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冬の時候の挨拶:ビジネスで使える漢語調・口語調の例文と月別(12月・1月・2月)の使い分け

ビジネスメールや手紙を書く際、冒頭の「時候の挨拶」で筆が止まってしまうことはありませんか。「寒冷の候」や「寒さが身に染みる季節」など、冬の挨拶は気温の変化や時期によって使い分ける必要があり、選択を間違えると相手に違和感を与えてしまう可能性があります。特に、年末年始を挟む冬の時期は、挨拶状やお歳暮の添え状、通常業務のメールなど、文章を送る機会が増える季節でもあります。

適切な時候の挨拶は、単なる形式だけでなく、相手への細やかな心遣いを伝える大切なコミュニケーションツールです。季節感を正しく取り入れることで、「教養がある」「丁寧な仕事をする」という信頼感にもつながります。逆に、季節外れの挨拶を使ってしまうと、マナーを知らない人という烙印を押されかねません。そこで、この記事では、冬のビジネスシーンですぐに使える時候の挨拶を、具体的な時期や相手別にご紹介します。

この記事でわかること

目次

冬の時候の挨拶とは?漢語調と口語調の使い分け

時候の挨拶には、大きく分けて「漢語調」と「口語調」の2種類が存在します。ビジネスシーンや改まった手紙では、相手との関係性や媒体(メールか郵送の手紙か)によって、これらを適切に使い分けることが求められます。どちらが良い・悪いではなく、TPOに合わせた選択が重要です。それぞれの特徴と、具体的な使用シーンを詳しく見ていきましょう。

フォーマルな場面で活躍する「漢語調」の挨拶

「漢語調」とは、「〇〇の候」「〇〇の折(おり)」「〇〇のみぎり」といった、漢字を中心とした硬めの表現のことです。例えば「寒冷の候」や「師走の候」などがこれに該当します。この形式は、格式高い印象を与えるため、目上の方への手紙、会社間の正式な文書、お歳暮の送り状、式典の案内状などで好んで使用されます。

具体的には、初めて取引をする企業への挨拶メールや、社長や役員名義で出す文書など、礼儀正しさが最優先される場面で使うのが適切です。漢語調の挨拶を使うことで、相手に対して敬意を表し、厳粛な姿勢を伝えることができます。ただし、親しい間柄の相手にメールで「寒冷の候」と送ると、少し他人行儀で冷たい印象を与えてしまうこともあるため注意が必要です。

親近感を伝える「口語調」の挨拶

「口語調」とは、「寒さが身に染みる季節となりましたが」「カレンダーも最後の一枚となりましたが」といった、話し言葉に近い柔らかな表現のことです。相手の住む地域の気候や、その時の具体的な情景を文章に盛り込みやすいため、読み手に温かみや共感を届けることができます。

例えば、普段から頻繁にやり取りをしている取引先の担当者へのメールや、社内の他部署への連絡、あるいは顧客向けのメルマガやブログの冒頭などでは、口語調の方がスムーズに受け入れられます。「寒くなってきましたが、体調はいかがですか」といったニュアンスを含めることができるため、コミュニケーションを円滑にする効果も期待できるでしょう。相手との距離感に合わせて、漢語調と口語調を柔軟に切り替えるスキルが、大人のビジネスマナーとして役立ちます。

【月別】12月・1月・2月の時候の挨拶と例文集

【月別】12月・1月・2月の時候の挨拶と例文集

冬の挨拶は、12月の「寒さの始まり・年末の忙しさ」、1月の「新年の始まり・厳寒」、2月の「寒さの底・春の兆し」と、時期によってフォーカスすべきポイントが変化します。ここでは、各月ごとの特徴的なキーワードと、すぐに使える例文を整理しました。カレンダーの日付を確認しながら、最適な表現を選びましょう。

時期漢語調(書き出し)口語調(書き出し)
12月上旬初冬の候
師走の候
寒冷の候
カレンダーも最後の一枚となりましたが
寒気ことのほか厳しくなってまいりましたが
12月中旬〜下旬歳末の候
寒冷の候
冬至の候
年の瀬も押し迫ってまいりましたが
寒さも本格的になってまいりましたが
1月上旬(松の内)新春の候
初春の候
謹賀新年
清々しい初春を迎え
お正月気分もようやく抜け
1月中旬〜下旬厳寒の候
大寒の候
寒冷の候
寒気ことのほか厳しくなってまいりましたが
一年で最も寒い時期を迎えましたが
2月上旬〜中旬立春の候
残寒の候
晩冬の候
暦の上では春となりましたが
余寒なお厳しき折
2月下旬春寒の候
解氷の候
向春の候
梅のつぼみもほころび始めましたが
三寒四温の季節となりましたが

上記の表はあくまで目安ですが、実際の気候に合わせて調整することが大切です。例えば、暖冬の年に「厳寒の候」を使うと違和感がある場合は、「冬とは思えない暖かな日が続いておりますが」のように、実感を込めた表現に変える応用力も必要になります。

12月(師走):年末の慌ただしさを労う

12月は「師走」と呼ばれる通り、多くの企業や個人が一年で最も忙しい時期を迎えます。そのため、挨拶文にも「年末の多忙さ」を気遣う言葉や、「一年の感謝」を込めるのが一般的です。上旬は冬の訪れを、中旬以降は年の瀬の切迫感を表現に取り入れます。

具体的には、「ご多忙の折とは存じますが」や「本年も残すところあとわずかとなりましたが」といったフレーズが頻繁に使われます。ビジネスメールでは、「貴社におかれましては、ますますご清栄のこととお慶び申し上げます」の前に、「寒冷の候」や「師走の候」を置くことで、格調高い書き出しとなります。相手が忙しい中、メールを読んでくれていることへの配慮を示すことが、12月の挨拶のポイントです。

1月(睦月):新年の決意と寒さへの配慮

1月は新年を祝う言葉と、一年で最も寒い「寒中」の時期であることが特徴です。松の内(関東では1月7日頃、関西では1月15日頃まで)までは、「新春の候」や「初春の候」など、お正月らしい華やかな言葉を使います。年賀状のやり取りが終わった後の通常業務メールでも、最初の連絡では「明けましておめでとうございます」や「本年もよろしくお願いいたします」を添えるのがマナーです。

松の内が明けると、寒さが本格化する「大寒(1月20日頃)」に向かっていきます。この時期は「厳寒の候」や「寒風の候」などが適しています。口語調であれば、「寒さ厳しき折」や「例年にない寒さが続いておりますが」といった表現で、相手の体調を気遣うニュアンスを強めると良いでしょう。インフルエンザなどが流行しやすい時期でもあるため、健康への配慮を含めるとより丁寧です。

2月(如月):春を待ちわびる心情を込めて

2月は「立春(2月4日頃)」を境に、暦の上では春となりますが、実際にはまだ寒さが残る時期です。このギャップを埋める表現として「余寒(よかん)」や「残寒(ざんかん)」という言葉が使われます。「余寒の候」は立春を過ぎてから使うのが正解です。まだ寒いけれど、春の気配を感じ始めているという、季節の移ろいを表現するのが2月の挨拶の醍醐味です。

下旬になると、日差しに暖かさを感じる日も増えてきます。「春寒の候」や「向春の候」といった言葉や、口語調なら「日差しもようやく春めいてまいりましたが」「梅の便りが届く季節となりましたが」といった明るい表現を取り入れると、受け取った相手も前向きな気持ちになれます。年度末に向けて忙しくなる前の、少し落ち着いた時期の挨拶として活用してください。

「寒冷の候」の正しい使い方と注意点

冬の代表的な時候の挨拶である「寒冷の候」ですが、使える期間や相手について迷う方も多いでしょう。ここでは、この言葉を誤用しないための具体的なルールと、そのまま使えるビジネスメールの構成案を紹介します。曖昧なまま使ってしまわないよう、しっかりと定義を確認しておきましょう。

使用時期は12月から2月までだが適期がある

「寒冷の候」は、文字通り「寒く冷たい時期」を指すため、冬の間であれば比較的広く使える便利な言葉です。しかし、最も適しているのは「寒さが本格化し始めた12月」から「最も寒い1月」にかけてです。11月の肌寒い程度の時期に使ったり、春の足音が聞こえる2月下旬に使ったりすると、少し季節感とずれてしまう可能性があります。

例えば、11月であれば「向寒の候(寒さに向かう時期)」の方が適切ですし、2月下旬なら「早春の候」の方が季節の先取りとして好まれます。「寒冷の候」は、コートやマフラーが手放せない、真冬の時期の定番挨拶として覚えておくと間違いがありません。もし時期に迷ったら、より具体的な時期を示す「師走の候(12月)」や「厳寒の候(1月)」などに置き換えるのも一つの手です。

ビジネスメールでの具体的な構成例

実際に「寒冷の候」を使ってビジネスメールを作成する場合の構成例を見てみましょう。漢語調の挨拶は、その後に続く「安否の挨拶」とセットで使うのが基本形です。「寒冷の候、貴社におかれましてはますますご清栄のこととお慶び申し上げます。」という流れが、最もポピュラーで失礼のない形式です。

具体的には、以下のような流れで文章を構成します。
1. 頭語(拝啓など ※メールでは省略可)
2. 時候の挨拶(寒冷の候、〜)
3. 安否の挨拶(貴社におかれましては〜)
4. 感謝の言葉(平素は格別のご高配を賜り〜)
5. 本文(さて、本日は〜)

このように定型化することで、書く時間を短縮しつつ、相手に礼儀正しい印象を与えることができます。特に、目上の方や年配の担当者はこうした形式美を重んじる傾向があるため、基本を押さえておくことは大きな強みとなります。

「寒さが身に染みる季節」など柔らかい表現の活用法

形式張ったメールではなく、少し親しみを込めたい場合や、女性の相手、または個人のお客様へ送る手紙などでは、漢語調よりも口語調の柔らかい表現が好まれます。ここでは、相手の心に響くエモーショナルな表現や、気遣いを感じさせるテクニックについて解説します。

五感に訴える表現で共感を呼ぶ

「寒さが身に染みる季節」という表現は、単に「寒い」と言うよりも、体感温度や空気の冷たさが伝わりやすい言葉です。このように、五感や情景を言葉にすることで、読み手との間に共感が生まれます。他にも、「吐く息も白くなり」「朝の布団が恋しい季節となり」「街のイルミネーションが華やぐ季節となり」など、冬ならではのシーンを切り取ってみましょう。

例えば、女性向けの商材を扱うメルマガや、長い付き合いのあるクライアントへのメールであれば、「ホットコーヒーが美味しい季節になりましたが、〇〇様はいかがお過ごしでしょうか」といった書き出しも素敵です。マニュアル通りの定型文ではなく、「あなたに向けて書いています」という体温のある言葉を選ぶことで、ビジネスライクな関係以上の信頼関係を築くきっかけになります。

体調やご時世を気遣う一文を添える

冬は風邪やインフルエンザが流行しやすく、体調管理が難しい季節です。そのため、挨拶文の中に相手の健康を案じる言葉を自然に盛り込むことが大切です。「寒さが厳しくなってまいりましたが、お風邪など召されていませんでしょうか」や、「冷え込みが激しい毎日ですが、どうぞ温かくしてお過ごしください」といったフレーズは、誰に送っても喜ばれる万能な表現です。

特に近年では、リモートワークの普及などで働き方が変わっている場合もあります。「寒暖差の激しい折、ご自愛ください」といったシンプルな言葉でも、冒頭や文末に一言あるだけで印象は大きく変わります。相手が多忙なプロジェクトの最中であれば、「繁忙期でお忙しいとは存じますが、お体大切になさってください」と添えるなど、相手の状況を想像した言葉選びを心がけましょう。

メールの最後を締める「冬の結びの言葉」

時候の挨拶は冒頭だけでなく、文章の最後を締めくくる「結びの挨拶」としても重要です。冒頭で季節の挨拶を入れた場合、結びでも季節感や相手への気遣いを入れることで、文章全体に統一感が生まれ、美しい構成となります。ここでは、冬に特化した結びの言葉を紹介します。

相手の健康と繁栄を祈る定番フレーズ

結びの言葉の基本は、「相手の健康」や「ビジネスの繁栄」を祈ることです。冬の文脈でよく使われるのは、「厳寒の折、皆様の健康を心よりお祈り申し上げます」や、「寒さ厳しき折、貴社の更なるご発展をお祈り申し上げます」といったフレーズです。これらは非常にフォーマルで、どのようなビジネスシーンでも使える安全な表現です。

また、年末であれば「どうぞよいお年をお迎えください」、年始であれば「本年も変わらぬご愛顧のほど、よろしくお願い申し上げます」といった、その時期特有の挨拶を結びに持ってくることも一般的です。結びの言葉は、メールの読後感を決める重要な要素ですので、最後まで気を抜かずに丁寧な言葉を選びましょう。

少し砕けた表現で親密さを演出する

親しい間柄であれば、結びの言葉も少しカジュアルにして、親密さを演出するのも効果的です。「路面の凍結などには十分お気をつけください」や、「忘年会シーズンでお酒の席も増えるかと思いますが、ご自愛ください」など、より具体的で生活感のある内容を含めると、相手も返信がしやすくなります。

例えば、「春の訪れを待ちわびつつ、〇〇様の益々のご活躍をお祈りしております」といった表現なら、冬の寒さに耐えながらも前向きに進んでいこうというポジティブなメッセージを伝えることができます。定型文をコピペするだけでなく、その時の天気や相手との直近の会話内容に合わせて、一言アレンジを加える余裕を持つことが、ワンランク上のメール術と言えるでしょう。

よくある質問(FAQ)

冬なのに暖かい日に「寒冷の候」を使っても大丈夫ですか?

基本的には、暦や一般的な季節感に基づいて使用するため、多少暖かくても「寒冷の候」を使って間違いではありません。しかし、相手も「今日は暑いくらいだな」と感じているような小春日和の日に使うと、形式的すぎる印象を与える可能性があります。その場合は、「季節外れの暖かさが続いておりますが」や「冬とは思えない穏やかな日和ですが」といった、実際の気候に即した口語調の挨拶に変更する方が、気が利いていると受け取られるでしょう。

喪中の相手に寒中見舞いや冬の挨拶を送る際の注意点は?

喪中の方に挨拶状を送る場合、「おめでとうございます」などの慶事に関わる言葉は避ける必要がありますが、季節の挨拶を送ること自体は問題ありません。「寒中お見舞い申し上げます」という書き出しで始め、相手の寂しさを慰めるような言葉や、寒さから体調を崩さないよう気遣う言葉を選びましょう。派手な装飾や明るすぎる話題は避け、静かで落ち着いたトーンの文章を心がけるのがマナーです。

メールの件名にも季節の挨拶を入れるべきですか?

ビジネスメールにおいて、件名は「用件を端的に伝えること」が最優先されます。そのため、件名に時候の挨拶を入れる必要はありません。「〇〇プロジェクトの進捗について」「【重要】お見積書の送付」など、内容が一目でわかる件名にしましょう。時候の挨拶は本文の冒頭にのみ記載するのが一般的であり、件名に入れるとスパムメールと間違われたり、重要度が低いと判断されたりするリスクがあるため注意が必要です。

まとめ

冬の時候の挨拶は、一見難しそうに見えますが、時期ごとのキーワードを押さえておけば、スムーズに使いこなすことができます。12月の「師走・寒冷」、1月の「新春・厳寒」、2月の「残寒・春寒」という流れを理解し、相手との関係性に応じて漢語調と口語調を使い分けることがポイントです。

たった一言の挨拶ですが、そこには「寒い中、お疲れ様です」「体調を崩さないでくださいね」という、相手を思いやる心が込められています。マニュアル通りの定型文に頼りすぎず、その日の気候や相手の状況を想像して言葉を選ぶことで、あなたのメールや手紙はより温かみのあるものになるでしょう。ぜひ今回ご紹介した例文を参考に、冬のビジネスコミュニケーションを円滑に進めてください。

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