 | おすすめのシチュエーション | 合わせたい料理 |
|---|---|---|
| 日本酒(熱燗) | こたつでしっぽりと過ごす時 | 刺身、板わさ、煮物 |
| スパークリングワイン | カウントダウンの瞬間や洋風のおつまみと | 天ぷら、チーズ、生ハム |
| ホットワイン | 食後のリラックスタイムや就寝前 | チョコレート、ドライフルーツ |
どのお酒を選ぶにしても、忘れてはならないのが「和らぎ水(チェイサー)」の準備です。長時間飲み続けることが多い大晦日、悪酔いして元旦を二日酔いで迎えることのないよう、お酒と同量のお水を飲むように心がけましょう。
年越しそばができるまでをつなぐ!簡単&絶品おつまみレシピ
年越しそばを茹でるのは、除夜の鐘が鳴る直前や、小腹が空いたタイミングという家庭が多いでしょう。それまでの長い夜を楽しく過ごすためには、手軽につまめる「おつまみ」の存在が不可欠です。しかし、大掃除やおせちの準備で忙しい大晦日に、手の込んだ料理を一から作るのは大変です。ここでは、包丁をほとんど使わずに済むものや、買ってくるだけで豪華に見えるもの、そしてそばの具材を賢く流用したアイデアなど、頑張りすぎずに食卓を充実させる方法を紹介します。
ポイントは「火を使わない」「洗い物が少ない」「保存がきく」ことです。キッチンに立ちっぱなしになるのではなく、家族との団らんを優先できるようなメニュー構成にしましょう。これらを数品用意しておくだけで、「何か食べるものない?」という家族の声にも余裕を持って対応できます。
買ってくるだけで豪華!お刺身・ローストビーフの盛り付け術
最も手軽で、かつ最も食卓が華やぐのが、スーパーや鮮魚店で購入できる「お刺身の盛り合わせ」です。大晦日の売り場には、マグロの中トロや鯛、ブリなど、普段よりグレードの高いネタが並びます。パックのまま出すのではなく、お気に入りの大皿に移し替えるだけで、一気にご馳走感がアップします。その際、大根のツマだけでなく、大葉や菊の花、あるいは薄くスライスしたレモンやスダチを添えると、彩りが良くなり、まるでお店のような仕上がりになります。
また、「ローストビーフ」も年末の定番です。洋風のおつまみとしてワインにも合いますし、わさび醤油で食べれば日本酒にも合います。薄切りにして扇状に並べ、中央にオニオンスライスやベビーリーフを盛り上げれば、立派なメインディッシュ級の存在感を放ちます。余ったら翌日の元旦に、おせち料理の隙間を埋めるアイテムとしても重宝しますし、パンに挟んでサンドイッチにするなどアレンジも自在です。
これらを購入する際は、賞味期限に注意しつつも、少し多めに買っておくのがコツです。「足りないかも」と心配するより、「余ったら明日食べよう」というくらいの気持ちでいた方が、精神的にも余裕が生まれます。ちょっと良いスーパーやデパ地下で、奮発して購入した一品があるだけで、その夜のテンションは大きく変わるものです。
火を使わずに5分で完成!チーズや和え物のスピードメニュー
お酒が進むと、ちょっとした塩気のあるものが欲しくなります。そんな時に役立つのが、火を使わずに5分以内で作れるスピードおつまみです。例えば、「クリームチーズの酒盗(しゅとう)乗せ」はいかがでしょうか。クリームチーズをさいの目に切り、その上にカツオやマグロの酒盗(内臓の塩辛)を少し乗せるだけ。チーズのまろやかさと酒盗の塩気が絶妙にマッチし、日本酒が止まらなくなる危険な美味しさです。酒盗がなければ、塩昆布やキムチを乗せても美味しくいただけます。
また、「アボカドと海苔の和え物」もおすすめです。一口大に切ったアボカドをごま油と醤油、少しのわさびで和え、韓国海苔を散らすだけ。濃厚なアボカドの味わいは、マグロのトロにも似た満足感があります。他にも、きゅうりを叩いてごま油と塩で和えた「たたききゅうり」や、トマトスライスに大葉としらすを乗せたサラダなど、切って和えるだけのレシピをいくつか覚えておくと便利です。
乾き物系では、ナッツやドライフルーツ、燻製チーズなども常備しておくと良いでしょう。これらは調理の必要が全くなく、袋から出すだけで立派なおつまみになります。おしゃれな小鉢や木製のボウルに入れるだけで、バーのような雰囲気を演出できます。
そばの具材を流用!板わさ・天ぬきで通な楽しみ方
最後に紹介するのは、年越しそばのために用意した具材を、そばを作る前に「おつまみ」として楽しむ、蕎麦屋のような粋なスタイルです。代表的なのが「板わさ」です。これは蒲鉾(板かまぼこ)を切ってわさび醤油で食べるだけのシンプルな料理ですが、厚めに切った上質な蒲鉾のプリッとした食感は、日本酒との相性が最高です。蒲鉾の飾り切りを練習しておけば、ここでお披露目することもできます。
そして、少し通な楽しみ方が「天ぬき(てんぬき)」です。これは「天ぷらそばのそば抜き」の略で、温かいそばつゆに天ぷら(海老天やかき揚げ)だけを入れて、お酒のアテとして楽しむものです。衣がつゆを吸ってとろっと柔らかくなり、出汁の旨味と油のコクが混ざり合った味わいは絶品です。カリッとした天ぷらも美味しいですが、つゆが染みた天ぷらを熱燗で流し込むのは、大人の贅沢と言えるでしょう。
| メニュー名 | 材料 | 特徴 |
|---|---|---|
| 板わさ | 蒲鉾、わさび、醤油 | 切るだけで完成。シンプルだが奥深い味わい |
| 天ぬき | 天ぷら、そばつゆ | そば屋の定番つまみ。つゆを吸った衣が絶品 |
| だし巻き卵 | 卵、出汁 | そばのトッピング用を少し取り分けてつまむ |
同様に、そば用に焼いた鴨肉を「鴨焼き」として、煮たニシンを「ニシン棒煮」として先に楽しむのもありです。つまり、そばの具材を多めに用意しておけば、それだけで立派な酒の肴コースが出来上がるのです。これなら食材の無駄もなく、準備の手間も省けて一石二鳥です。
意外と忘れがち?大晦日の夜を快適に過ごすための「名脇役」アイテム
食材やお酒の準備に気を取られ、意外と見落としがちなのが「食器」や「消耗品」などの雑貨類です。これらは、大晦日の特別感を演出し、さらに後片付けの負担を減らすために非常に重要な役割を果たします。せっかく美味しい料理を用意しても、食器が足りなかったり、片付けに追われてゆっくりできなかったりしては本末転倒です。
特に、親戚や友人が集まる場合は、普段使いの食器だけでは足りなくなる可能性があります。また、新年を迎えるにあたり、少し背筋が伸びるようなアイテムを取り入れることで、気持ちの切り替えもしやすくなります。ここでは、大晦日の満足度を底上げする、縁の下の力持ち的なアイテムを紹介します。
雰囲気作りも重要!祝箸・ランチョンマット・和食器
まず用意したいのが「祝箸(いわいばし)」です。両端が細くなっているこの箸は、片方を神様が、もう片方を人が使う「神人共食」を意味しており、お正月だけでなく大晦日の年越しそばを食べる際にも使われます。普段の割り箸ではなく、水引がついた祝箸を使うだけで、食卓が一気に厳かな雰囲気になります。スーパーのお正月用品売り場で手に入るので、家族の人数分プラス予備を用意しておきましょう。
次に「ランチョンマット」です。和柄の紙製のものや、朱色や金色のマットを敷くだけで、いつものテーブルが料亭のような空間に早変わりします。100円ショップでもお洒落な和風ペーパーマットが販売されているので、手軽に取り入れられます。汚れたら捨てるだけなので、洗濯の手間もありません。
そして、年越しそばを入れる「丼」や、お酒を飲む「酒器」にもこだわりたいところです。もし可能なら、年越しそば専用の少し良い丼や、漆塗りの汁椀を用意すると、そばの美味しさが視覚からも伝わってきます。新たに購入しなくても、食器棚の奥に眠っている来客用の器をこの機会に出してみるのも良いでしょう。器が変われば、心持ちも変わります。
後片付けを楽にする!紙皿・紙コップや便利グッズの活用
大晦日の夜、主婦(主夫)の方々にとって最大の悩みは「洗い物の山」ではないでしょうか。料理やお酒を楽しんだ後、大量の皿を洗って新年を迎えるのは避けたいものです。そこで活用したいのが、高機能でおしゃれな「紙皿」や「紙コップ」です。最近では、一見すると陶器やガラスに見えるような高級感のある使い捨て容器が販売されています。
特におつまみや取り皿としてこれらを使えば、食後はゴミ箱に捨てるだけで片付けが完了します。「使い捨てなんて味気ない」と思われるかもしれませんが、デザイン性の高いものを選べばパーティー感が出ますし、何より「片付けなくていい」という解放感は、心のゆとりに直結します。家族だけで過ごすなら、いっそのこと洗い物は最小限にして、全員でゆっくりテレビを見る時間を優先するという選択も賢い過ごし方です。
また、テーブルの上に置いておける「ウェットティッシュ」や、ゴミをすぐに捨てられる「卓上ゴミ箱」なども用意しておくと、立ったり座ったりする回数が減り、こたつから出ずに快適に過ごせます。これらの「楽をするための準備」も、立派な大晦日の準備リストの一部と言えます。
- 年越しそばを食べるタイミングはいつが良いですか?
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明確な決まりはありませんが、一般的には大晦日の「夕食時」か、除夜の鐘を聞く頃の「夜食」として食べる方が多いです。ただし、年をまたいで食べるのは「縁起が悪い(厄を持ち越す)」とされることがあるため、日付が変わる前(12月31日の23時59分まで)に食べ終えるのが良いとされています。夕食としてしっかり食べるか、夜食として軽く済ませるか、家族の生活リズムに合わせて決めましょう。
- そばアレルギーの家族がいる場合、代わりになるものはありますか?
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「年越しうどん」や「年越しラーメン(中華そば)」、「年越しパスタ」など、長い麺類であれば「長寿を願う」という意味を持たせることができます。地域によってはうどんを食べる風習がある場所もあります。無理にそばにこだわらず、家族全員が美味しく安心して食べられる麺料理を用意するのが一番です。
- 余ってしまったおつまみや具材はどうすればいいですか?
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蒲鉾や伊達巻、ローストビーフなどは、そのまま元旦のおせち料理の一部として詰めたり、お皿に盛り付けて「お正月オードブル」として出すことができます。三つ葉やネギなどの薬味は、お雑煮のトッピングに流用できます。余ることを前提に、お正月料理にも使える食材を選んでおくと無駄がありません。
まとめ
大晦日の夜を楽しく、そして快適に過ごすための準備リストと、具体的な楽しみ方を紹介してきました。年越しそばの具材選びから、お酒とのペアリング、手間いらずのおつまみ、そして雰囲気作りのアイテムまで、事前の準備がいかに大切かお分かりいただけたでしょうか。
完璧を目指しすぎて疲れてしまっては意味がありません。市販品を賢く利用したり、使い捨てアイテムで洗い物を減らしたりしながら、「家族や自分が笑顔で過ごせること」を最優先にしてください。美味しいお酒と料理、そして温かいそばがあれば、きっと素晴らしい一年の締めくくり、そして希望に満ちた新年の幕開けとなるはずです。ぜひ、この記事のリストを参考に、買い出しや準備を進めてみてください。皆様が良いお年を迎えられますように。
