年末が近づくと、主婦や家計を預かる方々の頭を悩ませるのが「年越しそば」の準備ではないでしょうか。特に、年越しそばの主役とも言える「海老天」は、大晦日当日のスーパーで驚くほどの価格で売られていることがあります。
「えっ、普段は1本150円くらいなのに、今日は400円!?」と、売り場の前で立ち尽くしてしまった経験がある方も多いはずです。さらに、年末のスーパーはレジ待ちの行列も凄まじく、買い物に行くだけで一苦労というケースも珍しくありません。
この記事では、大晦日の海老天価格が高騰する理由と具体的な相場、そして混雑や高値を避けて賢く美味しい海老天を用意する方法について、徹底的に解説します。これを読めば、今年の年末は焦ることなく、ゆったりと美味しい年越しそばを楽しめるようになります。
この記事でわかること
- 大晦日のスーパーにおける海老天のリアルな価格相場と高騰の理由
- 当日の混雑を避け、確実に手に入れるための予約や購入のタイミング
- スーパーの惣菜以外でコストを抑えつつ美味しく食べる代替案
- 冷めた海老天や冷凍食品をサクサクの揚げたて食感に復活させる裏技
大晦日のスーパーにおける海老天価格の高騰事情
大晦日のスーパーマーケットは、一年で最も活気があり、そして最も商品価格が変動する日と言っても過言ではありません。特に惣菜コーナーの「海老天」は、その象徴的な存在です。普段何気なく買っている海老天が、なぜこの日だけ特別な価格設定になるのでしょうか。まずはその実態と背景にある事情を詳しく見ていきましょう。
普段の2倍以上?驚きの価格相場とは
結論から申し上げますと、大晦日のスーパーで販売される海老天の価格は、普段の1.5倍から、場合によっては3倍近くまで跳ね上がることがあります。具体的に数字を挙げて比較してみましょう。一般的なスーパーの惣菜コーナーにおける価格推移は以下のようになります。
| 販売時期 | 価格相場(1本あたり) | サイズ感・特徴 |
|---|---|---|
| 平常時 | 120円〜180円 | 中サイズ、衣が厚めなことが多い |
| 12月29日〜30日 | 180円〜250円 | 徐々に年末価格へ移行、パック売りが増加 |
| 12月31日(大晦日) | 300円〜500円 | 特大サイズ表記が増える、豪華な容器入り |
例えば、普段の夕飯のおかずとして買うなら3本入りのパックが398円(税抜)などで売られているのをよく見かけます。しかし、大晦日の売り場に行ってみると、「年越し特大海老天」として1本498円、2本セットで980円といった価格ラベルが貼られていることは決して珍しくありません。
家族4人分を用意しようとすると、海老天だけで2,000円近くかかってしまう計算になります。これは、普段の食費感覚からするとかなり痛い出費です。「高いから買うのをやめようか」と迷っても、縁起物だからと結局カゴに入れてしまう心理も働きます。このように、大晦日の海老天は「ご祝儀価格」としての側面も強く持っているのです。
なぜここまで高くなる?需要と供給のバランス
では、なぜスーパー側はこのように強気な価格設定を行うのでしょうか。単に「儲けようとしている」というだけではなく、そこには明確なコスト増加の理由があります。一つ目は「原材料のグレードアップ」です。大晦日用の海老天には、普段使いのバナメイエビではなく、よりサイズが大きく見栄えの良いブラックタイガーや、さらに高級な車海老を使用するケースが増えます。年越しそばの見栄えを良くしたいという消費者のニーズに応えるため、仕入れ原価自体が高くなっているのです。
二つ目は「人件費とオペレーションコスト」の問題です。大晦日のスーパーの厨房は戦場のような忙しさになります。大量の天ぷらを揚げ続けるために、早朝あるいは深夜からスタッフを増員して対応します。年末年始の特別時給が発生することも多く、製造コストが跳ね上がります。また、揚げるそばから売れていくため、常にフル稼働でフライヤーを動かす光熱費も無視できません。
具体的には、大晦日の午後3時頃をピークに、揚げても揚げても陳列が追いつかない状況が発生します。この「作れば売れる」という圧倒的な需要過多の状態が、価格競争を不要にし、高単価でも完売するという現象を生み出しています。つまり、高騰の背景には「より良いものを食べたい」という消費者心理と、「大量生産にかかる莫大なコスト」の両方が関係しているのです。
当日の混雑と売り切れリスクを回避する方法

価格が高いだけでなく、大晦日の買い物には「時間」と「労力」というコストもかかります。一年の締めくくりに、スーパーのレジ待ちでイライラしたり、目当ての商品がなくて何軒もハシゴしたりするのは避けたいものです。ここでは、当日の過酷な状況をシミュレーションしつつ、賢く立ち回るための戦略を紹介します。
スーパーの惣菜コーナーは戦場!待ち時間の実態
大晦日のスーパーを甘く見てはいけません。特に夕方16時から18時頃は、年越しそばの準備をする客でピークを迎えます。惣菜コーナーの天ぷら売り場には人だかりができ、トングを持つ手すら伸ばせないような状況になることもあります。さらに深刻なのがレジ待ちの行列です。カゴいっぱいに正月用の食材を詰め込んだ客が並ぶため、一人当たりの会計時間が長く、レジを通過するだけで30分以上待たされることもザラにあります。
例えば、私の友人の失敗談ですが、「揚げたてが食べたいから」と夕方17時にスーパーへ行ったところ、駐車場に入るだけで20分待ち、店内は芋洗い状態、ようやく手にした海老天は衣がボロボロになった売れ残りだけで、レジでさらに40分待った結果、帰宅したのは19時過ぎでヘトヘトになってしまったそうです。このように、当日の夕方に動くことは、時間的にも精神的にも大きなリスクを伴います。
また、混雑した店内では冷静な判断ができなくなりがちです。「もうこれでいいや」と、普段なら買わないような高い商品や、妥協した商品を選んでしまい、後で後悔することにもなりかねません。大晦日の貴重な時間を守るためにも、この「戦場」に丸腰で挑むのは避けるべきでしょう。
午後には品切れも?狙い目の時間帯
どうしても当日にスーパーで購入する必要がある場合、狙い目は「開店直後」または「午前中の早い時間」です。多くのスーパーでは、大晦日は開店時間を早めるなどの対応をとっています。開店と同時に行けば、前夜から準備された商品や、朝一番で揚げられたきれいな天ぷらが並んでおり、選ぶ余裕があります。また、駐車場も比較的空いており、レジ待ちも許容範囲内で済むことが多いです。
逆に最も避けるべきなのは、先ほども触れた夕方の時間帯ですが、意外と盲点なのが「昼過ぎの13時〜14時頃」です。この時間は、午前中に準備した第一弾の商品が売り切れ、午後のピークに向けて厨房が仕込み直しをしている「エアポケット」のような時間帯になることがあります。棚がスカスカで、欲しい本数の海老天が揃わないという事態に陥りやすいのです。
さらに、人気店やこだわりのあるスーパーでは、15時には海老天の整理券配布が終了したり、現品限りで追加製造なしとなったりするケースもあります。具体的には、地域密着型の評判の良いスーパーほどその傾向が強いです。「夕方に行けば値引きシールが貼られるかも」という淡い期待は大晦日には捨ててください。値引きされる前に売り切れるか、残っていたとしても衣が湿気って美味しくないものばかりです。勝負は午前中に決まると心得ましょう。
賢い主婦はこう動く!事前予約と冷凍活用のススメ
大晦日の混雑と高値を回避する最適解は、「当日スーパーの惣菜売り場で買わないこと」です。事前に準備をしておくことで、コストを抑えられるだけでなく、クオリティの高い海老天を確実に手に入れることができます。ここでは、事前予約と冷凍食品の活用という2つの賢い選択肢について深掘りします。
スーパーや専門店での事前予約メリット
多くのスーパーや天ぷら専門店、さらにはコンビニやお弁当屋さんでも、12月に入ると「年越し天ぷら」の予約受付を開始します。これを活用しない手はありません。予約購入には、以下の3つの大きなメリットがあります。
- 確実に入手できる安心感:売り切れの心配がなく、人数分を確実に確保できます。
- 受け取りがスムーズ:予約専用カウンターが設けられている場合が多く、混雑した売り場を回る必要がありません。
- 揚げたてに近い品質:予約分は受け取り時間に合わせて調理されることが多く、店頭に長時間放置されたものより状態が良いです。
例えば、大手スーパーのイオンやイトーヨーカドーなどでは、ネットスーパーやサービスカウンターで早期予約を受け付けています。中には「早割」として、12月中旬までに予約すれば5%〜10%オフになるキャンペーンを行っている店舗もあります。専門店である「てんや」なども年越し天ぷらの予約を行っていますが、こちらは非常に人気が高く、12月25日頃には受付終了となることも珍しくありません。
予約をする際は、「受け取り時間」の指定に注意してください。皆が夕食時を希望するため、17時〜18時の枠はすぐに埋まります。あえて14時〜15時頃の受け取りにしておき、食べる直前に自宅で温め直す方が、スケジュール的にも余裕が生まれます。
クオリティ向上中!冷凍海老天の実力と選び方
「冷凍食品の天ぷらは衣がベチャッとして美味しくない」というのは、もはや過去の話です。近年の冷凍食品技術の進化は目覚ましく、スーパーの冷凍コーナーや業務スーパー、通販などで手に入る冷凍海老天のクオリティは飛躍的に向上しています。特に、調理済みで温めるだけのタイプだけでなく、揚げる直前の状態で冷凍されたタイプなど、選択肢も豊富です。
コストパフォーマンスの面で見ると、冷凍海老天は圧倒的に優秀です。例えば、業務スーパーなどで売られている冷凍海老天なら、5本入りで300円〜400円程度で購入できることもあります。これは大晦日のスーパーの惣菜価格(1本400円)と比較すると、5分の1以下のコストです。味についても、トースターで正しく温め直せば、サクサクの食感が蘇ります。
選び方のポイントとしては、「衣の比率」と「調理方法」を確認することです。パッケージ裏面を見て、原材料のエビの含有率が高いものや、「衣率〇〇%」といった表記がある業務用のものを選ぶと失敗が少ないです。また、手軽さを重視するなら「自然解凍不可・レンジ不可(トースター推奨)」の商品を選びましょう。レンジ調理のみの商品は、水分が飛んで硬くなるか、逆に湿気ってしまいがちです。トースターやオーブンで加熱するタイプの方が、余分な油が落ちてカリッと仕上がります。
自宅で揚げたてを楽しむ!失敗しない海老天のコツ
「やはり年越しそばには、揚げたてアツアツの海老天を乗せたい」というこだわり派の方には、自宅で揚げるのが一番です。手間はかかりますが、スーパーの惣菜よりも安く、そして何より最高に美味しい状態で食べられます。ここでは、料理初心者でも失敗せず、お店のような真っ直ぐでサクサクな海老天を作るためのテクニックを紹介します。
スーパーの冷凍エビでもプロ級に揚げる下処理
海老天作りで最も重要なのは、衣をつける前の「下処理」です。ここを丁寧にやるかどうかで、仕上がりの9割が決まると言っても過言ではありません。スーパーで売っている冷凍のむきエビやブラックタイガーでも、以下の工程を踏むことで、臭みのないプリプリの食感になり、揚げた時に丸まってしまうのを防げます。
| 工程 | 手順の詳細 | 期待できる効果 |
|---|---|---|
| 汚れ落とし | 片栗粉と水で揉み洗いし、流水で流す | 独特の臭みを取り除く |
| 筋切り | 腹側に斜めの切れ込みを数箇所入れる | 揚げた時にエビが丸まるのを防ぐ |
| 伸ばし | 背中側から指でプチプチと押して伸ばす | 真っ直ぐで大きな見栄えにする |
| 水気取り | キッチンペーパーで徹底的に水分を拭く | 油ハネを防ぎ、衣を剥がれにくくする |
特に重要なのが「筋切り」と「伸ばし」です。エビの腹側の筋肉繊維を断ち切っておかないと、熱を加えた瞬間にギュッと縮んで丸まってしまいます。包丁で浅く切れ込みを入れた後、エビをまな板に押し付けるようにして、指先で「プチッ、プチッ」と筋が切れる感触があるまで真っ直ぐに伸ばしてください。これを行うだけで、お店で出てくるようなピンと伸びた立派な海老天になります。
また、尾の先にある尖った部分(剣)の中にある水をしごき出しておくことや、尾の先端を斜めに切り落としておくことも、油ハネを防ぐための大切なポイントです。大晦日の忙しいキッチンで油ハネ事故を起こさないよう、水気取りは念入りに行いましょう。
サクサク衣を実現する魔法のバッター液
家庭で天ぷらをすると、「衣がベチャッとなる」「衣が厚すぎてアメリカンドッグみたいになる」という失敗がよくあります。これを防ぎ、薄付きでサクサクの衣(花が咲いたような衣)を作るには、「冷水」と「マヨネーズ」を使う裏技がおすすめです。
具体的な配合は、天ぷら粉(または薄力粉)100gに対して、冷水150ml、そしてマヨネーズ大さじ1杯です。マヨネーズに含まれる卵黄と植物油が、グルテンの形成を阻害し、衣の中に小さな空洞を作ってくれるため、誰でも簡単にサクサクの食感が出せます。混ぜる際は、粉が多少ダマになっていても構いません。むしろ、混ぜすぎてグルテンが出てしまうことの方が失敗の原因になります。箸で切るようにさっくりと混ぜるのがコツです。
揚げる温度は170℃〜180℃が適温です。衣を落とした時に、途中まで沈んでからすぐに浮き上がってくる状態が目安です。一度に大量のエビを入れると油の温度が急激に下がってベチャつく原因になるので、鍋の表面積の半分程度までに留めましょう。揚げ上がった後は、網の上でしっかりと油を切り、重ねずに並べることで、食べる時までサクサク感を維持できます。
よくある質問(FAQ)
- スーパーで買った海老天を美味しく温め直す方法は?
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電子レンジは衣がふにゃふにゃになるため避けましょう。アルミホイルを一度くしゃくしゃにしてから広げ、その上に海老天を乗せてオーブントースターで2〜3分加熱するのがベストです。焦げそうな場合は上にも軽くホイルを被せてください。余分な油が落ちてサクサクになります。
- 海老天の予約はいつまでにするべきですか?
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店舗によりますが、多くのスーパーや専門店では12月25日(クリスマス)前後を締め切りとしています。人気店では12月上旬に埋まってしまうこともあるため、12月に入ったらすぐにカタログやWEBサイトをチェックし、早めに予約することをおすすめします。
- 年越しそばに海老天以外の具材でおすすめはありますか?
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海老天が高い、または苦手な場合は、「かき揚げ」や「鶏天(かしわ天)」が人気です。また、地域によっては「ニシン」や「油揚げ(きつね)」、縁起物の「お餅」や「伊達巻」「紅白かまぼこ」を乗せる家庭もあります。豪華さを出したいなら「鴨肉」もおすすめです。
まとめ
大晦日のスーパーで海老天が高騰するのは、原材料のグレードアップや人件費などのコスト増に加え、圧倒的な需要があるため避けられない現象です。当日の夕方に買いに行くと、高値掴みをするだけでなく、混雑に巻き込まれて疲弊したり、売り切れで入手できないリスクもあります。
賢く年越しそばを楽しむためには、以下の3つのポイントを意識してください。
- 当日購入なら「午前中」か「開店直後」を狙い、夕方は避ける。
- 確実性と品質を求めるなら、12月中旬までに「事前予約」を済ませる。
- コスパ最優先なら「冷凍海老天」をトースターで温め直すか、下処理をしっかりして「自宅で揚げる」。
一年の締めくくりである大晦日。海老天の準備でバタバタすることなく、この記事を参考にして余裕を持った準備を進めてください。温かいそばと美味しい海老天で、良いお年をお迎えできることを願っています。
